タングラム問題の解答例です。
◆広島県 清川 育男 さんからの解答
【問題2−1】
1,4,7,10,..,3n−2 nは自然数
(3n−2)2
=9n2−12n+4
=3(3n2−4n+1)+1
したがって、3で割ると1余る。
【問題2−2】
2,5,8,11,..,3n−1 nは自然数
(3n−1)2
=9n2−6n+1
=3(3n2−2n)+1
したがって、3で割ると1余る
問題2−1、問題2−2から平方数は、
3kか3k+1の形のいずれかになる。
【問題2−3】
a,bがともに3の倍数でないとすると、
a2,b2は
3k+1,3k'+1となる。
(3k+1)+(3k'+1)=3(k+k')+2
3(k+k')+2は平方数にならない。
したがって、a,bの少なくとも一つは3の倍数となる。
【問題3−1】
問題2と同様に平方数を4の剰余で考える。
(4n−3)2
=16n2−24n+9
=8(2n2−3n+1)+1
(4n−2)2
=16n2−16n+4
=8(2n2−2n)+4
(4n−1)2
=16n2−8n+1
=8(2n2−n)+1
a,bがともに4の倍数でないとすると、
a2+b2は
8k+2,8k,8k+5となる。
(8kの場合 a,b,は互いに素という条件があった方がいいのではないでしょうか?)
8k+2,8k+5は平方数にならない。
したがって、a,bの少なくとも一つは4の倍数となる。
問題2−3より、
a×bは12の倍数になる。
【問題3−2】
平方数を5の剰余で考える。
(5n−4)2
=25n2−40n+16
=5(5n2−8n+3)+1
(5n−3)2
=25n2−30n+9
=5(5n2−6n+1)+4
(5n−2)2
=25n2−20n+4
=5(5n2−4n)+4
(5n−1)2
=25n2−10n+1
=5(5n2−2n)+1
5k+1,5k+4
a,b,cの少なくとも一つが5の倍数。
a,b,cに5の倍数が一つもないと仮定すると、
a2+b2は、
5k+2,5k+3,5k
cは矛盾する。
したがって、a,b,cの少なくとも一つは5の倍数となる。
よってa×b×cは60の倍数になる。
◆千葉県 緑川 正雄 さんからの解答
【問題1の回答】
上から順に以下の操作を行う。
ピンク…半時計軸方向に 90度回転 黄 色…半時計軸方向に180度回転 緑 …鉛直下方向に平行移動 赤 …半時計軸方向に270度回転、 鉛直下方向に平行移動 水平左方向に平行移動 青 …鉛直下方向に平行移動これにより、直角三角形の直角をはさむ辺を一辺とする正方形2つの面積の和が斜辺を一辺とする正方形の面積に等しい事がわかる。
【問題2−1の回答】
余りは1
1,4,7,.....は一般式では
3×n+1[n=0,1,2,3,...]
と表記される。
(3×n+1)2
=9×(n2)+6×n+1
=3×{3×(n2)+2×n}+1
であるから余りは1である。
【問題2−2の回答】
余りは1
2,5,8,.....は一般式では
3×n-1[n=1,2,3,...]
と表記される。
(3×n-1)2
=9×(n2)-6×n+1
=3×{3×(n2)-2×n}+1
であるから余りは1である。
【問題2−3の回答】
a,bのいずれも3で割りきれないと仮定する。
a=3×m±1
[1の係数が正の場合はm=0,1,2,3,...、負の場合はm=1,2,3,...]
b=3×n±1
[1の係数が正の場合はn=0,1,2,3,...、負の場合はn=1,2,3,...]
よって
a2+b2
={9×(m2)±6×m+1}+{9×(n2)±6×n+1}
=3×{3×(m2)±2×m+3×(n2)±2×n}+2
となり、
a2+b2は3で割ると2余る数である。…(1)
ところで、
a2+b2=c2であり、
c2は【問題2−1】【問題2−2】より、3で割り切れる数か、3で割ると1余る数でなくてはならない。 …(2)
(1)と(2)は互いに矛盾するので
‘命題:a,bいずれも3で割りきれない’は誤りである。
よってa,bのいずれかは3の倍数である。
【問題3−1の回答】
(命題1)
a,bのいずれかは4で割りきれる。
(命題1の証明)
a,bのいずれも4で割りきれないと仮定する。
a,bは以下のいずれかの式で表現される。
4×n±1,4×n+2
[n=0,1,2,3,...(4×n-1の時はn=1,2,3,...)]
