『循環小数の秘密』

 今回のテーマは分数を小数に直す時に生ずる問題です。

【準備】

 分数を小数に直すとき、次の3通りの場合があります。

  1. 11
    20
    =0.55のように、割り切れる場合。


  2. =0.714285714285・・・
    のように、同じ数の繰り返しになる場合。


  3. 12
    =0.58333・・・
    のように、繰り返しになる部分と繰り返しにならない部分がある場合。


1の場合を有限小数、2,3の場合は無限小数ですが、繰り返しの部分があるので循環小数といいます。
分数を小数に直すときは、無限小数の場合は必ず循環小数になります。

特に、2の場合を純循環小数、3の場合を混循環小数といいます。


※以下は全て既約分数(もうこれ以上約分できない分数)について考えます。

【問題1】

 有限小数、純循環小数、混循環小数のどれになるかは、元の分数の分母の性質を見れば分かります。
その見分け方を予想してください。

またその予想を証明してください。

 


【問題2】

 分数が有限小数になる場合、その小数が小数点以下何桁になるかは、元の分数の分母の性質を見れば分かります。
その見分け方を予想してください。

またその予想を証明してください。

 


【問題3】

 分数が純循環小数になる場合、その循環節の長さは、元の分数の分母によって決まります。
すなわち、元の分数をn/mとすると、その循環節の長さは

10aをmで割った余りが1になるような最小の数aと一致します。
(10a≡1(mod m))

このことを証明してください。

例えば5/11(=0.4545・・・)の場合は、

102÷11=100÷11=9...1

であるから循環節の長さは2である。

5/7(=0.714285714285・・・)の場合は

102÷7=100÷7=14...2

103÷7=1000÷7=142...6

104÷7=10000÷7=1428...4

105÷7=100000÷7=14285...5

106÷7=1000000÷7=142857...1

であるから循環節の長さは6である。


【問題4】

 分数が混循環小数になる場合、その循環節の長さと循環しない部分の長さは、元の分数の分母によって決まります。
問題2と問題3を参考にして、その求め方を予想してください。

またその予想を証明してください。

 


【おまけ】(難問)

 オイラーの関数の値が分かっていると、循環節の長さの求め方は少し簡単になります。
純循環小数になる場合、n/mの循環節の長さはφ(m)の約数となります。
(混循環小数の時も、問題4の結果を利用すれば同様に楽に計算できます。)

このことを証明してください。

 

例えば、3/17(=0.1764705882352941・・・)で考えると、
φ(17)=17−1=16
16の約数は1,2,4,8,16
102÷17=100÷17=5...15

104÷17=10000÷17=588...4

108÷17=100000000÷17=5882352...16

1016÷17の余りは、計算が大変なので合同式で計算すると、
 1016
≡108×108
≡16×16
≡256
≡1(mod 17)

であるから循環節の長さは16である。


●参考

 既約真分数と循環小数を計算してあるページを見つけました。
 参考にぜひご覧ください。


よろしければ電卓を利用してください。







 解答用紙はこちらです。 【寄せられた解答】


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