『今週の問題−第34回』


 多面体シリーズ、最終回です。
サッカーボールは正五角形と正六角形の面をあわせて作られています。
しかもどの頂点を見ても、正六角形2個と正五角形1個が集まっており、全ての頂点が同じ状態になっています。

このように全ての面が何種類かの正多角形でできており、全ての頂点が同じ状態になっている多面体を準正多面体といいます。

前回は多面体の全ての頂点の「尖度の合計」は必ず720度になることを示しました。
(前回の問題4とその解答をよく読んでください)

準正多面体では各頂点の状況は同じですから、
720÷(1つの頂点の尖度)=頂点の数 が成り立ちます。

このことと、オイラーの多面体定理(面+頂点−辺=2)を利用して、準正多面体の面、辺、頂点の数を計算してみましょう。

例えばサッカーボールの場合、1つの頂点の尖度は
360−(120×2+108)=12度
したがって頂点の数は
 720÷12=60個・・(1)です。

また一つの頂点には3本の辺が集まっており、頂点の数は60個だから、
辺の数は 3×60=180 となるはずですが、これでは一本の辺を2回ずつ数えていることになるので
正しい辺の数は3×60÷2=90本・・(2)となります。

オイラーの定理と(1)、(2)より面の数は

90−60+2=32となります。


※コラム1

サッカーボールは正二十面体の各辺を3等分し、その3等分した点を通るように正二十面体の頂点を切り落としてできる立体であり、 切頂二十面体と呼ばれます。

切り落とした部分は正五角形になり、正二十面体の頂点は12個ですから、正五角形の数は12個になります。
また残った面は正六角形であり、その数は元の正二十面体と同じですから、20個になります。


【問題1】

上の多面体は、正四面体(4つの面が正三角形の多面体)の4つの頂点を切り落としてできた準正多面体です。
(切頂四面体といいます。)

この図形の頂点の数、辺の数、面の数を求めてください。

  できるだけ見ないでね。


【問題2】

上の準正多面体の各面は正三角形、正十角形でできています。
この準正多面体の頂点の数、辺の数、面の数をそれぞれ求めてください。

また正三角形の数、正十角形の数はそれぞれ何個でしょうか。


【問題3】

上の準正多面体の各面は正三角形、正方形、正五角形でできています。
この準正多面体の頂点の数、辺の数、面の数をそれぞれ求めてください。

また正三角形の数、正方形の数、正五角形の数はそれぞれ何個でしょうか。

  できるだけ見ないでね。



【おまけ1】

一辺の長さが1の正八面体Hと、一辺の長さが1の正方形の穴が開いた平面があります。
平面に触れることなく、穴にHを通過させることは可能でしょうか。
またその理由を示してください。



マウスをドラッグする(ボタンを押しながら動かす)と正八面体が回転します。


【おまけ2】

大阪府 CHECKさんから教えていただいた問題です。
1999年度、日本数学オリンピック予選問題だそうです。

一辺の長さ1の正二十面体の最も長い対角線の長さを求めてください。



問題1〜3のいずれかができれば正解とします。

解答用紙はこちらです。


※コラム2

サッカーボール形の立体(三十二面体)は1985年に、C60という炭素の球状分子フラーレンが発見されて以来、特に分子構造を研究している化学者たちの注目を集めています。
このC60フラーレンは、サッカーボールの60個ある頂点の位置で炭素分子が結合して生まれた非常に安定性の高い球状分子です。

フラーレンは、次世紀を担う新しい超伝導物質や電子材料としても大いに期待され、応用分野がどんどん拡大しているそうです。

引用:自然にひそむ数学
 佐藤 修一 著 講談社 BLUE BACKS


No.解答時刻正解者 
2/28 SUN 0:06ネットOL さん一般
2/28 SUN 0:14松井 恵宣 さん一般
2/28 SUN 3:25吉田 和義 さん一般
2/28 SUN 4:43清川 育男 さん一般
2/28 SUN 12:54Asami(^_^) さん一般
2/28 SUN 14:56Dr.Berserker さん大学生
2/28 SUN 17:30聖子 さん中学2年
3/ 1 MON 1:01平田 和弘 さん一般
3/ 2 TUE 13:07数学好き さん一般
103/ 2 TUE 14:05H.Fujimiya さん中学1年
111/ 4 TUE 18:40ken さん一般


●寄せられた解答


 ◆過去問はこちらです。


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