よって、a2,b2は
(4×n±1)2=16×(n2)±8×n+1…(1)
(4×n+2)2=16×(n2)+16×n+4 …(2)
(step1)
a,bが同時に4×n±1で表現されることはない。
a,bともに4×n±1で表されるならば
a2+b2は8で割ると2余る数である。
8で割ると2余る数は一般に
8×p+2で表される。[p=0,1,2,3,...]
この数(偶数)が平方数であれば、偶数の平方で表されるので
8×p+2=(2×q)2 [q=1,2,3,...]
であり、
4×p+1=2×(q2)
1=2×(q2)-4×pを得る。
左辺が奇数、右辺が偶数となる。
よって、8で割ると2余る数は平方数でない。
a,bともに4×n±1で表される事はない。
(step2)
a,bが同時にa=4×n±1,b=4×n+2で表現されることはない。
a=4×n±1,b=4×n+2で表されるならば
a2+b2は8で割ると5余る数である。
8で割ると5余る数は一般に8×p+5で表される。[p=0,1,2,3,...]
この数(奇数)が平方数であれば、奇数の平方で表されるので
8×p+5=(2×q+1)2 [q=0,1,2,3,...]
であり、
8×p+5=4×(q2)+4×q+1
4=4×q×(q+1)-8×pを得る。
q×(q+1)は偶数でるから右辺が8で割りきれ、左辺は8で割りきれない。
よって、8で割ると5余る数は平方数でない。
a=4×n±1,b=4×n+2で表されることはない。
(step3)
a,bが同時にa=4×n+2,b=4×n±1で表現されることはない。
(case2)に同じ
(step4)
a,bが同時に4×n+2で表現されることはない。
a,bともに4×n+2で表されるならば
a2+b2は8×奇数である。
8と奇数は互いに素であり、8は平方数ではないので、
8×奇数は平方数ではない。
以上より、a,bが両方とも4で割りきれないという仮定は誤りである。
即ち、a,bの少なくとも一方は4で割りきれる。
【問題3−1の証明】
a,bの少なくとも一方は3で割りきれる。
[【問題2−3】より]
a,bの少なくとも一方は4で割りきれる。
[(命題1)より]
よってa×bは3でも4でも割りきれる。
3と4は互いに素であるから、
a×bは3×4=12で割りきれる。
【問題3−2の回答】
(命題2)
a,b,cのいずれかは5で割りきれる。
(命題2の証明)
(case1)
a,bのいずれも5で割りきれない場合
a,bは5×n±1,5×n±2のいずれかの形式で表される。
[n=0,1,2,3,...(5×n-1,5×n-2の時はn=1,2,3,...)]
(5×n±1)2=25×(n2)±10×n+1…(1)
(5×n±2)2=25×(n2)±20×n+4…(2)
よって、a2+b2は
5で割ると2余る数、3余る数
[5で割ると余り0,1,4のいずれかでないと平方数ではないので、この場合はa2+b2は平方数にならない。]
若しくは5で割りきれる数である。
[a2+b2は平方数である場合もある。例 a=3,b=4,c=5]
よってa,bのいずれも5で割りきれない場合は、a,b,cがピタゴラス数であるならば
(このような事例として、a=3,b=4,c=5という事例が存在する。)
a=5×n±1,b=5×n±2
若しくは a=5×n±2,b=5×n±1
であって、cは5で割りきれる数でなくてはならない。
(case2)
a,bのいずれかが5で割りきれる場合
a,b,cのいずれかが5で割りきれる。
すなわち題意を満たす。
この事例としてa=5,b=12,c=13の場合がある。
いずれにおいてもa,b,cの少なくとも1つの数は5で割りきれる。
【問題3−2の証明】
a×bは3×4=12で割りきれる。
[【問題3−1】より]
よって、a×b×cは3×4=12で割りきれる。
a×b×cは5で割りきれる。
[(命題2)より]
5と12は互いに素であるから、
a×b×cは5×12=60で割りきれる。
【最後に】
【問題1】は表現しにくいのですが、頭の中でイメージを描きながらの回答です。
【問題2−3】【問題3−1】【問題3−2】の性質はいままで深く考えた事もありませんでしたが、実に面白い性質です。
特に‘aかbの少なくとも1つが3で割りきれる。’aかbの少なくとも1つが4で割りきれる。’のに対し、5だけが、‘aかbかcの少なくとも1つが5で割りきれる。’という性質を持っているために、証明の仕方に迷いました。
ピタゴラス数にならない場合は証明を、ピタゴラス数になることがある場合はその事例を挙げました。
◆石川県 迷える羊 さんからの解答
【問題1】
上辺 :緑
右辺 :紫
左辺上部:赤
左辺下部:青
下辺 :黄
【問題2−1】
1
【問題2−2】
1
【問題2−3】
≪背理法≫
