『円の縁』解答


◆宮城県 甘泉法師 さんからの解答。

R1からさらに次々と頂点に向けて内接円を作ると
どんどん相似比 R1
R
=r12 の小円ができる。

等比数列の和で円Rの中心から頂点1(内角をα1とする)までの距離があらわせるので
cosec( α1
2
)=1+ 2r12
1-r12
1 + r12
1-r12

これから
r12=(1-sin( α1
2
))/(1+sin( α1
2
))=tan(π
4
- α1
4
)/tan(π
4
+ α1
4
)

公式 tan(π
4
-A) tan( π
4
+ A)=1を使い、
r1 =tan(π - α1
4
)

公式
cos(A1+A2+...+An)=cosA1cosA2...cosAn(1-T2+T4-...)
Tmはn個の角の中からm個の角のtanの乗積をすべての組み合わせについてとったものの総和
引用:数学公式II 岩波全書初版183ページ

でAjπ - αj
4
とおくと左辺は cosπ
2
=0なので
0=1-T2+T4-...となり、証明すべき式になる。

【感想】

問題は公式を証明せよということと同じですね。

三角関数の加法定理の証明

(命題)

sin(A1+A2+...+An)
=cosA1cosA2...cosAn(T1-T3+.....)

cos(A1+A2+...+An)
=cosA1cosA2...cosAn(1-T2+T4-.....)

TkはtanA1,tanA2, ... ,tanAn からとったk個の積の、すべての組み合わせについての和。

(証明)

帰納法を使う。

Tkにはどのnをかんがえているかのサフィックスをつけて区別する。
n=2のときは普通の加法定理から成り立つのが明らか

nのときに成り立つとしてn+1の場合を考える。

sin(A1+A2+...+An+An+1) 
=sin(A1+A2+...+An)cosAn+1+cos(A1+A2+...+An)sinAn+1
=cosA1cosA2...cosAncosAn+1(T1,n-T3,n+.....) + cosA1cosA2...cosAncosAn+1tanAn+1(1-T2,n+T4,n-....) 
=cosA1cosA2...cosAncosAn+1(T1,n+1-T3,n+1+.....)。
証明すべき関係式。
cos(A1+A2+...+An+An+1) 
=cos(A1+A2+...+An)cosAn+1-sin(A1+A2+...+An)sinAn+1
=cosA1cosA2...cosAncosAn+1(1-T2,n+T4,n-....)-cosA1cosA2...cosAncosAn+1tanAn+1(T1,n- T3,n+.....) 
=cosA1cosA2...cosAncosAn+1(1-T2,n+1+T4,n+1-....) 。
証明すべき関係式。

よって命題は証明された。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

『円と三角形』問題3」で示されたように、
K=tan(αK)であり、この問題では下記に拡張される。
 (注:式(1) 〜(3')において総積/和の範囲K=1〜nは省略する。)

ΣαKπ
 ----(1)

exp(i*α) exp(i*β)=exp(i*(α+β)) から下記等式(2)が導出される。

Π{1+i*tan(αK)}=exp(i*(ΣαK))/Π{cos(αK)}  ----(2)

ここに (1)を代入すれば

Re[Π{1+i*tan(αK)}] =0 -----(3)

すなわち

Re[Π{1+i*rK }] =0 -----(3')

これを開けば 問題の下記式が得られる。
(総積/和の範囲表現を出題と若干変えた)

ここでG2mは 1〜nの整数の集合から異なる2m個を選んだ組(g)の集合である。
「(−1)m」は、i2から出ている。
初項「1」 は m=0の場合を特出したもの。


◆出題者のコメント。

早々に解答ありがとうございます。2人とも正解です。
この関係式はn角形に限らず、円に接するn線分にも適用できます。


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