『ややこしい確率』解答


◆新潟県 加藤 英晴 さんからの解答。

【問題1】

○○さんの2人の子供の一方をA,他方をBとします。
子供は,男か女で,男であることも女であることも同様に確からしいとしますと,
(A,B)=(男,男),(男,女),(女,男),(女,女)の4通りの場合が考えられるので,
P(Aが男)=

です。
また,P(Aが男かつBが男)=
です。

よって,

P(Bが男|Aが男)=P(Aが男かつBが男)
P(Aが男)



です。

Bが男と先に分かっている場合もAとBの対称性より答えは

【問題2】

3枚のカードをA,B,Cとし,それぞれに1面・2面の2つの面があり,Aは1面も2面も赤,Bは1面も2面も黒,Cは1面が赤で2面が黒とします。

3枚のカードのどのカードを引くことも同様に確からしいとしますと,

(表(見えている面),裏)=(Aの1面,Aの2面),(Aの2面,Aの1面),(Bの1面,Bの2面),(Bの2面,Bの1面),(Cの1面,Cの2面),(Cの2面,Cの1面)

つまり,

=(赤,赤),(赤,赤),(黒,黒),(黒,黒),(赤,黒),(黒,赤)の6通りの場合が考えられので,

P(表側(見えている面)が赤)=

です。
また,P(両面が赤)=

です。

よって,

 P(両面が赤|表側(見えている面)が赤)

P(両面が赤)
表側(見えている面)が赤)



【問題3】

赤玉がR個,青玉がB個入っていたとします。

 P(2回目が赤|1回目が赤)
=P(1回目も2回目も赤)÷P(1回目が赤)


R+B
×R−1
R+B−1
÷
R+B
R−1
R+B−1

 P(2回目が青|1回目が赤)
=P(1回目が赤で2回目が青)÷P(1回目が赤)


R+B
×
R+B−1
÷
R+B

R+B−1

【感想】

全て条件付確率の問題ですね。
ある理論(ガンマ関数の積分を使うやつ)では,また別の答えになるという記事を読んだことがあります。


◆出題者のコメント。

加藤 英晴 さん、解答ありがとうございます。
出題から6ヶ月以上も無解答だったので、出題者としては、とても嬉しいです。

寄せられた解答ですが、【問題2】はみごと正解です。
残念ですが、【問題1】と【問題3】は正解ではありません。
信じられないかもしれませんが、【問題3】は、RやBなどのような代数は使わない、具体的な値になります。


◆青木コメント。

実は以前にメーラーのトラブルで失われたメールの中に、いくつかこの問題への解答があったのです。
申し訳ありません。


◆海外 小山 達樹 さんからの解答。

【問題1】

出題者のコメントで問題1に寄せられた加藤さんの解答が不正解ということですが、私は加藤さんの答 1/2 が 正解だと思います。
この問題のポイントは弁慶くんがいることを『偶然』知ったということです。
加藤さんの解答を書き直すだけになるかもしれませんが以下に私の考え方を載せます。

子供がふたり、の場合

  1. 男男 (お兄さんと弟)
  2. 男女 (お兄さんと妹)
  3. 女男 (お姉さんと弟)
  4. 女女 (お姉さんと妹)
の4通りが考えられます。

弁慶君の存在が判ったので最後の女女の可能性はなくなります。
それで、残りの三つ、男男、男女、女男、が同じ確率なので、1/3 ずつと考えがちですが、実は違います。

男の子がふたりの場合は、他の二つに比べて『偶然』弁慶君の存在を知る可能性が倍あります。
男の子がひとり(もうひとりは女の子)の場合、弁慶君はそれぞれ兄、あるいは弟でなくてはなりませんが、男 の子がふたりの場合だけ、兄、弟の両方の場合があるので、男女、女男に比べて確率は倍です。

そこで、男男が 1/2、男女が 1/4、女男が 1/4 となり、問題のもう1人の子供が男の子の確率は 1/2 です。

さて、問題を少し変えると答も変わります。

○○さんには子供が2人います。
そのうち1人は弁慶という名前の男の子です。
さて、弁慶くんでない○○さんのもう1人の子供が、男の子である確率はいくらでしょうか?

