『今週の問題』第69回 解答


◆石川県 迷える羊 さんからの解答

【問題1−1】

もとの直角三角形は下の辺の長さが13、右の辺の長さが5であるから、赤や緑の三角形の左下の角θは、

tanθ=
――――
13

ここで、赤の三角形の下の辺の長さをaとする。
【0<a<13】

緑の三角形の下の辺の長さは、13−a。

橙色と黄色の図形は、横の長さ13−a、
縦の長さa・tanθの長方形Sを、2つに分割したものである。

分割する線の横線は、長方形の縦辺を垂直に3等分する線と一致する。
縦線は、長方形の左から3/5の位置にある。

よって、並べ替えた時の橙色と黄色と黒色の合計の長方形Tは、
横の長さ 
――
(13−a)

縦の長さ  2a・tanθ
――――――
である。

この長方形Tと緑の三角形の横の長さの合計が13にならなければならない。


――
(13−a)+13−a=13

a=8

このとき、長方形Tの縦の長さは、

2a・tanθ
――――――
80
――――
39

緑の三角形の縦の長さは、

(13−a)tanθ= 25
――――
13

赤の三角形の縦の長さは、

a・tanθ= 40
――――
13

よって、もとの三角形と合同な枠に並べ替えたパーツを収めようとすると、橙色と黄色の上の部分と赤の下の部分が重なり合って収まらない。
この重なり合う部分の面積が黒い部分の面積と等しくなる。

【問題1−2】

もとの直角三角形の各頂点を、A,B,Cとする。

AB=F(n),BC=F(n-2),AB⊥BC

直線BCと平行で辺ABを、
F(n-1):F(n-2)に内分する点Dを通る直線と辺ACとの交点をFとする。

点Fを通り、直線ABと平行な直線と辺BCとの交点をEとする。

線分FDを3等分する点にFDと垂直な線を引き、下の線とFDとの交点を点G、上の線とEBとの交点をHとする。

線分FDに平行で、線分DBをF(n-3):F(n-4)に内分する点を通り、DBに垂直な直線と、先ほどの3等分線との交点を、上から順に、点I,点Jとする。

図形FGJIHEと図形GDBHIJとを、上の図形の辺IJと下の図形の辺GDを重ねる様に置くと、
縦の長さ2F(n-1)F(n-2)/3F(n)、
横の長さF(n-2)+F(n-3)の長方形から、
その上辺に接する縦の長さF(n-1)F(n-2)/3F(n)、
横の長さF(n-3)−F(n-4)の長方形をくり貫いた図形になる。

この図形をXとして、その上辺に辺ADを重ね、右上の頂点に点Aを重ねて、△ADFを置く。

またXの左辺に辺CEを重ね、点Aと同じ位置に点Cを重ねて、△CFEを置く。

これで図形の変換は終了する訳であるが、

△ADF∽△CFE,ADとFEは平行だから、斜辺は一致している。

図形Xの全体の縦の長さχは、
χ=2F(n-1)F(n-2)/3F(n)

△CFEの辺CEの長さは、F(n-2)2/F(n)

今、F(n)=F(n-1)+F(n-2)だから、

χ−CE
={2F(n-1)−3F(n-2)}F(n-2)/3F(n)
=F(n-5)F(n-2)/3F(n)

今、F(n)>0だから、χ>CE

よって、図形Xは△CFEの下辺より少し下にはみ出している。

なお、同様にすると、図形Xの右辺は△ADFの右辺と完全に繋がっている。

図形Xの下にはみ出している部分は、
横の長さF(n-2)+F(n-3)、
縦の長さ(χ−CE)の長方形である。

その面積は、

{F(n-2)+F(n-3)}×{F(n-5)F(n-2)/3F(n)}
=F(n-1)F(n-2)F(n-5)/3F(n)

図形Xで、くり貫かれている長方形の面積は、

{F(n-1)F(n-2)/3F(n)}×{F(n-3)−F(n-4)}
=F(n-1)F(n-2)F(n-5)/3F(n)

よって、面積は等しい。

【おまけ1】

『F(n)が偶数』と『nが3の倍数』とが同値である事を証明する。

≪ア≫
まず、F(1)=F(2)=1であるから、
n=1,2のとき、F(n)は奇数。

F(3)=F(1)+F(2)であるから、
n=3のとき、F(n)は偶数。

≪イ≫
n=3kのとき、F(n)は偶数で、
F(n-1),F(n-2)が奇数だと仮定する。
【kは自然数】

F(3(k+1)-2)=F(3k)+F(3k-1)
F(3(k+1)-1)=2F(3k)+F(3k-1)
F(3(k+1))=3F(3k)+2F(3k-1)

