『理想の株のパラドックス』


先日、金融工学的な事を、勉強するはめになったのですが、「期待値」について、ちょっと不思議な問題を見つけたので、考えてみてください。

【前提】

問題の「理想の株」ですが、次のような物だと考えてください。

現在の理想の株の株価は10円とし、価格が2倍になる確率も、半額になる確率も1/2 だとします。

【練習1】

1ヵ月後の、この株価の期待値は、何円でしょう?

【本題】

この理想の株を使って、A氏は、次のような「券」を売り出しました。

【問題1】

この「券」を持っていた時、1ヵ月後に受け取れる額の期待値は、何円でしょう?

【問題2】

実は、この「券」は、(問題1の答え)円で売れれば、確実に、もうけを出す事が出来ます。
次の (イ)(ロ)(ハ) を埋めて下さい。

『「券」で約束した額を払うためには、現時点で、理想の株を
(イ)枚、現金を(ロ)円、持っていればよい。
従って、(ハ)円以上で「券」が売れれば、その差額が、もうけになる。』

【補足】

(ロ)<0 だと、借金している事になりますが、利息などは考えない事にします。

【問題3】

どうして、期待値で売って、確実に、もうけを出す事ができるのでしょうか。
パラドックスの原因になっている点を考えてみてください。
(どういう条件だと、A氏の商売が出来なくなるか、という感じで答えてください。)

【コメント】

小学校か、中学校ぐらいの時に、「期待値」は、「賭けだと思った時に公平な価格」だと習った記憶があるのですが、 マルチンゲールという条件がなければ、そうでもない、というのが、けっこう、驚きでした。
もっとも、現実には、なかなか、もうけ話は無いようですが…。

【追加問題】

同じ状況で、「券その2」として「理想の株」が値下がりしたら10円払い、値上がりした場合には何も返さないモノを考えます。
この「券その2」が、5円で売られていたとしたら、買った方が得だと思いますか?
また、何円までだったら買いますか?


 解答用紙はこちらです。 【寄せられた解答】


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