『正三角形? Part2』解答


◆広島県 清川 育男 さんからの解答。

【問題1】

|BC|=|PC-PB|=(2b+1)2>1

|AC|=|PC-PA|=2(a-b)2≧0

|AB|=|PB-PA|=|2(a-b)2-(2b+1)2|

イ)
2(a-b)2-(2b+1)2=(2b+1)2
(a-b+2b+1)(a-b-2b-1)=0

1)a=-b-1

2(-b-1-b)2=(2b+1)2
2(2b+1)2=(2b+1)2
(2b+1)2=0.....不適

2)a=3b+1

2(3b+1-b)2=(2b+1)2
2(2b+1)2=(2b+1)2
(2b+1)2=0.....不適

ロ)
(2b+1)2-2(a-b)2=(2b+1)2

a=b
PA=(2a+1)2
PB=0
PC=(2a+1)2

点B=点P,a=bのとき
一辺が (2a+1)2 の正三角形を作ることが出来る。
しかしこれは題意を満たすのでしょうか。


【出題者のコメント】

問題文ではあえて書かなかったのですが、線分の長さは正の値であることを暗黙の了解にして下さい
(あと任意のa,bに対して……ということも)。

清川さんのおっしゃるとおり、長さ0をも線分と認めた場合
(0になる可能性があるのは
2(a2+a-b2-b)=0の時しかあり得ないわけですが)
a=bでは確かに成り立つけど、a+b+1=0では成り立ちません。


◆広島県 清川 育男 さんからの解答。

【問題1】

PA=(2a+1)(2b+1) ......1)
PB=2(a2+a-b2-b) ......2)
PC=2(a2+a+b2+b)+1 ......3)

題意より、
a>b≧0 a,bは整数。

a+b=X,a-b=Y とおく。
1)式より
PA=(X+Y+1)(X-Y+1)=(X+1)2-Y2 ......4)

2)式より
PB=2(XY+Y)=2Y(X+1) ......5)

3)式より
PB=(X2+Y2+2X)+1
 =(X+1)2+Y2 ......6)

X+1=X1 とおく。
4)式より
PA=X12-Y2 ......7)

5)式より
PB=2X1Y ......8)

6)式より
PC=X12+Y2 ......9)

7),8),9)式より

PA2+PB2
=(X12-Y2)2+(2X1Y)2
=(X12+Y2)2
=PC2

PC2=PA2+PB2

PC,PA,PBはピタゴラス数であることがわかる。

◆作図

例えば、PC>PA>PB とする。
線分PAをとる。
(点Pは点Aの左側にあるとする。)

反時計回りに角APBが30度になるように点Bをとる。
線分ABの垂直二等分線とPCとの交点を点Pの反対側に点Cをとる。

正三角形の一辺の長さ

これでいいと思うのですが証明はだれかお願いします。

◆疑問

3辺がピタゴラス数でないときは無理なのでしょうね。


【出題者のコメント】

まず、与えられた長さが意味ありげなので、探るとピタゴラス数であることに気づきます。
次に考えるべきことはそれをどう使うかでしょう。

清川さんの方針はいいところをついているのですが、必ず存在してくれるかどうかは微妙だと思います。
いくつか特殊な値で矛盾点がないか計算してみましたが、どれも存在してくれそうな位置にあるので、なんとも言えませんでした。

このように書いてしまうと、私が用意していた解答と違っていることがバレバレなのですが、着眼点はいいので3辺がピタゴラス数となる三角形をいろいろ動かして試行錯誤してみて下さい。
(ここまで書いてしまうと、早いもの勝ちかも?)