今、F(3k)は偶数で、F(3k-1)は奇数だから、
n=3(k+1)のときも、成立する。

≪ア≫,≪イ≫より、nが3の倍数。

【おまけ2】

nが5の倍数。

【おまけ3】

nが6の倍数。

【おまけ4】

nが8の倍数。
≪以上、証明は【おまけ1】と同様。≫


◆千葉県 緑川 正雄 さんからの解答

【問題1−1の回答】

水平方向をx軸とし右方向を正、垂直方向をy軸とし上方向を正に座標軸を取る。

上の図形の斜面の方程式を求めると、
図のx=0〜 8までの斜面の傾きは3/8であり、
斜面はy= 3

8
x で表される。

x=8〜13までの斜面の傾きは2/5であり、
斜面はy= 2

5
(x-8)+3 で表される。

よって、斜面と図形の右端の直線、下の直線で囲まれる面積は、

 8

 0
3

8
dx+  13

 8
{ 2

5
(x-8)+3}dx=32

下の図形の斜面の方程式を求めると、
図のx=0〜 5までの斜面の傾きは2/5であり、
斜面はy= 2

5
x で表される。

x=5〜13までの斜面の傾きは3/8であり、
斜面はy= 3

8
(x-5)+2 で表される。

よって、斜面と図形の右端の直線、下の直線で囲まれる面積は、

 5

 0
2

5
x dx+  13

 5
{ 3

8
(x-5)+2}dx=33

であり、下の図形の斜面と図形の右端の直線、下の直線で囲まれる面積は上の図形の斜面と図形の右端の直線、下の直線で囲まれる面積より1大きい。

よって、上の図の分割した各部分を下の図のように並び替えると面積1だけ不足が生ずる。

【問題1−2の回答】

上の図形の面積Sは、

S=1/2×{F(3)×F(5)+F(4)×F(6)}+F(4)×F(5)

下の図形の穴の空いている部分も含めた面積Tは、

T=1/2×{F(3)×F(5)+F(4)×F(6)}+F(3)×F(6)

で表される。

よって、

S-T
=F(4)×F(5)-F(3)×F(6)
=F(4)×F(5)-F(3)×{F(4)+F(5)} =F(4)×{F(5)-F(3)}-F(3)×F(5)
=F(4)×F(4)-F(3)×F(5)
=(-1)5 [第68回 問題3]
=-1

となり、下の図形の穴の空いている部分も含めた面積の方が大きい。

【おまけ】

F(1)=1 …(1)
F(2)=1 …(2)
F(n+2)=F(n)+F(n+1) [n≧1] …(3)より、

F(n+3)
=F(n+1)+F(n+2)
=F(n)+2×F(n+1) …(4)

よって、
F(n+3)≡F(n) [mod2]…(4)’

(3)、(4)より
F(n+4)
=F(n+2)+F(n+3)
=2×F(n)+3×F(n+1) …(5)

よって、
F(n+4)≡2×F(n) [mod3]…(5)’

(4)、(5)より
F(n+5)
=F(n+3)+F(n+4)
=3×F(n)+5×F(n+1) …(6)

よって、
F(n+5)≡3×F(n) [mod5]…(6)’

(5)、(6)より
F(n+6)
=F(n+4)+F(n+5)
=5×F(n)+8×F(n+1)…(7)

よって、
F(n+6)≡5×F(n) [mod8]…(7)’

(6)、(7)より
F(n+7)
=F(n+5)+F(n+6)
=8×F(n)+13×F(n+1)…(8)

よって、
F(n+7)≡8×F(n) [mod13]…(8)’

(7)、(8)より
F(n+8)
=F(n+6)+F(n+7)
=13×F(n)+21×F(n+1) …(9)

よって、
F(n+8)≡13×F(n) [mod21]…(9)’

【おまけ1の回答】

F(3n)[n≧1]だけが偶数である。

【理由】

(4)、(4)’の関係式を順次適用すると、n≧1の時

F(3n+1)
≡F(1) [mod2]
≡1 [mod2]
0 [mod2]

F(3n+2)
≡F(2) [mod2]
≡1 [mod2]
0 [mod2]

F(3n+3)
≡F(3) [mod2]
≡2 [mod2]
≡0 [mod2]