この問題の答は 1/3 です。
偶然知った、というのがないので、ひとりが男の子である、という条件が与えられた時に、女女の可能性がなくなる、ということしかおきません。
そこで残りのみっつ、男男、男女、女男がそれぞれ 1/3 ずつになります。

ただ、元の問題のように偶然存在を知ったのが男の子であった場合は、男男の確率が、男女、女男の二つより高 い、ので、加藤さんの解答のように 1/2 になります。

確かにややこしいですね。

この問題は私のページでも扱っていますので、よろしければご覧下さい。 http://beetama.com/prob/probtop.htmlの『男の子か女の子か』です。


◆出題者のコメント。

小山 達樹 さん、解答ありがとうございます。
【問題1】は、最初の考え方の1/3でよい筈です。

>男の子がふたりの場合は、他の二つに比べて『偶然』弁慶君の存在を知る可能性が倍あります。

本当に、そう言えるでしょうか? 

例えば、以前、子供に「とんでもない名前」を付けた親がいて、話題になったことがありますね。
このように、日常生活の上でも、変わった名前の方が、常識的な名前より話題になります。
仮に、3人の子供がいて、2人が女の子で1人だけ男の子としましょう。
女の子は2人ともごく普通の名前で、男の子の名前が「弁慶」だったら、どうでしょう。
子供の名前として話題になるのは、1人の「弁慶」君の方が2人の女の子よりずっと多いはずです。
ですから、ある家には「弁慶」君という名前の男の子がいることを偶然知る機会も多くなります。
だからといって、「弁慶」君が、3人の中で1番話題になるとも限りません。
なぜなら、女の子に、もっと話題になる名前だって考えられますから…。
また、2人の子でも、おしゃべりな子の方が、その声を耳にする機会は多いはずです。
このように、名前も含めたその子の個性が、その子の存在を偶然知る機会を左右します。

●「偶然1人の子供の性別を知った」は、「無作為に1人の子供の性別を知った」ではないのです。
文字どおり偶然知っただけです。

判り易くいえば、【問題2】の、「箱の中からカードを1枚だけ取り出すと…」で、無作為に取り出したカードの表の色を知るのは必然です。
また、【問題3】の、「そのガラポン抽選器から玉を1個出すと、…」で、無作為に出した玉の色を知るのも必然です。
(なぜなら、そのために無作為に「取り出す」や「出す」の試みをいているのですから)

ところが、【問題1】で、1人の子供の性別を知ったのは必然ではなく、文字どうり偶然です。
性別は、1人も知らなくても、どちらを知っても、2人とも知ってもかまわないのです。
たまたま、ある1人を知っただけです。
つまり、2人の内の1人の性別を知ろうとして、無作為に何かを試みた結果ではないのです。

ですから、こういった問題で、 「弁慶」君や声を聞いた子の存在を優先させ、それを知る確率を問題にするのは誤りです。
つまり、これらの問題は存在を偶然知ったところから出発しているのです。

●正しい考え方

子供が二人である標本空間は、(年長,年少)の順に表すと、
(男,男),(男,女),(女,男),(女,女)の4通りの順序対になります。
これらの4通りの順序対となる確率はどれも1/4です。
つまり、兄弟の確率=兄妹の確率=姉弟の確率=姉妹の確率(=1/4) です。
ですから、男の子が必ず入った順序対は、上の4通りの内の最初の3対です。
つまり、起こり得るケースは(男,男),(男,女),(女,男)の3通りです。
このとき、どのケースとなる確率も等しいので、(男,男)である確率は1/3です。

●誤った考え方(弁慶君の存在を優先させた考え方)

「弁慶」君の入った組み合わせは、(弁慶と弟),(兄と弁慶),(弁慶と妹),(姉と弁慶)の4通り。
上と同じ順序対の標本空間で表すと、
(男,男),(男,男),(男,女),(女,男)となり、(男,男)の確率は1/2。
これでは、(弁慶と弟)と(兄と弁慶)は兄弟のケースを2度数えています。
ですから、(弁慶,男),(男,弁慶),(弁慶,女),(女,弁慶)の確率はどれも等しいとするのは、 明らかに誤った標本空間です。

