『循環小数の秘密』

『循環小数の秘密』解答


◆広島県 清川 育男さんからの解答。

【問題1】

 分母Mを素因数分解する。

○予想

1)有限小数になる場合 2または5の素因数のみで分母が構成されるとき。
2)純循環小数になる場合 2または5以外の素因数で構成されるとき。
3)混循環小数になる場合 2または5とそれ以外の素因数で構成されるとき。

【問題2】

 分母Mを素因数分解する。

M=2r×5s
 r≧0,s≧0。(r=s=0は含まない)

○予想

 r≧q のとき r桁。
 q≧r のとき q桁。


【コメント】

 問題1,2とも予想されたとおりのことが成り立ちます。
証明は書こうと思うと結構大変です。
問題1の結果を仮定すると、問題2,3とも比較的簡単に証明できます。
(特に問題2)


◆石川県 Takashiさんからの解答。

【1】

有限小数aの最小桁を小数点以下b位、a×10b=cとするとcは整数になる。
(aの小数点を消したとき出来る整数になる。)

a=
――――
10b
【cは整数】

この分数に分母を素因数分解すると2と5だけの素因数で構成されている事がわかる。
逆に分母に2と5以外の素因数があるとき、その分数は上の分数のように表現できない。

【2】

ある既約分数n/m【nは整数,mは自然数,nとmは互いに素】が有限小数であるとき、
m=2s×5tと表す事が出来る。

(1)s>tのとき

分数の分母と分子に5s-tをかけると


――――
n・5s-t
―――――――
10s

nとmは互いに素なのでnの素因数には2と5は含まれていない。
よって小数点以下s位の有限小数になります。

(2)s<tのとき

同様に、


――――
n・2t-s
―――――――
10t

小数点以下t位の有限小数になります。

(3)s=tのとき


――――

―――――
10s

小数点以下s位の有限小数になります。

【解答】分母を素因数分解して2s・5tと表現したときのsとtの大きいほうの桁数になる。


◆神奈川県 Sparking さんからの解答。

【おまけ】

オイラーの関数のおまけの解答を導けば簡単。
ここでは使わせてもらいます.

つまりBに一切2,5が含まれないとき
 10φ(B)≡1 (mod.B)
⇔A/Bは最低φ(B)桁で循環する。

今、φ(B)の約数以外のiが循環節の長さ、
つまりi未満では10≡1 (mod.B)を満たすものが無いとする。

このときki<φ(B)<(k+1)iとなるkがとれて
あとはi、φ(b)桁ずつ同じ文字が来るなら必ず
(φ(B)−ki)桁 (<i)ずつ同じ文字がきていて、仮定に反することを言えばいい。

【問題3】

分数が純循環小数ならばその循環節の長さは分母Bとして最小のx
{10≡1 (mod.B)}である。

(証)いま最低x桁で循環するということを(それより短く循環しているかもしれないが)とにかく小数点以下のx桁ずつのとびとびの数字がすべて等しいこととする。
(最低より最高といったほうがいいかもしれないが…)

ここでとりあえず、
【定理1】(10≡1(mod.B)⇔最低x桁で循環する)を示す。

今x桁で循環するということは小数点以下の数字について、
y桁目=y+x桁目がすべてのyについて完全にいえるということである。
これはこの小数と、この小数の小数点を右へxずらしたものの小数部分が完全に一致することと同値である。

(証)

 10g≡1 (mod.B以下省略)
⇔10g−1≡0
⇔∃x(10g−1=xB)
⇔∃x((10g−1)/B=x)
⇔(10g−1)/B∈Z
⇔A・(10g−1)/B=(A/B×10g−A/B)∈Z
⇔A/Bの小数表示はその小数点を右にg動かした小数と小数部分が完全に一致する。
⇔A/Bは最低gけたで循環する。(勿論純循環小数である。)
いま循環節の長さというのは初めて循環する循環の周期だから
もしいま10≡1 (mod.B)をみたす最小のxが存在するとして、それをhとすると、最低h桁では循環する。
(上の定理1)

ここでh桁より短い周期で循環しているとすると上の定理よりhより小さいxが存在することになり矛盾。
よって背理法より周期hで初めて循環する。

【問題4】

簡略に書かしてもらう。

B=2n1・3n2・5n3・… と素因数分解しておく 
(n12+n32≠0)

循環しない桁数:max(n1,n3)

循環節の長さ:最低のx|10≡1 (mod.B/(2n1・5n3))
と推測できる。

要は

A/B=C/(2n1・5n3)+D/(B/(2n1・5n3))
と分解できることを言えばよい。

より一般的にX,Yが互いに素の時
A/XY=B/X+C/Y となるB,Cがあるといえばいい。
(X,Y,A自然数、B,C整数)

いまX,Yの最大公約数1は互いから互いの自然数倍を引くことの繰り返しで求まる。
(ユークリッドの互除法)

これによりEX+FY=1 と書けることが保証できる。
この両辺にA/XYをかけることで言える。

これにより

A/B=C/(2n1・5n3)+D/(B/(2n1・5n3))
とかける。

あとは循環を狂わせている第一項の影響が切れたときから循環が始まり、その後には(節の長さを含め)影響しないことを小数表示を用いて言えば示すことができる。


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