◆東京都 かえる さんからの解答。
【問題1】
頂点Aに集まる辺は5つ。
これを赤と青の2色で塗り分けるのだから、少なくとも3つの辺が同色になる。
ここで、AB、AC、ADを赤としても、一般性は失われない。
CD、DB、BCの少なくとも1つが赤の場合
→ 例えばBCが赤とすれば△ABCが3辺赤になるので、必ず3辺赤の三角形ができる。
CD、DB、BCが全て青の場合
→ △BCDが3辺青の三角形になる。
以上より、必ず3辺同色の三角形ができることが示された。
【問題3】
平面座標上で考える。
円O1: x2+y2+a1x+a2y+a3=0 ・・・(1)
円O2: x2+y2+b1x+b2y+b3=0 ・・・(2)
円O3: x2+y2+c1x+c2y+c3=0 ・・・(3)
とする。
円O2と円O3、円O3と円O1、円O1と円O2の交点を、
P1とP2、Q1とQ2、R1とR2とする。
直線P1P2: (2)−(3):
(b1−c1)x+(b2−c2)y+b3−c3=0 ・・・(4)
直線Q1Q2: (3)−(1):
(c1−a1)x+(c2−a2)y+c3−a3=0 ・・・(5)
直線R1R2: (1)−(2):
(a1−b1)x+(a2−b2)y+a3−b3=0 ・・・(6)
直線Q1Q2と直線R1R2の交点をS(X,Y)とすると、(5)、(6)より、
(c1−a1)X+(c2−a2)Y+c3−a3=0 ・・・(7)
(a1−b1)X+(a2−b2)Y+a3−b3=0 ・・・(8)
が成立する。
−((7)+(8))より、
(b1−c1)X+(b2−c2)Y+b3−c3=0 ・・・(9)
が成立。
(4)、(9)より、S(X,Y)は、直線P1P2上の点であることがわかる。
また、図より、交点Sは、それぞれの線分上にあることが明らか。
以上より、3線分は1点で交わることが示された。
◆東京都 T.Kobayashi さんからの解答。
【問題1】
題意を満たす三角形が存在しないと仮定する。
このとき、一つの頂点(*)から同じ色の線分が三本出ていると、それらの線分の(*)ではない端点のうち二つを結ぶ線分はそれとは違う色でなければならず、結局それらの線分の(*)ではない端点を結んで出来る三角形は題意を満たす三角形になってしまうから、一つの頂点からは同じ色の線分が三本以上出ていてはならない。
従って、一つの頂点から出ている青の線分は二本以下、赤の線分も二本以下、結局一つの頂点から出ている線分の総数は四本以下でなければならない。
ところが、題意より一つの頂点からは五本の線分が出ているから、これは矛盾である。
従って、題意を満たす三角形は存在しなければならない。
【問題2】
任意の点から出発して、既に通った点に戻らないように通っていくと、各点からは四本以上出ているという
条件(以降、四本条件と呼ぶ)から、図1の黒線部は確実に通れる。
(点の位置関係は見やすいものを選んだ)
(i) 図1の状態において、折れ線の端点から、まだ通っていない点に引くことができない場合。
このとき、通れない道を黄色で示すと、図2のようになる。
四本条件より、図3の黒線部は通れることになる。
図3において太く示した経路が題意を満たす。
(ii) 図1の状態において、折れ線の端点から、まだ通っていない点に、一回だけ引くことができ、それ以上
伸ばすことができない場合。
このとき、通れる部分を黒で、通れない部分を黄色で示すと、図4のようになる。
四本条件から、通れる道を黒で示すと、図5のようになる。
図5において、A と B とがつながっている場合は、図6に太く示した経路が題意を満たす。
A と B とがつながっていない場合は、四本条件より、図7の黒線部が通れ、太く示した経路が題意を満たす。
(iii) 図1の状態において、折れ線の端点から、まだ通っていない点に二回引くことができる場合。
このときの状況は図8のようになる。
ここで、A と B とがつながっている場合は、題意を満たす経路が存在することは明らかである。
A と B とがつながっていないと仮定する。
このとき、A は 1, 2, 3, 4 の三点以上とつながり、B は 0, 1, 2, 3 の三点以上とつながっている。
したがって、A のつながっている点 x 、B のつながっている点 y で、
x=y+1 をみたすものが存在する。
このときの状況は、図9か図10かのいずれかである。
それぞれにおいて、太く示した経路が題意を満たす。
【問題3】
x2+y2+px+qy+r=0 と x2+y2+p'x+q'y+r'=0 との交点は、