☆ ただし、問題が『「年長の子は弁慶という名の男の子である」ことを偶然知りました。』なら、
2人とも男の子である確率は1/2になります。


◆新潟県 加藤 英晴 さんからのコメント。

問題の論点について考えます。
問題1の「弁慶という男の子がいる(ということを知る)」
問題2の「初めにひいたカードの見えている方が赤である(ということ知る)」
問題3の「初めに出た玉が赤(青)である(ということを知る)」
も事象であることに変わりありません。

出題者は,事象の起こることの必然性・偶然性を問題にしています。
つまり,問題1のようにそれがおこるために試行をおこなっていない事象は,偶然おこった事象, 問題2・3のようにそれがおこるために試行をおこなった事象を,必然的におこる事象としています。
そして事象Aが,
偶然おこった事象のときは,P(B|A)=P(B)・・・AとBが独立
必然的におこる事象のときに,P(B|A)=P(AかつB)/P(A)・・・AとBが従属
と考えているようです。

実際,教科書の条件付確率の定義も,AやBがある試行でえられた事象であることが大前提になっています。
つまり確率の問題文では,事象はある試行の下でえられたもの(出題者風にいうと必然におこる事象)とせよ という暗黙の条件が潜んでいると考えるのが妥当ではないかと思います。

偶然Aだったという文言だけで,Aが「試行のおこなわれていない事象」と判断せよという問題文は難しい。
そもそもある事象が何かの試行の下であるか否かの決定はどのように行なうのだろう(偶然という単語だけで)?
それは,問題文の読む人の感覚に影響されてしまうでしょう。

「弁慶の存在」を知る確率を問題にするのは,誤りでそれを知ったところから問題が始まっているというのは,その通 り。
というより,「弁慶の存在」をAとすると,Aが試行の下の事象でないため,P(A)が定義できない!!
well−definedでないP(A)がBとは影響し合わないと考えられるから,AとBが独立になる。
よって,事象Aは,問題文中の単なる条件文と見て,その条件の成り立つ世界に入ってから初めてP(B)だけを考えればよいことになる。
だから,「試行されていない事象」だったときに,・・・の確率は?などときいているのは,「試行されていない事象」が成り立つという条件のあるところで,独立して・・・の確率をきいていると考えられる。

問題1を例にすると,「弁慶という男の子がいることをたまたま(試行をせずに)知った」ということは, 「弁慶という男の子がいる」と断言しているのと同じであるということです。
この立場に立てば,答えの1/3は納得します。


◆東京都 かえる さんからの解答。

【問題3】

離散及び1回目の赤玉を除く処理が上手くできないのですが、答の数値は以下のようになるのではないかと予想しました。

赤玉の割合をxと置く。

求める確率は

1回目も2回目も赤の確率
1回目が赤の確率
1

0
2 dx/ 1

0
x dx




赤の方が出やすくて、その確率は


◆出題者のコメント。

かえるさん、【問題3】の解答ありがとうございます。

結論から言うと、かえるさんの予想はみごと的中です。

1回目に赤玉が出たとき、2回目にも3回目にも赤球が出る確率は、かえるさんの計算式よると、

1回目〜3回目が赤の確率
1回目が赤の確率
1

0
3 dx/ 1

0
x dx




と、なる筈です。

計算式は私の考えていたものとは異なりますが、このときも答えは一致しました。
どうやら、計算式も正解のようですね。
だとすると、かえるさんが示された計算式の方が、私の考えていた計算式よりもはるかにスマートです。

ですから、その計算式の正当性を保障する意味付けが、ますます欲しくてたまりません。(笑)
(もちろん、私の考えていた計算式には意味付けはできています。)

