『席替え問題』解答


◆静岡県 ヨッシー さんからの解答。

【問題3】

期待値は、人数nに関係なく1になります。
このことを、以下のように言い換えます。
「n人のクラスで席替えをしたとき、新しい席の並び方は、n!通りあり、それぞれの場合において、元の席と同じ席に座っている人数を合計すると、のべn!人になる」

<証明>

n=1のとき
新しい席の並び方は1通りあり、元の席と同じ席の人はのべ1人であるので上記の性質を満たす。

n=kのとき、上記の性質が成り立っているとする。
n=k+1の時の並べ方および、元の席と同じ席に座っている人数を、以下のように求める。

ここで、人をP1、P2、・・・・とし、
k の元の席をDk とする。

まず、k人での並べ方
(k!通りで、元の席に座っているのはのべk!人)を
k+1組作り、G1、G2、・・・Gk、Gk+1 とする。

この時点で、元の席と同じ席に座っている人は、のべ

 k!×(k+1)=(k+1)! 人である。・・・(1)

ここに、k+1番目の人Pk+1を以下のように追加する。

t (t=1、2、・・・k)のグループについては、
k+1をDtに座らせ、
t に座っていた人をDk+1 に座らせる。

k+1 は、D1からDk まではそのままで、
k+1 をDk+1 に座らせる。

これで、k+1人の並び方、(k+1)!通りができる。

このときの、元の席と同じ席になった人の増減を調べると、
t (t=1、2、・・・k)では、それぞれk!通り並び方があるうちの、
tがDt に座っていた場合の(k−1)!通りが、
k+1 の割り込みにより、同じ席でなくなったので、

(k−1)!×k=k!人 減っている。

k+1 では、Pk+1 が元の席と同じ席になっているので、
k!人増えている。

結局、(1)に比べて、元の席と同じ席になった人数は、変わっていない。

つまり、n=k+1のときについても、上記の性質が成り立ち、数学的帰納法により、任意の自然数について上記の性質が成り立つ。


【出題者のコメント】

当然帰納法は予想された方法ですが、ヨッシーさんの証明は私が考えていたものよりきれいですね。
3番だけ解答してくるなんて、ニクイですね!(笑)


◆京都府 ジョナサン さんからの解答。

【問題3】

期待値は、人数nに関係なく1になります。

n人のうちのある一人Aについて考えます。
Aが同じ席につく確率は 1
n
です。
つまり、Aに関して、同じ席につく人数の期待値は 1
n
である。
他の人についても同様である。
求める期待値は個人の期待値の総和であるから
1
n
*n=1

ゆえに求める期待値は 1


◆愛知県 大石 さんからのコメント。

京都ジョナサンさんの解答は、結果オーライですが、Aが同じ席につく事象と、それに続く他の人の席のつき方は独立でないので、 そこを証明に加えなければ片手落ちだと思います。


◆愛知県 juin さんからの解答。

【問題3】

n人のクラスの生徒を考え、名簿番号を1,2,...,n とする。

確率変数x(k)を次のように決める。

kがもとの席にくるとき、x(k)=1,
kがもとの席にこない時、x(k)=0とする。

P(x(k)=1)= 1
n
,P(x(k)=0)= n-1
n
となる。

もとの席にくる生徒の人数は、
x(1)+x(2)+...+x(n)となる。

期待値は
E(x(1)+...+x(n))=E(x(1))+...+E(x(n))である。

E(x(1))=...=E(x(n))だからE(x(1))だけ計算する。
E(x(1))=1× 1
n
+0× n-1
n
= 1
n

よって、
E(x(1)+...+x(n))=E(x(1))+...+E(x(1))=n×E(x(1))=n× 1
n
=1

答 n人の場合の期待値は 1人(nによらない)


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