◆石川県 平田 和弘 さんからの解答。

【問題2】

初等幾何による方法は補助線の引き方がわからないので複素平面で考えます。

一般に正三角形の頂点を(左回りに)A、B、Cとし、座標をそれぞれα、β、γ(は複素数)とすると、

α+ω・β+ω2・γ=0を満たします。

(但しωは1の3乗根の1つで、
ω=(-1+i)/2=cos(120°)+i・sin(120°) です。)

これを問題に適用して、わかりやすくするために点Pを原点と考えて、
正三角形APBで、A、Bの座標をα(1)、α(2)とすると

α(1)+ω・0+ω2・α(2)=0

∴ α(1)=−ω2・α(2)・・・(1)

同様に、正三角形CPDで、C、Dの座標をβ(1)、β(2)とすると

β(1)+ω・0+ω2・β(2)=0

∴ β(1)=−ω2・β(2)・・・(2)

正三角形EPFで、E、Fの座標をγ(1)、γ(2)とすると

γ(1)+ω・0+ω2・γ(2)=0

∴ γ(1)=−ω2・γ(2)・・・・・(3)

また、点G、H、IはそれぞれAF、BC、DEの中点なので
点G、H、Iの座標をそれぞれx、y、zとすると

2x=α(1)+γ(2)=γ(2)−ω2・α(2) (※(1)より)
2y=α(2)+β(1)=α(2)−ω2・β(2) (※(2)より)
2z=β(2)+γ(1)=β(2)−ω2・γ(2) (※(3)より)

よって、ω3=1 なので

 2(x+ω・z+ω2・y)
=2{γ(2)−ω2・α(2)+ω・β(2)−ω3・γ(2)+ω2・α(2)−ω4・β(2)}
=2{ω・β(2)−ω4・β(2)}
=2{ω・β(2)−ω・β(2)}
=0
で、
x、y、zは、x+ω・z+ω2・y=0 を満たす。
したがって三角形GIHは正三角形である。

(感想)

複素平面で考えると、x3=1 を解くと確か正三角形の作図と関係があることを思い出しました。
初等幾何での方法がわかりましたら教えてください。
とても私の手におえません。


【出題者の問題2のコメント】

他にも中点をもっと結んで、補助的な正三角形を見つけ、これを媒介としてみるとうまくいきそうです。


◆埼玉県 斉藤 誠 さんからの解答。

ベクトル合成で求めてみました。

図の様に平行四辺形APFJ、BPCK、DPELを作成し、
三角形KLJが正三角形であることを示します。

すると、三角形GHIは正三角形です(中点連結定理)。

図のように正三角形ABPの一辺BAをベクトルaとします。
また、辺APをベクトルa(120)、辺PBをベクトルa(240)と表すことにします。

同様に正三角形CDP、EFPにもベクトルb、cなどを考えます。

すると、
 |a|=|a(120)|=|a(240)|

 |b|=|b(120)|=|b(240)|

 |b|=|b(120)|=|b(240)|


でかつその方向は(「a」↑)などと表す)
 「a(120)」↑=「a」↑+120°
 「b(120)」↑=「b」↑+120°
 「c(120)」↑=「c」↑+120°
などのように、120°ずつ回転しており、

それらの合成ベクトルも
 「a(120)+b(120)」↑=「a+b」↑+120°
 「b(120)+c(120)」↑=「b+c」↑+120°
 「c(120)+a(120)」↑=「c+a」↑+120°
と、ベクトル相互間の方向は変わらない。

すなわち、これらの合成ベクトルの絶対値は等しくなる。

各ベクトルを平行移動(平行四辺形上を)し、合成すると

|a+b+c|
=|a(120)+ b(120)+ c(120)|
=|a(240)+ b(240) + c(240)|
と絶対値が等しくなる。

よって
 KJ=JL=LK
となり三角形KJLは正三角形となる。

少し省略しすぎかもしれませんが、図をみれば明らかでしょう。

ベクトルを使わずに、平行四辺形をもう2度使いKJ、JL、LKをそれぞれ対角とする同一サイズの平行四辺形が書けそうですが、複雑になります。
ベクトルは便利ですね!