引き続き解答を募集します。


◆埼玉県 漢升 さんからのコメント。

【問題1】

「●正しい考え方」の「○正しい考え方」

 子供が二人である標本空間は、(年長,年少)の順に表すと、
(男,男),(男,女),(女,男),(女,女)の4通りの順序対になります。

というなら、

(1)弁慶君が兄だった場合は(男,男),(男,女)で、確率は4分の2
弟がいる確率は妹の確率と同じで、2分の1。
弁慶が兄で弟がいる確率は4分の1

(2)弁慶君が弟だった場合は(男,男),(女,男)で、確率は4分の2
兄がいる確率は姉の確率と同じで、2分の1。
弁慶が弟で兄がいる確率は4分の1

(1)、(2)を合計して、2分の1になると言っているようにしか、思えないのですが・・・。


◆出題者のコメント。

漢升さんのコメントに対するコメントです。

【問題1】は、加藤英晴さんもコメントで示されたように、 「2人の内のどちらかは弁慶という男の子である」と断言したのと一緒です。
ただし、ここで弁慶という名前に惑わされてはいけません。
(もっとも、これが出題者の仕掛けた罠でもあったわけですが…)

名前が、弁慶であろうと、義経であろうと、どんな名前であろうと、問題の本質に違いはない筈です。
ですから、名前など知らない「2人の内のどちらかは男の子である」でも、問題は同値です。

ところで、子供が2人である標本空間は、(年長,年少)の順に表すと、
(男,男),(男,女),(女,男),(女,女)の4通りの順序対になり、
これらの4通りの順序対となる確率は、明かにどれも1/4です。 ……(*)

漢升さんの考え方では
(男,男):(男,女):(女,男)=2:1:1 となり(*)に反します。

どうしても納得できないなら、ご自分で実験されることをお勧めします。
2枚のコインを同時に投げることを、ランダム関数を使ったプログラムで1000回ほどさせると、 表が含まれている組数は、(表表)の組数のほぼ3倍になる筈です。
(弁慶は兄でも弟でもかまわないので、表を男、裏を女と解釈すれば本問の実験になっています。)


◆東京都 かえる さんからのコメント。

【問題3】についてのコメント

以前、【問題3】に対する予想を投稿させていただきましたが、若干考え直して疑問が生じましたので、再度 投稿させていただきます。

本問は、『鋭角三角形の確率』『ビュッフォンの針』と同じく、与えられた条件のみでは、解は定まらない のではないでしょうか。

私の予想は、その前提として、デフォルトの(=赤玉を引く前の)ガラポン抽選器の中の赤玉の割合につい て、近似的に、赤玉の割合をxとして、
0≦x≦1でf(x)=1の確率密度関数になる
(=一様分布、つまり、赤玉の割合が、0になる確率も、1/2になる確率も、3/4になる確率も、1になる確率も、いずれも 同じになる)
ことを仮定しました。

私の予想が合っているということは、出題者におかれても、これに類する確率分布を仮定している(あるい は、計算過程において、無限の二重煤iあるいは二重∫)の扱いにより、自動的にこれに類する確率分布を仮 定したことになっている)のではないかと思います。

しかし、この仮定は問題文に何も条件がつけられていなくとも当然に採るべきものといえるか疑問が残りま す。

例えば、赤玉の割合が0あるいは1になる確率より1/2になる確率の方が大きい(あるいは小さい)、とい う分布も十分に自然なものとして考えられるのではないでしょうか。
このような分布の場合には、求める条件 付確率の値は異なってくるものと思われます(確かめてませんが)。

考えがあまりまとまっておらず、上手に表現できなくて恐縮ですが、御指摘等いただければ幸いです。


◆出題者のコメント。

かえるさんの【問題3】のコメントに対するコメントです。
ただし、解法を示してしまわない範囲でのコメントです。

仮に、最初ガラポン抽選器の中にあった玉の総個数がn個だったとしましょう。
すると、ガラポン抽選器に赤玉が、1個あった場合,2個あった場合,…,n個あった場合 のn通りが考えられます。
(なぜなら、ガラポン抽選器の中には少なくとも赤玉は1個あった)

