『原子の移動』解答


◆東京都 千葉 英伸 さんからの解答。

【問題1】

各点を位置ベクトルで表すことにして、
nの、定点Qについて対称な点Pn+1を考えると、
点Q は線分PnPn+1の中点なので、


Q

―――
(
Pn

Pn+1
)


Pn+1

=2

Qn

Pn
・・・(1)

さて、時刻6tに原子XがP0にあることを示すには、

P6

P0
が言えればよい。

式(1)を順番に使って計算してみましょう。

【問題2】

【問題2−1】

まず最初に、各定点Q1,Q2,・・・,Qnに便宜上の別名
n+1,Qn+2,・・・,Qn+n=Q2nをつける。
ただし、Qn+i=Qi (1≦i≦n)とする。

問題1と同様に、

P2n

P0
が示せれば良い。

時刻2nt以降は同じことの繰り返しなので、
時刻2nktには必ず点P0にあることが証明できる。

そこで、時刻2tごとの原子Xの振る舞いを考えてみる。

点 P2iにいる原子Xは、
定点Q2i+1 について対称な点P2i+1 に移動し、
点P2i+1からさらに定点Q2i+2について対称な点P2i+2に移動する。

図から明らかなように、
線分 P2iP2i+2は定点のつくる線分Q2i+1Q2i+2 に平行で、

さて、式(*)の括弧の中のn個のベクトルに注目すると、nは奇数なので、
点Qn はそれを含むベクトルの始点となる。
つまり、

式(*)'の括弧の中をよくよくみると、
定点をQ1 から順にQn までたどり、最後にQ1 に戻る閉曲線に他ならないので零ベクトルになる。

すなわち、

P0P2n

0

よって、

P2n

P0
が証明できた。

【問題2−1】

この問題は証明できません。
たまたまP0に戻ってしまう反例をあげておきます。


◆静岡県 ヨッシー さんからの解答。

【問題1】

条件より、




P0


P1
・・ (1)




P1


P2
・・ (2)




P2


P3
・・ (3)




P3


P4
・・ (4)




P4


P5
・・ (5)




P5


P6
・・ (6)

(1)-(2)+(3)-(4)+(5)-(6) より、



P0


P6

よって、
P6


P0
となり、題意を満たす。

【問題2−1】

【問題1】と同様に
1、P2・・・P2n をとります。


Q1


P0


P1
・・ (1)


Q2


P1


P2
・・ (2)


Q3


P2


P3
・・ (3)

・・・


Qn


Pn-1


Pn
・・ (n)


Q1


Pn


Pn+1
・・ (n+1)

・・・


Qn


P2n-1


P2n
・・ (2n)


P1

P2
の順に消去していくと、

(1)-(2)


Q1

−2

Q2


P0

P2

(1)-(2)+(3)


Q1

−2

Q2

+2

Q3


P0

P3
・・・

●(1)-(2)+(3)-・・・+(n)


Q1

−2

Q2

+2

Q3

−・・・+2

Qn

P0

Pn

● (1)-(2)+(3)-・・・-(n+1)

−2

Q2

+2

Q3

−・・・+2

Qn

P0

Pn+1

● (1)-(2)+(3)-・・・+(n+2)


Q3

−・・・+2

Qn

P0

Pn+2

・・・

●(1)-(2)+(3)-・・・+(n)-(n-1)+・・・-(2n)


P0

P2n
より、

P0

P2n
となり、
1,Q2・・・Qn の位置に関わらず、
時刻2ntに原子XはP0にある。

あとはこれの繰り返しになるので、自然数kに対して、
時刻2nktに原子XはP0にある。

【問題2−2】

実はP0に戻ることはあります。

例えば、Q1,Q2,Q3,Q4が平行四辺形であるとき、

Q1

Q2

Q4

Q3
となり、(1)-(2)+(3)-(4)


Q1

−2

Q2

+2

Q3

−2

Q4

P0

P4
より
P0

P4
が導け、

0 に戻ることになります。


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