『表と裏を同数に!』


 表と裏の区別ができる同種類のカードが十分な数だけあります。
各カードの表裏の状態は任意で、このカードの内の任意の偶数枚が1つに重ねられて置いてあります。
目を閉じた状態で、次のことをするものとします。

重ねられたカードの一番上から任意の枚数をまとめて取り、目を開いている別な人にそっくり裏返して渡します。
渡された人は渡されたカードを上から1枚ずつ、残されたカードの上に重ねていきます。
これが裏返し操作ですが、この操作によってカードは一番上から任意枚数が連続して裏返しになりますが、カードの順序は操作前と変わりません。

この連続した裏返し操作を1回する度に、カードの表と裏が同数になったか否かを、別な人に確認してもらいます。
表と裏が同数になった時は、操作はそこで終わりです。
表と裏が同数にならなかった時は、カードの最終状態から再度同じ操作を繰り返します。

ここで、カードの表と裏を同数にするためには、多くても何回の操作で十分でしょうか?

ただし、初期状態のカードは表と裏が同数ではないものとします。
また、カードの枚数を数えることはできますが、目を閉じているのでカードの表と裏の区別はできません。

〔カードが2枚の時の例〕

初期状態は表と裏が同数ではないので、「表2枚」か「裏2枚」の筈です。
そこで、一番上のカードを1枚だけ裏返します。
必ず「表1枚+裏1枚」の同数になる筈です。

それ故、操作回数は1回で十分です。

〔カードが4枚の時の例〕

まず、カードを一番上から2枚だけ裏返します。
これで同数にならないのなら、初期状態は「表4枚」や「裏4枚」ではありません。
すると、初期状態は「表3枚+裏1枚」か「表1枚+裏3枚」だったことになります。
この操作をしても、やはり「表3枚+裏1枚」か「表1枚+裏3枚」になっています。

次に、一番上のカードを1枚だけ裏返します。
これで同数にならないのなら、現在は「表4枚」か「裏4枚」の筈です。
そこで、カードを一番上から2枚だけ裏返します。
必ず「表2枚+裏2枚」の同数になる筈です。

それ故、操作回数は3回で十分です。

【問題】

カードが 4枚,6枚,8枚,10枚 の時に、表と裏を同数にするための十分な操作回数とその手順を示してください。
また、カードが2N枚の時に、表と裏を同数にするための十分な操作回数と裏返し操作をするカードの合計枚数を求めてください。
(ただし、Nは自然数)

「1回の裏返し操作に使用できるカードの枚数は、重ねてある全カードの半数以下に限る。」の条件が、ない場合とある場合のそれぞれの解を求めてください。

十分な操作回数の内で、最も少ない操作回数を正解とします。
同じ操作回数なら裏返し操作をするカードの合計枚数が最も少ないものを正解とします。

なお、連続して同一操作をすることは許されないものとします。


【ヒント】

【使用できるカードが上半分に限らない時のアプローチ】

重ねられているカードの枚数は偶数ですから、カードの表の枚数と裏の枚数の差は必ず偶数です。
仮にカードの表の枚数と裏の枚数の差が2m枚だと分かっているのなら

初期状態の1番上から    m 枚を裏返す。
初期状態の1番上から  m+1 枚を裏返す。
初期状態の1番上から  m+2 枚を裏返す。
 ↓
初期状態の1番上から 2N−m 枚を裏返す。
の、2(N−m)+1 通りの裏返し操作の内に正解が少なくとも1つはある筈です。
(ただし、mは1≦m≦N の整数)

表のカードが裏のカードより多い枚数をWで表すと、
初期状態で(W=2k)なら、全カードを裏返すと(W=−2k)になります。

一方、1枚のカードの裏返し操作では、高々Wが2増えるか2減るかのどちらかです。
ですから、k枚未満の裏返し操作では
(W=2k)や(W=−2k)を(W=0)にさせたり、
(W=0)を(W=2k)や(W=−2k)にさせることは不可能です。
(ただし、k≠0 かつ −N≦k≦Nの整数)

しかし、mは 1≦m≦N の整数であることしか分かりません。

【使用できるカードが上半分に限る時のアプローチ】

どのような裏返し操作をしてもカードの下半分は初期状態のままです。

仮に下半分においての表のカードが裏のカードより多い枚数を(V)とすると、
上半分においてのそれを(−V)にさせれば良い筈です。

ところが、Vは −N≦V≦N の整数であることしか分かりません。
また、上半分のカードの裏と表の並び方も不明です。

ですから、上半分のカードがどのような表と裏の並び方をしていても、
上半分においての表のカードが裏のカードより多い枚数(U)が、
同様に −N≦U≦N の整数のすべての値をとるように裏返し操作を繰り返す必要があります。


解答用紙はこちらです。 【寄せられた解答】


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