このとき、このn通りの内のどの1通りが実現する確率も等しいと考えて別に問題はないと思います。
これは、『長男の割合?』の考え方と似ています。

なお、結論が直感的に受け入れ難いようでしたら、実験で確かめてみられることをお勧めします。


◆東京都 かえる さんからのコメント。

【問題3】についての再コメント

早速の御返答ありがとうございます。
ただ、まだ十分に理解ができない点があるので、再度コメントさせていただきます。

「仮に、最初ガラポン抽選器の中にあった玉の総個数がn個だったとしましょう。
すると、ガラポン抽選器に赤玉が、1個あった場合,2個あった場合,…,n個あった場合 のn通りが考えられ ます。
(なぜなら、ガラポン抽選器の中には少なくとも赤玉は1個あった)
このとき、このn通りの内のどの1通りが実現する確率も等しいと考えて別に問題はないと思います。」

とのことですが、このこと自体には異議はありませんが、

「仮に、最初ガラポン抽選器の中にあった玉の総個数がn個だったとしましょう」という考え方をしていると いうことは、おそらく、
赤玉をk個、青玉をl−k個(合わせてl個)として、
lim
n→∞
n

l=0
l

k=0
f(k,l)

という二重狽フ取り方を採用している(あるいはこれと本質的に同等のことをしている)ものと思われます。

しかしながら、赤玉≧0、青玉≧0の無限の二重狽フ取り方は1通りではなく、特定の二重狽フ取り方を採用 すること自体が、新たな条件を加えることになってしまうものと思います。

たとえば、 赤玉をk個、青玉をl個として、
lim
n→∞
n

k=0
n

l=0
f(k,l)

という二重狽フ取り方を採用すれば、計算結果は変わってくるのではないでしょうか。
(確かめていませんが)

「なお、結論が直感的に受け入れ難いようでしたら、実験で確かめてみられることをお勧めします。」

とありますが、具体的にどのような実験をすればよいのでしょうか。
不勉強で不正確な理解かもしれませんが、0〜無限大の乱数を発生させることはできないと思うので、どのよ うな形で実験を行うにせよ、何らかの形で新たな条件が加わってしまうものと考えられ、上記と本質的に同じ 問題が生じると思います。

考えがあまりまとまっておらず、上手に表現できなくて恐縮ですが、御指摘等いただければ幸いです。


◆出題者のコメント。

以下,抽選器とはガラポン抽選器のことです。

例えば、玉の総個数が5個のときは赤玉の個数は1個〜5個の5通りの場合が考えられます。
そこで、この5通りのそれぞれが実現されている5個の抽選器が目の前にあるものとしましょう。

最初に赤玉を出した抽選器が、
赤玉が1個の抽選器なら、2回目も赤玉が出る確率は
です。
赤玉が2個の抽選器なら、2回目も赤玉が出る確率は
です。
赤玉が3個の抽選器なら、2回目も赤玉が出る確率は
です。
赤玉が4個の抽選器なら、2回目も赤玉が出る確率は
です。
赤玉が5個の抽選器なら、2回目も赤玉が出る確率は
です。
明らかに,最初に赤玉を出した抽選器がどの抽選器であったかにより、求める確率も違うものになります。

ところが、最初に出した玉が赤玉であったという事実より、 最初に赤玉を出した抽選器がそれぞれの抽選器となる確率が求められます。

5個の抽選器にある赤玉の総個数は15(=1+2+3+4+5)個なので、
最初に赤玉を出した抽選器が赤玉1個の抽選器である確率は
15
です。
最初に赤玉を出した抽選器が赤玉2個の抽選器である確率は
15
です。
最初に赤玉を出した抽選器が赤玉3個の抽選器である確率は
15
です。
最初に赤玉を出した抽選器が赤玉4個の抽選器である確率は
15
です。
最初に赤玉を出した抽選器が赤玉5個の抽選器である確率は
15
です。

