『タイルと針』解答


◆岡山県 藤井 さんからの解答。

【問題2】

平面全体で考えるとやっかいなので、a×a の1つのタイル内で考えます。

針の中心をこのタイル内にとり、その時タイルの周りと交わる角度が取り得る範囲を考えます。
(1つのタイル内で考えるかわりに、円環面内で考えても同じ(だと思う)で、この場合扱う全体は 円環面の3次元版になります(円周×円周×円周)。)

扱う全体の大きさは 2πa2

タイルを次の3つの部分に分けます。(a ≧ l)

(1) どの辺からの距離も l/2 を越える部分。

(2) 各頂点からの距離が l/2 以内の部分。

(3) ある1辺からの距離は l/2 以内だが、他の辺からの距離はl/2 を越える部分。

(4) 各頂点からの距離が l/2 を越え、ある2辺からの距離が l/2 以内の部分。

 

(1) の場合、どの角度でも交わることがない。
(2) の場合、どの角度でも常に交わる。
(3) の場合、1つの辺と交わる。
(4) の場合、2つの辺と交わる。ただし、同時に2つの辺とは交わらない。

 

このことから、(1), (2)の場合はすぐに求まる。
(1) 0
(2) 半径 l/2 の円の面積 × 2π = (πl)2 / 2

(3) の場合を考える。

交わる辺からの距離を x として、
2x/l = cos θ と置けば、交わる角度の範囲は
合計 4θ= 4 Arccos 2x/l あることがわかる。
(この図だと、上、下、それぞれの向きを180度かえたもの)

また、(3) の1つ分は、

 

となっていて、4個所あるので。

4(a-l) l/2

0
4 Arccos 2x/l dx
=16(a-l)* l/2 ∫ θ sin θ dθ

= 8(a-l)l

(4) の場合は、1つ分が、

 

となっており、交わる1辺からの距離を x とすれば、そこでの幅は、

 

である。
(l/2 から 半径 l/2 の円の部分を除くため)

4個所、2辺について求めるため、

 

これらから、針がタイルの周と交わる確率 p は、

p = (8(a-l)l +2 l2(π + 5) + (πl)2 / 2)/(2πa2)
 = l((π2/2 + 2π + 2)l + 8a)/(2πa2)
 = (l/a)2(π/4 + 1 + 1/π) + 4(l/a)/π

となる。

立方体で考えるとどうなるのだろうか?


◆愛知県 juin さんからの解答。

【問題2】

正方形の1辺の長さa,針の長さ1。
まず、間隔aで引かれた直線と針が交わる確率を求める(ビュフォンの針)

針の中心x,針が水平線となす角θとし、[0,a)×[0,π)で考える。
交わる時は、x< 1
2
sinθまたは、a-x< 1
2
sinθだから、
1
2
sinθ dθ+∫ 1
2
sinθ dθ=1+1=2

よって確率は 2

タイルの場合 Ω=[0,a)×[0,a)×[0,π)とし、体積に比例した確率Pを入れる。

A={水平線と交わる},B={垂直線と交わる}とする。
P(A∪B)を求める。
P(A∪B)=P(A)+P(B)-P(A∩B)
P(A)=P(B)= 2
だから、P(A∩B)を求める。

正方形の四隅で同じことがおこるので、(0,0)の近くで考える。
この集合をCとする。
C={(x,y,θ)∈A∩B|(0,0)の近くで2辺と交わる} 

θを1つ固定する、つまり、条件付き確率を考える。
π
2
<θ<πのとき、
P(C|θ)
=P(x<- 1
2
cosθ,y< 1
2
sinθ|θ)
=P(x<- 1
2
cosθ|θ)・P(y< 1
2
sinθ|θ)
=- 1
2a
cosθ× 1
2a
sinθ
= cosθsinθ
-4a2
θで[ π
2
,π)の範囲で積分して、
∫P(C|θ)P(dθ)=∫ cosθsinθ
-4a2
dθ= 1
8a2

● 0<θ< π
2
のとき、
針の重心を含むタイルの外でも交点ができます。

P(C|θ)
=P(x< 1
2
cosθ,y< 1
2
sinθ|θ)
=P(x< 1
2
cosθ|θ)・P(y< 1
2
sinθ|θ)
= 1
2a
cosθ× 1
2a
sinθ
= cosθsinθ
4a2
θで[0, π
2
)の範囲で積分して、1
8a2
となる。
よって、[ π
2
,π)の場合と合計して、P(C)=1
4a2
P(A∩B)=4× 1
4a2
=1
a2

よって、
P(A∪B)= 2
+2
- 1
a2
= 4
- 1
a2
 となる。


◆愛知県 juin さんからの解答。

【問題3】

正6角形の頂点を反時計周りにA,B,C,D,E,Fとする。
時計の数字と対応させると、11時、9時7時、5時、3時、1時となる。
Cを原点とし、CDをx軸に重ねる。
CAをy軸に重ねる。

k1={CDと平行な直線と針が交わる},
k2={BCと平行な直線と交わる},
k3={ABと平行な直線と交わる}とする。

P(k1∪k2∪k3)を求める。

P(k1)= 4
aπ3
となる。

理由。

CD,FA,対角線BEなど、
間隔 a
2
で引かれた直線と針が交わる確率は
ビュフォンの針の問題と同じだから、
2

2
=4
辺の部分と対角線の部分の比は、1:2だから3で割り、
P(k1)=4
aπ3

P(k1∪k2∪k3)
=P(k1)+P(k2)+P(k3)-P(k1∩k2)-P(k2∩k3)-P(k3∩k1)+P(k1∩k2∩k3)

P(k1∩k2∩k3)=0だから、P(k1∩k2)を求める。

正6角形の内部に針の中心が落ち、針とx軸とが作る角を考え、直積空間に直積確率をいれる。
正6角形の面積は3a2
2
角度は0≦θ<πだから、長さπ。

Cの近くで2辺と交わる場合を計算する。

0≦θ<π
3
のとき。
θを1つ固定して条件付き確率を考える。
P(Cの近くで2辺と交わる|θ)=( cosθ
2
-sinθcosθ
)sinθ
4
となる。
[0, π
3
)の範囲で、θで積分すると1
64
となる。
[ π
3
,
3
)の場合も同じで1
64
[
3
,π)の場合、条件付き確率は
1
2
4sinθsin(θ-
3
)・
6
となり、
[
3
,π)の範囲でθで積分して 1
4
- π
12

合計 1
64
+ 1
64
+1
4
-π
12
= 9
32
- π
12

6つの頂点で同じ値だから
P(k1∩k2)+P(k2∩k3)+P(k3∩k1)
=6( 9
32
-π
12
)/(3a2
2
π)
= 9
8a2π
-1
9a2

求める確率は
P(k1∪k2∪k3)
= 3×4
aπ3
- 9
8a2π
+1
9a2
= 4
- 9
8a2π
+1
9a2
となる。


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