a,bが共に3で割りきれない数であると仮定する。
【2−1】,【2−2】より、a2,b2は共に3で割ると1余る数字である。
今、a2+b2=c2だから、
c2は、3で割ると2余る数字となる。
【2−1】,【2−2】より、そのような整数cは存在しない。
よって、a,bのうち少なくとも一つは3で割りきれる数字である。
【問題3−1】
ある整数とその平方数を4で割ったときの余りとの関係は、
ある整数が偶数のとき、その平方数を4で割った余りは、0。
ある整数が奇数のとき、その平方数を4で割った余りは、1。
よって、【2−3】と同様にして、a,bのうち少なくとも一つは4で割りきれる数字である。
よって、a×bは12で割りきれる数字である。
【問題3−2】
問【3−1】と同様に、ある整数とその平方数について5で割ったときの余りを調べる。
χ=5α+β とする。
【α,βは整数、0≦β≦4】
χ2=5(5α2+2β)+β2
χ2を5で割ったときの余りは、
β=0の時、0。
β=1の時、1。
β=2の時、4。
β=3の時、4。
β=4の時、1。
≪ア≫
a,bの少なくとも一つが5の倍数である時、
【3−1】より、a×bは60の倍数である。
よって、a×B×Cは60で割りきれる。
≪イ≫
a,bのどちらも5の倍数でない時、
aを5で割った時の余りをs、bを5で割った時の余りをtとする。
<あ>
s=1 or 4,t=1 or 4のとき、
a2+b2=c2より、
c2を5で割った時の余りは2でなければならない。
しかし、そのようなcは存在しない。
<い>
s=2 or 3,t=2 or 3のとき、
a2+b2=c2より、
c2を5で割った時の余りは3でなければならない。
しかし、そのようなcは存在しない。
<う>
s=1 or 4,t=2 or 3のとき、
a2+b2=c2より、
c2を5で割った時の余りは0でなければならない。
そのようなcは存在して、cは5の倍数である。
<え>
s=2 or 3,t=1 or 4のとき、
a2+b2=c2より、
c2を5で割った時の余りは0でなければならない。
そのようなcは存在して、cは5の倍数である。
よって、cは5の倍数である。
以上によって、整数a,b,cについて
a2+b2=c2のとき、
a×b×cは60で割りきれる。
◆京都府 AAAI さんからの解答
ピタゴラスの定理の証明法はたくさんあります。
その内、私が知っている他の方法を2種類紹介します。
【問題2−1】
3 で割って 1 余る数を x (= 3y +1) とおきます。
x*x = 9y*y +6y +1 = 3(3y*y +2y) +1
よって x*x を 3 で割った余りは 1 となります。
【問題2−2】
前問と同様に題意の数を x (= 3y +2) とおきます。
x*x = 9y*y +6y +4 = 3(3y*y +2y +1) +1
よって x*x を 3 で割った余りは 1 となります。
【問題2−3】
背理法を用いて証明します。
今、a,b どちらも 3 の倍数でないとします。
すると、a*a, b*b を 3 で割った余りはどちらも 1 になります。
c*c = a*a +b*b より、 c*c を 3 で割った余りは 2 (=1 +1)になります。
問題2-1,2-2 より、c が自然数ならば、c*c を 3 で割った余りは 0 または 1 ですので、ここに矛盾が生じます。
よって a,b 少なくとも一方は 3 の倍数です。
【問題3−1】
ある自然数の 2乗を 4 で割った余りは 0 ないし 1 なので、
c*c = a*a +b*b より a,b 共に 4 の倍数でない場合はどちらも 4 で割って 2 余る場合だけです。
すなわち、a,b のうち少なくとも一方は 4 の倍数、または a,b 共に 2 の倍数であるといえます。
故に、a*b は 4 で割り切れます。
問題2-3 より a,b の内少なくとも一方は 3 の倍数であることが分かっていますので、
a*b は 12 (=3 *4) の倍数です。
【問題3−2】
ある自然数の 2乗を 5 で割った余りは 0, 1 ないし 4 なので、
c*c = a*a +b*b より a,b 共に 5 の倍数でない場合は
a*a, b*b いずれか一方が 5 で割って 1 余り、もう一方が5 で割って 4 余る場合だけです。
すなわち、a,b のうち少なくとも一方は 5 の倍数、または c が 5 の倍数であるといえます。
故に、a*b*c は 5 で割り切れます。
問題3-1 より a*b は 12 の倍数であることが分かっていますので、
a*b*c は 60 (=3 *4 *5) の倍数です。
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