ですから、玉の総個数が5個のときの求める確率は、

 (最初に赤玉を出した抽選器が赤玉1個の抽選器である確率)×(その抽選器で2回目も赤玉が出る確率)
+(最初に赤玉を出した抽選器が赤玉2個の抽選器である確率)×(その抽選器で2回目も赤玉が出る確率)
+(最初に赤玉を出した抽選器が赤玉3個の抽選器である確率)×(その抽選器で2回目も赤玉が出る確率)
+(最初に赤玉を出した抽選器が赤玉4個の抽選器である確率)×(その抽選器で2回目も赤玉が出る確率) 
+(最初に赤玉を出した抽選器が赤玉5個の抽選器である確率)×(その抽選器で2回目も赤玉が出る確率) 
1
15
×0
4
2
15
×1
4
3
15
×2
4
4
15
×3
4
5
15
×4
4


になります。

また、問題文の「続けてもう1個玉を出すと、…」は、2回目の玉が出たときの話ですから玉の総個数は明らかに2個以上です。
そこで、玉の総個数を2個以上のいろいろな個数にして、上で示した5個のときのように、そのときの確率を求めてみてください。
面白いことに、2回目も赤玉が出る確率は、
玉の総個数が何個であってもすべて
になる筈です。
私が実験と言ったのは、このことです。
つまり、玉の総個数をいろいろ変えてシミュレーションしてみることをお勧めしたかった訳です。
言葉足らずで申し訳ありませんでした。(^^;


◆東京都 かえる さんからのコメント。

【問題3】についての再々コメント

繰り返しになりますが、まず総個数を固定する考え方(=まず、総個数を固定して、しかるのち総個数を動か す二重狽フ取り方)を採用した時点で、新たな条件が加わってしまっていると思います。


◆愛知県 YMOjisan さんからのコメント。

【問題3コメント】

この問題の解答が出にくかったのは、かえるさんのご指摘のとおり、ガラポン抽選器の作り方が不明確であるからでしょう。
常識的に考えると、赤球の出る確率に対してガラポン抽選器の存在確率が一様とは思えず、最初に赤が出れば、それは外れであり、次回も外れる可能性が高く、答えは100%に近いでしょう。

常識を別にしても、(想定されている方法)以外に次の2通りの一様な製作方法が考えられます。

(1)赤球、青球をN−1個ずつ用意し、それぞれ個数に対して一様確率(1/N)で玉を選びガラポン抽選器に入れる。

(2)ガラポンに入れる玉の最大をNとし、総数を一様確率(1/N)で設定し、赤又は青球を50%:50%の確率で選びながら設定総数まで入れる。

(1)の場合、ガラポン抽選器の存在確率(VS 総数)に山形の分布がつき、存在確率(VS赤球当選確率)は一様か矩形分布です。

一方(2)の場合はガラポン抽選器の存在確率(VS 総数)は一様ですが、 存在確率(VS赤球当選確率)は2項分布の確率になります。

(1)の場合、総数によらず期待値が(2/3)一定では無いため、山形かどうかの議論が無くても良かった(想定されている方法)とは異なる結果が得られます。

(2)の場合は、50%50%の確率のところにガラポン抽選器が集中するので、
Nが大きくなると確率は1/2に近づくと考えられます。

(1)である確率、(2)である確率、(想定されている方法)である確率、および(常識)である確率の配分がどうであるか、なんともいえないので解答は困難です。
因みに、かえるさんの疑問は、(1)と(想定されている方法)の差であるといえるでしょう。


◆出題者のコメント。

なるほど、想定の仕方で求める確率も違うものになると言うわけですか。

横に並んだn(≧1)個の白玉を仕切りより左側の玉を赤に右側の玉を青に塗るべく、 n個所(玉と玉の間かまたは右端)のいずれか1個所に1つの仕切りを入れるものと考えると、 赤玉1個のとき,赤玉2個のとき,…,赤玉n個のとき の存在確率は一様。
私はこのように考えましたが…。(^^;

