『x2+ y2= z2』解答


◆埼玉県の高校生 野猿 さんからの解答。

【問題1】

注:素因数を「個」で数えているのは素因数の指数です。

例:120=23*3*5 素因数は2が3個、3が1個、5が1個

XYZは平方数なのでどの素因数も偶数個ずつ持っている。

XとZ、YとZはいずれも互いに素である。

【証明 (背理法)】

XとZが互いに素でないとすると
X,Zは共通の因数Mを持つのでMA,MBと置き換えられる。

M2*A2+Y2=M2*B2
Y2=M2(B2-A2)

右辺はMの倍数である。

YはXと互いに素なのでXの因数であるMを持っておらず,左辺はMの倍数ではない。
よってXとZが共通の因数Mを持つとすると矛盾が生じ、X,Zは互いに素である。
また、XとYの選択を入れ替えても矛盾が生じ、Y,Zは互いに素となる。

証明終

以上より、X,Y,Zはどの二つをとっても共通の因数がなく、どの種類の素因数も三つのうち一つの自然数にのみ、偶数個あることになる。
よってX,Y,Zはすべて平方数であり、

X=A2,Y=B2,Z=C2 (A,B,Cは自然数)

と置き換えられる。

ゆえにこの問題は以下の通りに転換できる。

A4+B4=C4 を満たす自然数A,B,Cをすべて求めよ。

(XYZを平方数と決めて導いたためXYZは
A2*B2*C2=(ABC)2 となり条件にするまでもなく平方数である)

この問題の不可能性は、フェルマーの最終定理としてすでに証明されており、A,B,Cは存在しない。
よってX,Y,Zを満たす自然数はない。

【感想】

高校レベルの背理法が歴史に残る難問を呼び起こすびっくり箱のような問題でした。
X,Yの条件が「0でない有理数」ではどうでしょうか。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからのコメント。

【問題2】

x,y,zを互いに素な自然数とする
x2+ y2+z2= w2
という等式が成立している。

は成立しないのでは。

∵ MOD 4で考えたとき 平方数は0か1である。
左辺は3個しかないので 
合計が0になるのは 
2、y2、z2=0,0,0のみ

1になるのは 
2、y2、z2=0,0,1 ないしその入れ替えである。 
よって x、y、zの何れか2個は偶数であり、互いに素にはならない。

(A) x,y,zの最大公約数が1とすれば この問題はクリアできるが、解が多数になる。
下記は1000までの探索結果である。

4 28 35 45
15=3*5 24=3*8 40=6*8 49=7*7
20 39 48 65
56=7*8 105=7*15 120*15*8 169=13*13
80 105 336 361
185 296 640 729
264=24*11 385=11*35 840=35*24 961=31*31

特に○印のは
(ab)2+(bc)2+(ca)2=d4
という形の解である。この形は容易に多数の解が得られる。

(B) そこで x=2x' y=2y' で x',y',zが互いに素とすれば問題成立です。改めて書くと
x,y,zを互いに素な自然数とする。  4x2+ 4y2+z2= w2  のとき xyzwが平方数の組を求めよです。

解けるかどうかは別ですが。
1000までの範囲では解は無いようです。


◆出題者のコメント。

野猿様、回答ありがとうございます。
高校生という事ですので、出来れば
A4+B4=C4に自然数解が存在しない事も示してもらえると嬉しいです。

恐らく、コメントを下さったY.M.Ojisan様などのような方ですと、当たり前に知っている事なので、これは高校生ぐらいの方に解いてもらいたいのです。

Y.M.Ojisan様、コメントありがとうございます。
15,24,40,49で条件を満たすとの事ですが、
gcd(15,24,40)=1ですので、x,y,zは互いに素だと勘違いしていました。
条件をgcd(x,y,z)=1に置きなおして、再度出題させてください。


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