直線 (p-p')x+(q-q')y+(r-r')=0 の上に乗っていることは明白である。
すなわち、これが二円の交点を通る直線である。
もう一つの円 x2+y2+p"x+q"y+r"=0をも考えれば、問題にいう三直線は、
(p-p')x+(q-q')y+(r-r')=0,
(p'-p")x+(q'-q")y+(r'-r")=0,
(p"-p)x+(q"-q)y+(r"-r)=0 である。
このうち任意の二つを連立させると、他の一つと等しくなることは明白である。
すなわち、これらの三直線は同一であるか、または一点で交わる。
三直線が同一でないこと、また、線分に限定しても一点で交わることは、図から明らかである。
◆出題者のコメント。
かえるさん、T.Kobayashiさん、解答ありがとうございます。
お二人ともすべて正解です。
いずれの証明も実に鮮やかですね。
【問題1】は、赤線で結ばれた2点は知り合い同士で青線で結ばれた2点は知り合い同士でないと解釈すると、
6人がいれば、互いに知り合い同士の3人か、互いに知り合い同士でない3人が、必ず存在することを意味します。
すぐ分かることですが、5人ではそのような3人が必ず存在するとは限りません。
ですから、互いに知り合い同士か互いに知り合い同士でないn人が必ず存在する最少人数をF(n)とすると、
F(3)=6です。
また、明らかにF(2)=2です。
ところが、nが大きくなると急に複雑になるため、F(6)は未だに分かっていないそうです。
【問題2】は、以下のような一般形の問題にしても証明は可能です。
よろしければ挑戦してみてください。
n(≧3)点あり、どの点も他のk点以上と直接線で結ばれている。
このとき、どの点からであっても他のすべての点を1度ずつ通り戻ってこれることを示せ。
ただし、kは | n 2 |
以上の最小な整数。 |
◆東京都 かえる さんからの解答。
【問題4】
8人をABCDEFGHとする。
まず、丁度6人友達を持つ人がいるので、AとBCDEFGを友達、AとHを友達でない、としても一般性は
失われない。
ここで、Hが丁度6人友達を持つと仮定すると、AとHは友達でないことから、HとBCDEFGが友達にな
るが、全員少なくとも2人以上友達を持つことになってしまうので、1人しか友達を持たない人がいる条件に
反する。
従って、Hは6人友達を持つことはなく、丁度6人友達を持つ人がAの他に1人いるので、Bが丁度6人友達
を持つとしても一般性は失われない。
ここで、BがHと友達でない、すなわち、BがACDEFGと友達と仮定すると、ABCDEFGは友達を2
人以上持つことになり、1人しか友達を持たない人が2人いる条件に反する。
従って、BとHは友達であり、BがACDEFHと友達であるとしても一般性は失われない。
この状態で、1人の友達を持つのはGHの2人だけであるので、この2人は他の友達を持てない。
丁度5人友達を持つ人がいるので、GHの友達を増やせないことを考慮して、CがABDEFと友達であると
仮定しても一般性は失われないが、ABCDEFの友達は3人以上になってしまい、友達を丁度2人持つ人が
いる条件に反する。
以上より、題意の条件を満たすことがないことが示された。
(感想)あまりエレガントでなく、どろどろした解答になってしまいました・・・。
【問題5】
n(≧2)チームによる総当たり戦の結果には、
矢印に従って進んでもn個の点すべてを1度ずつ通る道筋が必ず存在する・・・(*)
ことを数学的帰納法により示す。
(1)n=2のとき
勝者から敗者に矢印が引けるので(*)は成立。
(2)n=kのとき(*)が成立すると仮定する。
n=k+1のとき(*)が成立することを示す。
ある特定のチームをXとする。
チームXを除くk個のチームについて、仮定によりk個の点を全て1度ずつ通る道筋が存在する。
その道筋の順に、チームに1、2、3、・・・kと番号を付ける。
総当たり戦なので、チームXはチーム1、チーム2、・・・チームkと戦っており、
(ア)チームXがチーム1に勝つ
(イ)チームXが、チームpに負けて、チームp+1に勝つ(1≦p≦k−1)
(ウ)チームXがチームkに負ける
のいずれかが必ず起こっている。
(ア)の場合、X→1→2→・・・→k
(イ)の場合、1→2→・・・→p→X→p+1→・・・→k
(ウ)の場合、1→2→・・・→k→X
と、いずれの場合も、k+1個の点を全て1度ずつ通る道筋が存在し、
n=k+1のときも(*)が成立。
以上より、題意が示された。
◆出題者のコメント。
かえるさん、解答ありがとうございます。