【P・S】

ちなみに、この問題の出典元となった本の著者は、米国の某有名大学の教授なんですがね〜。


◆東京都 Toshi さんからのコメント。

以下、問題の本質は変わりませんから連続の場合で考えます。

まず、問題は「確率はいくらか」、ではなく「確率の期待値はいくらか」、とするべきですね。
で、赤の入っている確率Pの分布((0,1)上の分布)をどう設定するか(事前分布という)によって確率は変わってくる。
よって、当然その確率の期待値も変わります。

今、このPの事前分布の確率密度関数をf(x)、
期待値をE(P)= 1

0
xf(x)dxとしますと、
簡単な計算(厳密にはベイズの定理)で、次も赤である確率の期待値は、
E[P2]
E[P]
であることが導けます。

かえるさんの解答はf(x)を一様分布とおいたもので、出題者の解答と本質的に同じです。

YMOjisan さんは、f(x)を2項分布(連続だから正規分布(の(0,1)への制限)とかの方がいいかな)とするのも 自然な考え、というわけです。

事前分布の設定は確率を考えるものの判断によるのですね。
ただ、普通はやっぱり一様分布を考える方が自然であるとは思います。

かえるさんの疑問はもう少し別のところですが、2重和のとり方では変わりませんよ。
一般に非負の項だけからなる総和の極限は和の順番に影響しません。

連続の言葉で言えば、問題は次のように定式化されます。

玉の総数をYとし、これが従う分布の密度関数をg(y) (0<y<∞)、
赤の個数をXとし、Y=yの時Xが従う条件付分布は(0,y)上の一様分布、
すなわち密度関数f(x|y)=1/y (0<x<y)とするとき、
赤の出る確率X/Yはどのような分布に従うか?

答えは、Yの分布形にかかわらず、X/Yは(0,1)上の一様分布になります。
練習問題と思ってやっていただければと思います。

というわけで、「総数を固定したとき、赤の個数が何であるかは一様である」という仮定だけで、
総数にどのような分布を想定しようが、X/Yは一様と考えてかまいません。


◆東京都 GrowHair さんからの解答。

【問題1】 前の方々の議論を読んでもまだ納得できないもので...。
「偶然知る」というのが、どうやって知るかがポイントになるのではないかと思います。

[事象A] 2 人の子供のうち、少なくとも 1 人は男の子である。
... これが起きる確率は 3 / 4。

[事象B] 2 人の子供のうち、ランダムに 1 人をピックアップしたら、男の子であった。
... これが起きる確率は 1 / 2。

ところで、「○○さんちの前をたまたま通りがかったら、テストの答案が落ちていて、名前の欄に『○○弁慶』と書いて あった」ということが「偶然」あったとしましょう。

これは [事象A] に相当するのか、[事象B] に相当するのか。

私は [事象B] だと思います。
それは、小山 達樹さんの考え方と同じで、(男, 男) の場合の方が、(男, 女) や(女, 男) の場合に比べて、男の子の答案を拾う確率が2 倍高いと考えられるからです。

常識的に考えても、この答案を偶然拾ったことによって、もう 1 人が女である確率が上がるということは考えられません。
依然として、その確率は 1 / 2 でしょう。

「たまたま知った」状況が、例えば、誰かが「○○んとこの弁慶がよう、...」と言っているのを偶然聞いてしまった、と いうような場合でも同じです。

[事象A] のような情報を偶然知るという状況が考えられるでしょうか。
誰かがやってきて、わざとらしく「2 人のうちの少なくとも 1 人は男の子で、名前は弁慶って言うんだぜ」と 耳打ちして立ち去るぐらいしか、ありえないでしょう。

題意では、[事象A] が起きた状況を想定しているようですが、それはあまりにも不自然で、そう解釈しろというのが無理なのではないでしょうか。
ここまで来ると、国語の問題ですが、私は、最初の加藤 英晴さんの回答を支持します。


◆出題者のコメント。

GrowHairさんのコメント(解答というよりコメントですね)に対するコメントです。

子供が2人のときの正しい標本空間は、(年長,年少)の順に表すと、
(男,男),(男,女),(女,男),(女,女)で、これら4ケースの起こる確率はどれも1/4。

これは誰もが認めるところでしょう。

[事象A]
2人の内、少なくとも1人は男である確率は 3/4 。
これは、上に示した標本空間より明らかに正しいです。
 (1/4)*(1+1+1+0)=3/4

[事象B]
2人からランダムに1人をピックアップしたとき、その1人が男である確率は 1/2 。
これも、上に示した標本空間より明らかに正しいです。
 (1/4)*{1+(1/2)+(1/2)+0}=1/2