F(3)とF(3n+3)[n≧1]のみが2で割り切れる。
即ち F(3n)[n≧1]だけが偶数である。

【おまけ2の回答】

F(5n)[n≧1]だけが5の倍数である。

【理由】

(6)、(6)’の関係式を順次適用すると、n≧1の時

F(5n+1)
≡(3n)×F(1) [mod5]
≡(3n)×1 [mod5]
≡3n [mod5]
0 [mod5]

F(5n+2)
≡(3n)×F(2) [mod5]
≡(3n)×1 [mod5]
≡3n [mod5]
0 [mod5]

F(5n+3)
≡(3n)×F(3) [mod5]
≡(3n)×2 [mod5]
0 [mod5]

F(5n+4)
≡(3n)×F(4) [mod5]
≡3n+1 [mod5]
0 [mod5]

F(5n+5)
≡(3n)×F(5) [mod5]
≡(3n)×5 [mod5]
≡0 [mod5]

F(5)とF(5n+5)[n≧1]のみが5で割り切れる。
即ち F(5n)[n≧1]だけが5の倍数である。

【おまけ3の回答】

F(6n)[n≧1]だけが4の倍数である。

【理由】

(7)、(7)’の関係式を順次適用すると、n≧1の時

F(6n+1)
≡(5n)×F(1) [mod8]
≡(5n)×1 [mod8]
≡5n [mod8]
0 [mod8]

F(6n+2)
≡(5n)×F(2) [mod8]
≡(5n)×1 [mod8]
≡5n [mod8]
0 [mod8]

F(6n+3)
≡(5n)×F(3) [mod8]
≡(5n)×2 [mod8]
0 [mod8]

F(6n+4)
≡(5n)×F(4) [mod8]
≡(5n)×3 [mod8]
0 [mod8]

F(6n+5)
≡(5n)×F(5) [mod8]
≡5n+1 [mod8]
0 [mod8]

F(6n+6)
≡(5n)×F(6) [mod8]
≡(5n)×8 [mod8]
≡0 [mod8]

F(6)とF(6n+6)[n≧1]のみが8で割り切れる。
即ち F(6n)[n≧1]だけが4の倍数である。

【おまけ4の回答】

F(8n)[n≧1]だけが7の倍数である。

【理由】

(9)、(9)’の関係式によれば、n≧1の時

F(8n+1)
≡(13n)×F(1) [mod21]
≡(13n)×1 [mod21]
≡13n [mod21]
0 [mod21]

F(8n+2)
≡(13n)×F(2) [mod21]
≡(13n)×1 [mod21]
≡13n [mod21]
0 [mod21]

F(8n+3)
≡(13n)×F(3) [mod21]
≡(13n)×2 [mod21]
0 [mod21]

F(8n+4)
≡(13n)×F(4) [mod21]
≡(13n)×3 [mod21]
0 [mod21]

F(8n+5)
≡(13n)×F(5) [mod21]
≡(13n)×5 [mod21]
0 [mod21]

F(8n+6)
≡(13n)×F(6) [mod21]
≡(13n)×8 [mod21]
0 [mod21]

F(8n+7)
≡(13n)×F(7) [mod21]
≡13n+1 [mod21]
0 [mod21]

F(8n+8)
≡(13n)×F(8) [mod21]
≡(13n)×21 [mod21]
≡0 [mod21]

F(8)とF(8n+8)[n≧1]のみが21で割り切れる。
即ち F(8n)[n≧1]だけが7の倍数である。

【◆参考】

F(1)=1 …(1)
F(2)=1 …(2)
F(n+1)=F(n)+F(n-1) [n≧2] …(3)

(3)を

F(n+1)-α×F(n)=β×{F(n)-α×F(n-1)} …(4)

で表すと、

α+β=1,α×β=-1 …(5)

であるからα,βは

t2-t-1=0の根
1+
――――
2
1-
―――――
2
である。

上の根は実数であり、β>αと仮定して、一意性は失われない。

α= 1-
――――
2

β= 1+
―――――
2
と置く。

F(n+1)-α×F(n)
=β×{F(n)-α×F(n-1)}
={βn-1}×{F(2)-α×F(1)}
={βn-1}×(1-α) [(1),(2)より]
n [(5)より] …(6)

式(4)を変形すると

F(n+1)-β×F(n)=α×{F(n)-β×F(n-1)} …(7)

であるから、式(6)を求めた方法と同様の方法に基づき

F(n+1)-β×F(n)=αn …(8)

となり、 (6)-(8)より

(β-α)×F(n)={βnn} …(9)

を得る。

ところで,β-α=であるから、

…(10)

F(n)は条件:n≧2で求められたが、式(10)はF(1)=1を満足するので、
n≧1に対して成立する。


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