『ある不等式』解答


◆神奈川県の高校生 Ozza さんからの解答。

(1) x=5,6のとき

133<2×3×5×7×11
173<2×3×5×7×11×13

よりそれぞれ不等式を満たす.

(2) x≧7のとき

ベルトラン仮説(『平方数に近い階乗』の補題の一部)を用いる.
「1より大きい自然数nに対し,n<m≦2nとなるような素数mが1つ以上存在する.」

これより以下が分かる.

任意の自然数xに対し,p(x+1)
2
<p(x)
(なぜなら,ベルトラン仮説においてn=p(x)とすれば,
 p(x)<p(x+1)≦2p(x)となるから)

これを帰納的に用いることによって,
任意の自然数x,nに対し,p(x+1)
2n
<p(x+1-n)

これより,
(右辺)=p(x-2)p(x-1)p(x)( x-3
Π
i=1
p(i))>(p(x)3 )( x-3
Π
i=1
p(i))/64

よって,示すべきは,
x-3
Π
i=1
p(i)>64であるが,

これは,
4
Π
i=1
p(i)=2×3×5×7=210>64より満たされる.

これで示すべき不等式はx≧5なる自然数xに対して示された.


◆海外 新井 浩之 さんからの解答。

まず、x=5の場合を証明します。

p(1) = 2, p(2) = 3, p(3) = 5, p(4) = 7, p(5) = 11, p(6) = 13 より、
(p(x + 1))3 x
Π
i=0
p(i) は
133<2*3*5*7*11、または 2197<2310となります。

次に、(p(x + 1))3 x
Π
i=0
p(i) だと仮定した場合、
(p(x + 2))3 x+1
Π
i=0
p(i)  を証明すればよいことになります。
ベルトラン仮説を用いると、
p(x+1) < p(x + 2) ≦2p(x + 1)であるといえますが、
2p(x + 1)は素数ではないのでp(x + 2) < 2p(x + 1)となります。

さらに、p(x + 2)3 < (2p(x + 1))3となります。

(2p(x + 1))3 = 8(p(x + 1))3 となり、
(p(x + 1))3 x
Π
i=0
p(i) とされているので、
8(p(x + 1))3<8 x
Π
i=0
p(i) となります。

さらに、x≦5より、p(x + 1) >8 であるため、
8 x
Π
i=0
p(i) <p(x + 1) x
Π
i=0
p(i) = x+1
Π
i=0
p(i)であるため、
(p(x + 2))3 x+1
Π
i=0
p(i) と結論付けられます。


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