【問題4】も【問題5】も、みごとな証明だと思います。
とりわけ【問題5】は実に鮮やかですね。
この【問題5】と『一方通行の経路』は、すべての2点間に向き(優劣)が存在するときの代表的な証明問題です。
ちなみに【問題4】は私の考案ですが、論理を駆使すれば中学生でも解ける筈です。
以下は、出題者として考えていた証明です。
「6人」と答えた2人は、それぞれある1人以外は全員友達です。
そこで、「6人」と答えた人と友達でない各1人を捜してみます。
もし、「6人」と答えたある1人が、「1人」と答えた2人以外と友達でないなら、
「6人」と答えたもう1人は、「1人」と答えた2人のどちらとも友達でない筈です。
すると、「6人」と答える筈はなく、明らかに不合理です。
また、「6人」答えた2人とも、「1人」と答えた同じ1人と友達でないなら、
「1人」と答えたもう1人は、「6人」と答えた2人のどちらとも友達の筈です。
すると、「1人」と答える筈はなく、明らかに不合理です。
よって、「6人」と答えた2人は、「1人」と答えた2人の内の互いに別な1人と友達ではありません。
これを角度を変えて表現すると、
「5人」,「4人」,「3人」,「2人」と答えた4人は、「6人」と答えた2人のどちらとも友達で、
「1人」と答えた2人は、「6人」と答えた2人の内の互いに別な1人と友達です。
このことから、もし「6人」と答えたその2人がその場にいなければ、
「5人」,「4人」,「3人」,「2人」,「1人」,「1人」と答えた6人は、
「3人」,「2人」,「1人」,「0人」,「0人」,「0人」と答えた筈です。
すると、6人の内で友達がいる人は、「3人」,「2人」,「1人」と答えた3人なので、
「3人」と答えた人の友達は、多くても2人しかいない筈です。
これは、明らかに不合理です。
◆東京都 かえる さんからの解答。
【問題6】
どの3点も同一直線上にない、n個ずつの赤い点と青い点が同じ平面上にあるとき、どの2本も接しない両端
点が赤と青のn本の線分が引ける。・・・(*)を数学的帰納法で示す。
(1)n=1のとき 明らかに(*)は成立する。
(2)n=kのときに(*)が成立すると仮定する。
n=k+1のとき、仮定より、ある特定の赤点R、青点Bを除く、k個ずつの赤、青の点について、どの2本
とも接しない両端点が赤と青のk本の線分が引ける。
線分RBがk本の線分のうちp個の線分と交点を持つ場合、p個の線分の端点である赤、青の点を交点がRに
近い方から順に、
R(1)、R(2)、・・・R(p)、B(1)、B(2)、・・・B(p)とする。
このとき、線分RB(1)、R(1)B(2)、R(2)B(3)、・・・・・、R(p−1)B(p)、R
(p)B及び残りの(k−p)本の線分は、どの2本も接しない両端点が赤と青の(k+1)本の線分にな
る。
線分RBがk本の線分と交点を持たない場合には、線分RBとk本の線分が、どの2本も接しない両端点が赤
と青の(k+1)本の線分になる。
よって、n=k+1のとき(*)が成立する。
(1)(2)より自然数nについて(*)が成立し、題意が示された。
【証明了】
【問題7】
n個の点を1つの曲線で結び、並び順に、P(1)、P(2)、・・・P(n)とする。
(1) P(1)とP(2)〜P(n)を結んで(n−1)辺。
(2) P(2)とP(3)〜P(n)を結んで(n−2)辺。
(3) (1)(2)の辺が邪魔をするので、P(3)〜P(n)は隣同士しか結べない。
P(3)P(4)、P(4)P(5)、・・・P(n−1)P(n)の(n−3)辺。
以上より、(1)+(2)+(3)=(n−1)+(n−2)+(n−3)=3n−6辺
【証明了】
◆出題者のコメント。
かえるさん、解答ありがとうございます。
コメントが2年近くも遅くなってしまい、非常に申し訳なく思っています。(汗)
【問題6】
残念ですが、
「線分{R,B1}、線分{R1,B2}、線分{R2,B3}、…、線分{Rp,B} のどの2本も接しない」
とは限りません。
〔反例〕
各点の位置をxy座標で表します。
線分{R(0,0),B(4,0)}が、線分{赤(1,-1),青(1,3)}と線分{赤(2,-3),青(2,1)}の2本と交点を持つとき、
R1=赤(1,-1)、R2=赤(2,-3)、B1=青(2,1)、B2=青(1,3) となりますが
線分{R(0,0),B1(2,1)}と線分{R1(1,-1),B2(1,3)}は交わってしまいます。
【問題7】
示された方法をとると、確かに交差しない辺は(3nー6)本存在し、それが最多ですね。
でも、別の方法ならどうなのでしょう?
