『Arctangent』


【準備】

与えられた実数xに対して、

(*) tanθ=x

を満たす実数θをxの逆正接(arctangent)といい、
arctan xで表します。

tanは周期πの周期関数ですから、θはπの整数倍の自由度があります。
そこで、(*)を満たす実数θのうち

-π/2<θ<π/2であるものをxの逆正接の主値といい、
Arctan xで表します。

このときArctanは、tanの定義域を
区間(-π/2,π/2)に制限したものの逆関数になります。

図形的に言えば、Arctan(b/a)は、
BC=a, AC=b, ∠C=π/2である直角三角形ABCの∠Bを意味します。

以上の準備の下、以下の問題(のうち少なくとも一つ)に答えてください。

【問題1】

整数x,y,z (z>0)が方程式

(1) Arctan(1/x)+Arctan(1/y)=Arctan(1/z)

を満たすための必要十分条件は

 z2+1=uv, x=z+u, y=z+v

となる整数u,vが存在することであることを証明せよ。

【問題2】

整数x,y,z (0<x<|y|, z>0)が方程式

(2) Arctan(1/x)+Arctan(1/y)=2Arctan(1/z)

を満たすための必要十分条件を求めよ。

【問題2の変更】・・・詳細は【寄せられた解答】をご覧下さい。

問題2を以下のように改めます。

定義.

正の整数aに対して,整数列(un(a)), (vn(a)) (n∈Z)を次のように定義する。

un(a)+vn(a)√d=(a+√d)n (n∈Z)

ただし,d=a2+1とする。

このとき,次の問題に挑戦してみてください。

【問題2】

正の整数x, y, z (x<y)が方程式

Arctan(1/x)+Arctan(1/y)=2Arctan(1/z)

を満たすための必要十分条件は,ある正の整数aおよびnが存在して

x=u2n-1(a), y=u2n+1(a), z=v2n(a)

と表されることであり,また方程式

Arctan(1/x)−Arctan(1/y)=2Arctan(1/z)

を満たすための必要十分条件は,ある正の整数nが存在して

x=u2n-1(1), y=u2n+1(1), z=u2n(1)

と表されることであることを示せ。

【問題3】

方程式

(3) Arctan(1/x)+Arctan(1/y)=3Arctan(1/z)

を満たす整数x,y,zは存在しないことを証明せよ。

【問題4】

方程式

(4) Arctan(1/x)+Arctan(1/y)=4Arctan(1/z)

を満たす整数x,y,zをすべて求めよ。


 解答用紙はこちらです。 【寄せられた解答】


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