◆埼玉県 斉藤 誠 さんからの解答。

【問題1】

「整数」にだまされてしまいました。

3線分が鋭角三角形(正確には全ての角が120°以下)の辺であれば成立します。
いろいろな証明法が考えられますが、ここでは『最短シュタイナー問題』で使った方法で証明します。

題意で表された線分がピタゴラス数になるとして(清川さんの証明)続きの証明。

全ての角が120°以下の三角形ABCにおいて各辺を1辺とする正三角形に外接する円を作成し、それらの中心をP,Q,Rとします。

この円は1点Oで交わり、それら3円の中心を結ぶ△PQRは正三角形です。
ここまでは『最短シュタイナー問題』と同じです。

 ここで弦ABをORを含む直線上に移動しOR’とします。
同様に弦BC、CAを移動しOP’、OQ’とします。

AB:OR=BC:OP=CA:OQ

なので△PQR∽△P’Q’R’となり、△P’Q’R’は正三角形である。
3辺がピタゴラス数の三角形はここに含まれる。


◆埼玉県 斉藤 誠 さんからの解答。

初等幾何で長さが求まりましたので報告します。

三角形の内部にとった点Oを
∠AOC=∠BOA=∠COB=120°
にとります。
すると、これらの小三角形を2個ずつ使った平行四辺形を図の様に配置し、正三角形を作ることができます。
∵∠OAC+∠OCA=60°

また、この三角形の1辺は、元の三角形のAO+BO+COに等しい。

△AOCを点Cを中心に反時計方向に60°回転し△BQCとします。
すると、△OQCは正三角形です。
また、OQは元の三角形の辺ACに等しく
OBは元の三角形の辺BCに等しく
BQ=AOは元の三角形の辺ABに等しいので、
△QOB≡元の△ACB。

また、同様に△BOAおよび△COBをそれぞれ60°回転させ
△CRA、△APBを作成すると
△ORA、△OPBは正三角形。
△OCR≡△OAP≡元の△ACB

これらの関係から、及び6角形APBQCRの面積が正三角形の面積の2倍であることから、
元の三角形の面積をSとし、AB=c BC=a CA=b とし、
また、正三角形の1辺をKとすると
3×S+(a+b+c
  (6角形の面積)
=2×
  (正三角形の面積の2倍)

Kについて整理すると

2×K=4S+a+b+c


となり、できあがった正三角形の辺が求まる。
これは、「最短シュナイター問題」の最短経路を求めることと同値です。

元の三角形が直角三角形であると、斜辺をCとすると

=a+b
S=
――
a×b

を代入して整理すると


が辺の長さです。

それにしても、問題に示された 3つの式はどこから見つけられたのでしょう。
おかげで、最短シュナイター問題の経路長をも初等幾何で求めることが出来ました。


◆静岡県 村松 芳子 さんからの解答。

【問題2】

角度だけで解く方法を考えました。
中学生でも解りますよ。

AB,CD,EFの各中点をそれぞれJ,K,Lとし、六角形JHKILGとする。

 

証明の順番

(1)JH=HK,KI=IL,LG=GJ を証明

(2)△JHK,△KIL,△LGJが底角30°の二等辺三角形であることを証明

(3)△GHIが正三角形であることを証明


(1)JH=HK,KI=IL,LG=GJ を証明

△APCと△BPDにおいて
 ∠APC=∠BPD
 AP=BP
 CP=DP より
△APC≡△BPD

∴AC=BD

△ABCにおいてJ,Hは各辺の中点なので
JH//AC,JH=AC/2

同様に△BCDにおいて
HK//BD,HK=BD/2

∴JH=HK

同様にして
KI=IL,LG=GJも証明できる。

(2)△JHK,△KIL,△LGJが底角30°の二等辺三角形であることを証明

△JHKにおいて
HJとBDとの交点をMとすると
∠JHK=∠JMD(同位角)=∠MBJ+∠BJM
∠MBJ=∠DBP+60°
∠DBP=∠CAP(△APC≡△BPDだから)

∴∠MBJ=∠CAP+60°

∠BJM=∠BAC(同位角)
∴∠JHK=∠CAP+60°+∠BAC=120°

またHJ=HKだから
∠HJK=∠HKJ=30°

∴△JHKは底角30°の二等辺三角形である。

 

同様にして △KIL,△LGJも底角30°の二等辺三角形であることが言える。

(3)ここで、点H,I,Gは△JKLの各辺の上に立つ3個の正三角形の重心である。
このとき△HIJが正三角形であることを証明すればよい。

これは、まさに大阪のCHECKさんの問題であり、yoshita君の問題でもある。
すでに、いくつかの解法が寄せられているので参照されたい。
yoshita君のHPには、角度だけ でできる証明がありますよ。


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