示された方法で、n(≧3)個の点には交差しない辺が(3nー6)本は確実に存在するので、
〔 n(≧3)個の点における交差しない辺の最多は(3nー6)本以上である 〕
ことは理解できますが、(3nー6)本が最多である証明にはなっていないと思います。
つまり、どのような方法でも(3nー6)本が最多であることを証明しなければならないのでは…。
◆愛知県 迷子の雄猫 さんからの解答。
【問題6】
●証明1
まず、nが2以上のとき、とある直線で、直線のどちらの側にも赤い点/青い点の両方があり、かつ直線の片側には赤青同数の点があるように分割できる・・・(*1)ことを
示す。
(1−1)
どの3点も同一直線上にないため、特定の赤い点/青い点を結ぶと、赤い点/青い点が辺上と外部にはないが頂点上または内部にある、凸多角形を作ることができる。
(1−2)
上記の凸多角形の辺のうち、赤い点と青い点を結んだ辺がある場合、その辺と平行な直線で、その辺とそれ以外に分割できるため、(*1)は成立する。
(1−3)
上記の凸多角形の辺の全てが同色である場合、一般性を失わずに全て赤色としてよい。
上記の凸多角形の外部に黒い点Bを、多角形から十分離してとると、以下の条件を満たすように、直線L(1)〜L(n−1)を引くことができる。
条件1.直線L(k)の点B側には、赤い点と青い点をあわせてk個の点が存在する。
条件2.直線L(k)の点B側に存在する点は全て、直線L(k+1)の点B側に存在する。
直線L(1)の点B側には赤い点が1つ存在するが、直線L(n−1)の点B側には赤い点より青い点のほうが1つ多く存在する。
よって直線L(1)〜L(n−1)のうち少なくとも一本について、(*1)が成立する。
●証明2
どの3点も同一直線上にない、n個ずつの赤い点と青い点が同じ平面上にあるとき、どの2本も接しない両端点が赤と青のn本の線分が引ける。・・・(*2)を数学的帰納法で示す。
(2−1)n=1のとき 明らかに(*2)は成立する。
(2−2)n=k以下のときに(*2)が成立すると仮定する。
n=k+1のとき、証明1より、(*1)を満たすように分割すると、直線Lの点B側にはk個以下の点があるから、直線Lの点B側だけを考えると、(*2)が成立するように線分を引くことができる。
直線Lの点B側でないほうも、同様に(*2)が成立するように線分を引くことができる。
引いた線分は直線Lに接しないし交わらないため、全体として(*2)が成立するように線分を引くことができる。
よって、n=k+1のとき(*)が成立する。
(2−1)(2−2)より自然数nについて(*2)が成立し、題意が示された。
証明おわり
◆出題者のコメント。
迷子の雄猫さん、解答ありがとうございます。
みごとな証明だと思います。
特に凸多角形の頂点がすべて同色のときの証明が実に鮮やかです。
「赤点が1つ多い状態に赤点か青点のどちらかを1つずつ加えていくと最後は青点が1つ多い状態だった」
ならば、加えていく途中で赤点と青点が同数の状態が少なくとも1回は必ずあった筈。
この論法、とても説得力がありますが、これも中間値の定理なんでしょうね。