『今週の問題』第33回 解答


 おまけの問題は2次元の多角形の外角の和が360度ということの立体バージョンです。
任意の多面体の尖度の和は必ず720度になります。
デカルトの発見らしいです。


◆東京都 タケヒロ さんからの解答。

【問題1】

(面の数) + (頂点の数) - (辺の数) - 2 = 0

【問題2】

正八面体の頂点の尖度:
 360 - 60 * 4 = 120度

尖度の合計: 120 * 6 = 720度

【問題3】

正五角形のひとつの内角は108度だから、
正十二面体の頂点の尖度:
 360 - 108 * 3 = 36度

尖度の合計: 36 * 20 = 720度

【問題4】

正多面体の表などより、
正四面体の尖度の合計: 180 * 4 = 720度

正六面体の尖度の合計: 90 * 8 = 720度

正二十面体の尖度の合計:
 (360 - 60 * 5) * 12 = 720度

【問題2】【問題3】とあわせて、すべての正多面体の尖度の合計は必ず720度になる。


◆東京都 Asami さんからの解答。

【おまけ】

n個の面があるとして
 A1,A2,……,Anとします。

各面Aiはai角形であるとすると、

 尖度の合計
=(頂点数)×360−Σ(ai−2)×180
=(辺の数−n+2)×360−Σ(ai−2)×180
=(Σai/2−n+2)×360−Σ(ai−2)×180
=−360n+720+360n
=720


◆広島県 清川 育男 さんからの解答。

【問題1】

面の数−辺の数+頂点の数=2

【問題2】

尖度 360−60×4=120
頂点の数は6
120×6=720

答え 尖度 120度 合計 720度。

【問題3】

正五角形の内角
 360÷5=72 180−72=108

尖度 360−108×3=36

頂点の数は20、36×20=720

答え 尖度 36度  合計 720度。

【問題4】

正20面体は正三角形で構成されている。
尖度 頂点に5個の正三角形が集まっている。
 360−60×5=60

頂点の数は12 60×12=720

5種類の正多面体の尖度の合計はすべて720度になっている。 


◆石川県 平田 和弘 さんからの解答。

(問題1解答)

面+頂点−辺=2
正六面体と正八面体、正十二面体と正二十面体で面の数と頂点の数が反対になっていることに気がつけばわかる。

(問題2解答)

正三角形が4つ集まっているので、
 60°×4=240°

頂点の数は表より6なので、求める尖度は

(360−240)×6=120×6=720°となります。

(問題3解答)

正五角形が3つ集まっているので、

(180×3÷5)°×3=108×3=324°

頂点の数は表より20なので、求める尖度は

(360−324)×20=36×20=720°となります。

(問題4解答)

上記問題2および3と同様に他の正多面体の尖度を計算して

正四面体 の尖度は、180°× 4=720°
正六面体 の尖度は、 90°× 8=720°
正八面体 の尖度は、120°× 6=720°
正十二面体の尖度は、 36°×20=720°
正二十面体の尖度は、 60°×12=720°

となりすべて720°で等しいことがわかります。

(感想)

計算は簡単ですが立体のイメージを数字的に理解するにはおもしろい方法だと思います。

(おまけの問題)

任意の多面体の面を三角形に分割します。
分割したときの三角形の面の数と元々の頂点の数がわかれば、求める尖度の合計(M)は、

M=360°×頂点の数−180°×三角形の面の数・・・(1)

で求められます。

この事実は次のことからわかります。

任意の多面体として正多面体以外の例えば正八面体を上下半分に切断した多面体(問題の中の図ではA-CDEF)を考えると、四角形CDEFはECで三角形に分割して頂点の数は5、分割した三角形の数は6となります。

また、
頂点Aの尖度は、360°−(∠CAD+∠DAE+∠EAF+∠FAC)
頂点Cの尖度は、360°−(∠ACD+∠ACF+∠ECD+∠ECF)
頂点Dの尖度は、360°−(∠ADC+∠ADE+∠CDE)
頂点Eの尖度は、360°−(∠AED+∠AEF+∠CED+∠CEF)
頂点Fの尖度は、360°−(∠AFC+∠AFE+∠CFE)

なので合計して式を整理すると、

360°×5
 −{(∠CAD+∠ACD+∠ADC)+(∠DAE+∠ADE+∠AED)
 +(∠EAF+∠AEF+∠AFE)+(∠FAC+∠ACF+∠AFC)
 +(∠CDE+∠CED+∠ECD)+(∠CFE+∠CEF+∠ECF)}

=360°×5(頂点の数)
 −{(△ACDの内角の和)+(△ADEの内角の和)
 +(△AEFの内角の和)+(△AFCの内角の和)
 +(△CDEの内角の和)+(△CEFの内角の和)}

=360°×5(頂点の数)−180°×6(三角形の面の数)

またこのとき、三角形に分割した面の数と辺との間には

(三角形の辺の数−三角形の面の数)×2=面の数・・・(2)

という関係が成り立ちます。
(この事実も{9(辺の数)−6(面の数)}×2=6(面の数)からわかります。)

(2)に問題1のオイラーの多面体定理の(面の数+頂点の数−辺の数=2)を代入すると、
(実際には任意の多面体の面を三角形に分割したものでも面の数と辺の数が同じ数ずつ加算されるのでオイラーの多面体定理が成り立ちます。)

