『カードマジック』

『カードマジック』解答


◆静岡県 ヨッシーさんからの解答。

 操作1.一番上のカードを、たばの一番下に移します。

を行った時点で、一番上のカードから順に1,2,3・・・と番号をふります。
(最初の状態と番号が1ずつずれるのに注意して下さい)

まず、カードの枚数が、2の累乗(1,2,4,8,16,32など)の時を考えます。
例えば32枚とします。
まず、1,3,5・・・31のカードが除かれ、「2の倍数」のカードが残ります。
次に、2,6,10・・・30のカードが除かれ、「4の倍数」のカードが残ります。
次は、「8の倍数」「16の倍数」というふうに残り、最後は32の番号をつけたカード(操作1.の前に一番上にあったカード)が残ります。

カードの枚数が2の累乗でないときは、カードを何枚か除いて、2の累乗になった時を考えます。
例えば、枚数が52枚とすると、1,3,・・・39の20枚を除いた時を考えます。
次に除くのは41のカードですから、このカードを1として、32まで番号を振り直すと、32の番号をつけた(もともと40をつけた)カードが最後に残ります。
つまり、操作1.の前で41枚目にあったカードです。

つまり、
((カードの枚数)−(カードの枚数以下の2の累乗数))×2+1 番目のカードが、最後に残ります。

【問題1】

((カードの枚数)−(カードの枚数以下の2の累乗数))×2+1=1

ですから、カードの枚数が、2の累乗であれば良い。

【問題2】

((カードの枚数)−(カードの枚数以下の2の累乗数))×2+1=(カードの枚数)

ですから、

(カードの枚数)=2×(カードの枚数以下の2の累乗数)−1

より、2の累乗数より1少ない数(1,3,7,15,31・・・)であれば良い。

【問題3】

((カードの枚数)−(カードの枚数以下の2の累乗数))×2+1 番目

【問題4】

上から4番目のカードは、2手順目で除かれてしまいますので、最後に残すことは不可能です。

ちなみに、

((カードの枚数)−(カードの枚数以下の2の累乗数))×2+1=4

を解くと、

(カードの枚数)=(カードの枚数以下の2の累乗数)+1.5

となり、整数の答えは存在しません。

この問題は「算数にチャレンジ」第117回に類似問題があります。


【コメント】

 大変わかりやすい解答をいただきまして、ありがとうございます。
私は「算数にチャレンジ」のページはほとんど見ないので、類似問題には気がつきませんでした。
たまには見ないと駄目ですね。(^_^;

ヒントに書いたとおり、「まま子立て」から連想しての出題です。

中学生向きに補足すると

カードの枚数をnとすると、カードを入れるべき場所は、
(nを2進数で表し、その先頭の1を末尾に移した数)枚目になります。

問題1は、一番上のカードを2進法で表すと1ですから、

カードの枚数が二進法の10,100,1000・・のとき、

つまり十進法で2,4,8・・・枚のときになります。

問題2のように、一番下のカードを残そうとすると、

カードの枚数が二進法の11,111,1111・・のとき、

つまり十進法で3,7,15・・・枚のときになります。

問題4のように、偶数番目のカードが残ることはありえません。


◆東京都 北村 だいし さんからのコメント。

解答ではないのですが、私はマジックが趣味なので、これにちなんだ話をします。
(一部の)マジック用語ではダウンアンダー、もしくは、アンダーダウンというこの操作を使うマジックです。
『エイトカウントトリック』という題名のマジックです。
8、数える、ということですね。

現象を説明します。

客に「これからエイトカウントトリックというマジックを行います。」と言う。
一組のトランプ(最も下の1枚、つまりボトムカードを「ハートの8」にしておく)のうち、下4分の1くらいを客に取り分けてもらう。
何枚でもいい。

取り分けた数枚のトランプの束(これをパケットと称すことにする)の最も上の1枚(トップカード)を客に覚えてもらう。

パケットの上から順番を変えずに8枚を数え、それをパケットの下に回す。
パケットをそろえ、再び上から順番を変えずに8枚を数え、それをパケットの下に回す。

その後、ダウンアンダー(1枚目をテーブル上に置く、2枚目をパケットの下に回す)をする。
その際に、テーブル上に置くトランプは、順番に重ねる。
最終的に残った1枚は、「ハートの8」である。
テーブル上のトランプの上から7枚目が先ほど客が覚えたカードである。

マジック的には、「このマジックの名前を覚えていますか?」と客に尋ね、「そうです、エイトカウントトリックです。このハートの8は、さらに8枚数えることを表しています。」と言って、ハートの8を「1枚目」と言い、順次声に出して数えていく。

このマジックの「みそ」は、最初に2回「8枚を下に回す」という部分です。
これによって、9枚から15枚までのどんな枚数のパケットでも同じ現象を起こせます。


算数的に説明を書いておきます

(1)最初の設定
X・・・パケットの枚数。9枚から15枚
A・・・客の覚えたカード
B・・・ハートの8

A−−−−−−−−−−B
これが、パケットの最初の状態を表しています。
X枚分のパケットです。

(2)最初の「8枚をパケットの下に回す」

−−BA−−−−−−−−

−−B
部分は、(x-8)枚。これは、8枚よりも少ない。
A−−−−−−−−
部分は、8枚

(3)2度目の「8枚をパケットの下に回す」

−−−−−−−BA−−−

A−−−
部分は、8-(x-8)枚。
−−−−−−−B
部分は、x-(8-(x-8))枚。
つまり、2(x-8)枚と、偶数であることがわかる。

ゆえに、ダウンアンダーで、Bはテーブルに置かれずに、パケットの下に回される。
そして、Aは必ずテーブル上に置かれる。

(4)ダウンアンダーで、Aをテーブル上においたところ
このときは、手元のパケットのボトムカードがBになっている。
このときの手元のパケットの枚数を考える。

(3)での−−−−−−−B部分のうち、半分がテーブルに置かれ、さらに、Aもテーブルに置かれている。

よって、手元のパケット枚数は、
x-(2(x-8)
2
+1) である。

つまり、7枚。

(5)最後までダウンアンダーすると、Bが最後の1枚となり、テーブル上の束のうち、Bを含めて上から8枚目にAがあることがわかる。


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