『円に関する問題2題』解答


◆北海道 小西 さんからの解答。

【問題2】

△ABCの面積をS、△A'B'C'の面積をS'、△ABCの外接円の半径をR、△ABCの内接円の半径をrとする。

(1)
拙作『三角形、六角形の面積』の(2)より、
S' = RS
2r
公式 R = abc
4S
, r = 2S
a + b + c
より、
S' = abc(a + b + c)
16S
 (答)

(2)
△ABC
△A'B'C'
= abc
a + b + c
を示せとあるが、 abc
a + b + c
にはならない。

S
S'
= 16S2
abc(a + b + c)

ヘロンの公式より、
16S2 = (a + b + c)(-a + b + c)(a - b + c)(a + b - c)

よって、
S
S'
= (-a + b + c)(a - b + c)(a + b - c)
abc
 (答)

(3)
求める面積をs、内側の六角形の面積をs6とすると、
s = S + S' - 2s6

まず2s6を求める。

円周角の定理より∠BAB' = ∠CAB'、∠CBC' = ∠ABC'、∠ACA' = ∠BCA'であるから、
AB'、BC'、CA'は△ABCの内心Oで交わる。

また、△AA'C'と△OA'C'について、円周角の定理より
∠AA'C' = ∠CA'C'、∠AC'A' = ∠BC'A'であり、辺A'C'が共通であるから、△AA'C' ≡ △OA'C'である。

ここで、△ABCの辺上をA→B→C→Aと辿ったときにぶつかる順に、
内側の六角形の頂点をD、E、F、G、H、Iとし、AOとA'C'の交点をMとする。

△ADMと△AIMについて、∠BAB' = ∠CAB'、△AA'C' ≡ △OA'C'よりAO ⊥ DI、辺AMは共通であるから、
△ADM ≡ △AIMとなり、DM = IMである。

上記に加えて、△AA'C' ≡ △OA'C'よりAM = OMであるから、
□ADOIは対角線が直交し、互いに他を2等分するので菱形である。

同様に□BFOE、□CHOGも菱形となり、DG、EH、FIは1点Oで交わることがわかる。

ここで、△AEH、△BGD、△CIFの面積をそれぞれSa、Sb、Scとすると、
△ADI ≡ △ODI、△BFE ≡ △OFE、△CHG ≡ △OHGであるから、
Sa + Sb + Sc = 2s6となる。

BC//EHより△ABC∽△AEHであり、BCを底辺としたときの△ABCの高さをhaとすると、
相似比はha : ha - rである。従って、
Sa = (ha - r)2
ha2
S
ここで、S = aha
2
より ha = 2S
a
であるから、
Sa = S - ar + r2
4S
a2 (途中計算省略)

同様に、
Sb = S - br + r2
4S
b2
Sc = S - cr + r2
4S
c2

よって、
2S6 = 3S - (a + b + c)r + r2
4S
(a2 + b2 + c2)
公式 r = 2S
a + b + c
より、
2S6 = S + a2 + b2 + c2
(a + b + c)2
S

これと(1)の答えを冒頭の式に代入し、
s = S + abc(a + b + c)
16S
- S - a2 + b2 + c2
(a + b + c)2
S
= abc(a + b + c)
16S
- a2 + b2 + c2
(a + b + c)2
S (答)
ただし、ヘロンの公式より
S=(t(t - a)(t - a)(t - a))1/2、2t = a + b + c
である。

16S2 = (a + b + c)(-a + b + c)(a - b + c)(a + b - c)
を用いれば、
s = ( abc
(-a + b + c)(a - b + c)(a + b - c)
- a2 + b2 + c2
(a + b + c)2
)S (答の変形例)
などに変形することもできる。

【コメント】
本問(3)は拙作『三角形、六角形の面積』(3)の用意してある解答の前半を流用しました。


◆出題者のコメント。

今回の問題においてはR=1故、
R= abc
4S
∴4S=abc

S
S'
= 16S2
abc(a + b + c)
= (abc)2
abc(a + b + c)
= abc
a + b + c

小西さんはR=1を見落とされたのでしょう。
ただ一般的にはRはそのままで、小西さんの解の方がよりスマートでしたか。


◆神奈川県 クラテス さんからの解答。

【問題1】

次のようにして作図できる

  1. OHの垂直二等分線と円Oとの交点をD,Eとする。
  2. OD及びOEの垂直二等分線を引き、円Oとの交点をB,C及びB´,C´とする。
  3. BCとB´C´の中点をM,M´とする。
  4. OHを1:2に内分する点をGとする。
  5. MG及びM´Gと円Oの交点のうち優弧BC及び優弧B´C´との交点をそれぞれA, A´とする。
  6. 三角形ABC(赤い三角形)及び三角形A´B´C´(青い三角形)が求める三角形。


◆出題者のコメント。

クラテスさん、早速の解答、ありがとうございました。
しばらくは解答はこないかと思っていましたが、あっさり解かれてしまいました。
脱帽です。

この問題のポイントはクラテスさんの作図4
つまり「OHを1:2に内分する点をGとする。」

この点G(△ABCの重心になる)に気づくかどうかということだと思います。

私は他の問題を考えているときにたまたま知ってから、この問題を出題したのですが、本当に脱帽です。
クラテスさんは、△ABCにおいて、
「外心、重心、垂心が同一直線上にある。」

このことをご存知だったのでしょうか?


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

問題1にはシンプルな方法がありましたので解答いたします。

【問題1】

描き方

  1. 円Oと同じ大きさの円を、Hを中心に描く。
    円Oと円Hの交点をA,A’とする。

  2. 円Oと同じ大きさの円を、A’を中心に描く。
    円Oと円A’の交点をB,Cとする。

証明

  1. 中心角BOCは120度であるから、円周角BAC(つまり∠A)は60度である。

  2. A’H=A’O=A’B=A’Cであるから、
    円周角の定理より∠BHC=120度である。

  3. よって対頂角である∠GHFも120度である。

  4. Cをとおり、BHFに直交する直線と円Oの交点をXとする。
    するとCHの延長線とXBの成す角度は90度である。
    つまりHは三角形XBCの垂心である。
    ( XはAの付近で実はA )

  5. 従って、XHはBCに直交する。
    逆に言うと、BCに直交しHを通る直線と円Oの交点でHの側の交点をAとすれば、Hは三角形ABCの垂心である。

  6. ところで四角形OA’HAはひし形である。
    よってAH//OA’であり、AH⊥BCである。

以上よりHは三角形ABCの垂心である。


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