GrowHairさんが言われる[事象A]と[事象B]は互いに背反的ではないですね。

つまり、
[事象A] を認めることが[事象B] を認めないことにもならないし、
[事象B] を認めることが[事象A] を認めないことにもなりません。

>ところで、「○○さんちの前を…中略…『○○弁慶』と書いてあった」ということが「偶然」あったとしましょう。
>これは [事象A] に相当するのか、[事象B] に相当するのか。

言ってることが理解できませんが、強いてこれに答えるなら[事象A]にも[事象B]にも相当しません。
GrowHairさんが言われる[事象A]と[事象B]は互いに背反的ではない上に、[事象A]の確率も[事象B]の確率も、「○○さんには子供が2人いる」の1つの情報だけから導かれた正しい確率です。

>常識的に考えても、この答案を偶然拾ったことによって、もう1人が女である確率が上がるということは考えられません。
>依然として、その確率は 1/2 でしょう。

正しい標本空間からありえない(女,女)の1ケースを排除するだけで、残りの3ケースはこれまで同様に等確率です。
「依然として、」と言われていますが、答案用紙を拾う前のどのケースの確率が1/2なんでしょうか?
(明らかに、答案用紙を拾う前は(男,男)のケースは1/2ではないでしょう。)

>[事象A] のような情報を偶然知るという状況が考えられるでしょうか。
[事象A] のような情報って、一体何を指しているのか意味不明です。
情報は「○○さんには子供が2人いる」と「○○さんには弁慶という名前の男の子がいる」の2つだけです。

GrowHairさんが何を言いたいのか、私にはイマイチ理解できないところもありますが、 早い話が「偶然知ったこと」に対する取り扱い方が問題だと言いたいんでは
つまり、その偶然が起こる確率を問題にすべきと言いたいのだと思います。

もちろん、【問題2】や【問題3】では現実に起きたこと([赤面が見える]や[赤玉が出る])は無作為に試みた結果なので、 当然そのことが起こる確率を考慮しなくてはなりません。

ところが、【問題1】は無作為に試みた結果ではなく、たまたま偶然知っただけなので、その確率を問題にするのは誤りです。
当り前のことですが、偶然知るときの知り方は[答案用紙を拾う]でも[耳打ちして立ち去る]でも他の何でも構わないのです。
(そんな条件は、問題文の何処にもありません。)

加藤英晴さんの最後のコメントを借りれば、
>「弁慶の存在」を知る確率を問題にするのは,誤りでそれを知ったところから問題が始まっているというのは,その通り。
>というより,「弁慶の存在」をAとすると,Aが試行の下の事象でないため,P(A)が定義できない!!
>well−definedでないP(A)がBとは影響し合わないと考えられるから,AとBが独立になる。
>よって,事象Aは,問題文中の単なる条件文と見て,その条件の成り立つ世界に入ってから初めてP(B)だけを考えればよいことになる。

このことについては、いままで多くの方と何回も議論させて頂いていますので、これまでのコメントを見てください。

以前もコメントしたように、「年長の子は弁慶という名の男の子である」と偶然知ったなら、もう1人の子も男である確率は1/2になります。

この問題は、『○×テスト』 の【問題1】 と同じですね。

● 2枚の内で、落ちなかった1枚が表なら、落ちた1枚が裏である確率は 1/2 。
● 2枚の内で、1枚が表なら、もう1枚が裏である確率は 2/3 。

本問に置き換えると、
● 2人の子供の内で、年長が男なら、もう1人が女である確率は 1/2 。
● 2人の子供の内で、1人が男なら、もう1人が女である確率は 2/3 。

ややこしいですが、『○×テスト』 の eikiさんの解答が的を射ていると思います。


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