頂点の数=2+三角形の面の数×1/2・・・(3)

となりますのでこれを(1)に代入して

M=360°×頂点の数−180°×三角形の面の数
 =360°×(2+三角形の面の数×1/2)−180°×三角形の面の数
 =360°×2
 =720°

実際これでやると、前回のおまけに出ていましたサッカーボールは、
正五角形=12、正六角形=20 なので、
三角形の面の合計は、
 {12×(5−2)}+{20×(6−2)}=116 で、

三角形の辺の合計は、
 (116×3)/2=348/2=174 で、

三角形の頂点の数は、
 174+2−116=60 なので

尖度の合計は、
360°×60−180°×116=180°×4=720°となります。


◆神奈川県 ひろし さんからの解答。

【問題1】

正多面体の面をF、辺をE、頂点をVとすると、
F−E+V=2が成り立つ。

【問題2】

正八面体の尖度は
 360−60×4=120゜

尖度の合計は
 120×6=720゜

【問題3】

正十二面体の尖度は
 360−108×3=36゜

尖度の合計は
 36×20=720゜

【問題4】

正多面体の「尖度の合計」は720゜である

【おまけ】

正多面体の一つの面の辺の数をN、一つの頂点からでる辺の数をMとすると、問題1で使用したF,E,Vとの間に次のような関係がある。

2E=FN、FN=VM、VM=2E

また、問題1より
 F−E+V=2

また、正N角形の内角は
 180−360/N

正F面体の尖度の合計は
(320−(180−360/N)×M)×V
=360V−108MV+360MV/N
=☆

ここで上記よりMV=2E

 ☆
=360V−360E+720E/N
=☆☆

また、E=FN/2

 ☆☆
=360V−360E+360F
=360(V−E+F)
=360×2
=720

となり、すべての正多面体の「尖度の合計は」720゜である

感想

実は、問題1は、図形的な性質を考えていて気がつかず、参考書をみてしまいました。
単純な関係式ほど思い浮かばないものですね。
その問題1考察の過程で、おまけの関係式が判り、おまけの解答はすっきりとしていて自分では気に入っています。


◆北海道 Miki Sugimoto さんからの解答。

【問題1】

面(Face)−辺(Edge)+頂点(Vertex)=2.
(Euler の多面体定理)

【問題2】

尖度: 2π−1/3 π×4=2/3 π
尖度の合計: 2/3 π×6=4π

【問題3】

尖度: 2π−3/5 π×3=1/5 π
尖度の合計: 1/5 π×20=4π

【問題4】

尖度の合計=4π.

【おまけ】

Case i) 多面体Xが全て三角形で構成されるとき。

ある頂点x(1)を考えたとき、その尖度は

 2π−(a(1,1)+…+a(1,v1))

である。
ただし、a(1,i)はx(1)に接する角度、v(1)はx(1)の valency である。
この値をs(1)とおく。

 s(1)+…+s(V)
=2Vπ−Σ(a(1,1)+…+a(V,v(V)))
=2Vπ−Fπ (三角形の内角の和=π)
=(2V−F)π

さて、【問題1】の Euler の多面体定理より、
 F−E+V=2.

また、三角形の辺と面の関係より、
 3F=2E.

これらを上の式に代入すると、

 s(1)+…+s(V)
=(2V−F)π
=(2E−2F+4−F)π
=(2E−3F+4)π
=4π.

Case ii) Xが一般の多面体のとき。

三角形でない面を全部取ってきて、それらを三角形に分ける。
その結果、辺と面の数が増えるので、それらを改めて、E', F'とおき直す。

このときにも、XはS^ (単位球面)に同型だから、オイラー数は2になることに注意すると、

 F'−E'+V=2.

また、三角形の辺と面の関係より、
 3F'=2E'.

よって、

 s(1)+…+s(V)
=2Vπ−Σ(a(1,1)+…+a(V,v(V)))
=2Vπ−F'π (三角形の内角の和=π)
=(2V−F')π
=(2E'−2F'+4−F')π
=(2E'−3F'+4)π
=4π.

(多角形をいくつかの三角形に分けても、内角の和は変わらない。)

よって、一般の多面体に対して、
 尖度の合計=4π.
が言える。

「なるほど。よく出来た問題だ…」って感じです。 (^^;;


◆石川県 数学好き さんからの解答。

【問題1】

面+頂点-辺=2

【問題2】

尖度は 360-60×4=120度
尖度の合計は120×6=720度

【問題3】

尖度は 360-108×3=36度
尖度の合計は36×20=720度

【問題4】

以上の結果より、すべて720度であることが予想できる。

【おまけの問題】

まず多面体の多角形をすべて三角形に分けておく。
その際の面の数をF、辺の数をE 頂点の数をVとする。
(この場合でもオイラーの多面体定理は成立する)

するとF-E+V=2
書き換えるとV=2+E-F

一方、全ての面は三角形だから
E=3F/2

三角形の内角の和は180度だから、全ての角の合計は
 180F度

全ての頂点で尖度が0とすると、1つの頂点では360度で、今、頂点はV個あるから、全体では
 360V度

したがって尖度の合計は

 360V-180F
=360(2+E-F)-180F
=720+360E-360F-180F
=720+360(3F/2)-540F
=720-540F-540F
=720


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