『四面体』解答


◆山梨県 Footmark さんからの解答。

面倒な計算は一切省いた、直感的な証明です。

【問題1】

(a),(b)は同値であると言える。

[証明]

与えられた四面体を建築物と考え、4つの壁(面)を取り外し6つの梁(辺)だけにします。
また、4つの等しい角度をαとします。

上図で点Bと点Dの距離を拘束している梁(辺)BDを取り外して、梁(辺)ACを軸にして,三角形CDAが三角形ABCの反対側の同一平面上になるようにさせます。

上図のように ∠DABや∠BCD は、梁(辺)ACに対して点Bと点Dが反対側にあり4点が同一平面上にある時(開ききった状態)、最大になります。
また、梁(辺)ACに対して点Bと点Dが同一側にあり4点が同一平面上にある時(畳みきった状態)、最小になります。
このことを利用します。

上図の四角形ABCDにおいて、
題意より、∠ABC=∠CDA=α です。

この開ききった状態で ∠DAB=∠BCD ならば、梁(辺)ACを軸に点Bを動かし
∠DAB=α になるようにすれば、 対称性から必ず ∠BCD=α になる筈です。

そこで開ききった状態で ∠DAB≠∠BCD の場合を考えてみます。

上図のように梁(辺)ACを軸に点Bを点Dと同じ側に折り畳んでみます。
畳みきった状態では ∠DAB も ∠BCD も左の円の弧BDの張る円周角ですから
∠DAB=∠BCD の筈です。

ところが畳みきった状態以外なら常に ∠DAB≠∠BCD で、2角の大小関係は開ききった状態の時と同じ筈です。

ですから開ききった状態で ∠DAB≠∠BCD なら、与えられた四面体ではありません。
与えられた四面体ならば開ききった四角形は向かいあった角が等しいので平行四辺形になります。

もし、∠ABC=∠CDA=α> π
なら、

当然開ききった状態では
∠DAB=∠BCD< π
ですから、

常に ∠ABC=∠CDA=α>∠DAB=∠BCD で与えられた四面体にはなりません。

また、∠ABC=∠CDA=α= π
なら、

当然開ききった状態では
∠DAB=∠BCD= π

開ききった状態の時に限り、
∠DAB=∠ABC=∠BCD=∠CDA=αです。
しかし、これは四面体ではありません。

開ききった状態以外なら常に
∠ABC=∠CDA=α>∠DAB=∠BCD で、与えられた四面体にはなりません。

これらより、与えられた四面体なら
∠ABC=∠CDA=α< π
・・・(1)

(青色のCである∠DCAと赤色のCである∠DACはいずれも π

上図で点B,点Cが青色の時の平行四辺形を梁(辺)ACを軸に点Bを点Dと同じ側に折り畳んでみます。
畳みきった時に限り、互いに錯角で
  ∠DAB=∠CDA、∠BCD=∠ABC になります。

ですから、∠DAB=∠ABC=∠BCD=∠CDA=α です。
しかし、これは四面体ではありません。

畳みきった状態以外なら常に
∠ABC=∠CDA<∠DAB=∠BCD で、
与えられた四面体にはなりません。

また上図で点B点Cの位置が青色より左側ならば点Bをどのように動かそうと、常に
∠ABC=∠CDA<∠DAB=∠BCD で与えられた四面体にはなりません。

これらより、与えられた四面体なら
∠ACD=∠CAB< π
・・・(2)

上図で点B,点Cが赤色の時の平行四辺形を梁(辺)ACを軸にして点Bを点Dと同じ側に折り畳んでみます。
畳みきった時に限り、
∠DAB=∠CDA、∠BCD=∠ABC になります。

ですから、∠DAB=∠ABC=∠BCD=∠CDA=α です。

何故なら、梁(辺)ABが直線Apに重なったとすると
∠DAB=∠DAp です。

また、∠DAC=∠BCA= π
ですから,
∠DAp+∠pAC= π
∠ABC+∠CAB= π

ところが,梁(辺)ACを軸にして梁(辺)ABが直線Apに重なったのですから、
∠pAC=∠CAB

それ故、∠DAp=∠ABC
結局折り畳むと、∠DAB=∠ABC
対称性から同様に ∠BCD=∠CDAですから、
∠DAB=∠ABC=∠BCD=∠CDA=α です。
しかし、これは四面体ではありません。

畳みきった状態以外なら常に
∠ABC=∠CDA<∠DAB=∠BCD で、与えられた四面体にはなりません。

また上図で点B点Cの位置が赤色より右側ならば点Bをどのように動かそうと、
常に ∠ABC=∠CDA<∠DAB=∠BCD で与えられた四面体にはなりません。

これらより、与えられた四面体なら
∠DAC=∠BCA< π
・・・(3)

点B点Cの位置が青色より右で赤色より左なら、畳みきった状態では図からも明らかのように
∠DAB=∠BCD<α です。

また開ききった状態では(1)より、
∠ABC=∠CDA=α< π
ですから
∠DAB=∠BCD> π

ですから、∠DAB=∠BCD>α です。

それ故、梁(辺)ACを軸に点Bを動かして畳みきった状態から開ききった状態にする過程で、
必ず ∠DAB=∠BCD=α となる点Bの位置がある筈です。

そのとき4つの三角形はいずれも2辺と挟む角(α)が等しいため合同です。
しかも、(1),(2),(3)より三角形の3つの角はいずれも鋭角でなければなりません。

逆に上図のように4つの三角形が合同な鋭角三角形なら、
∠DAB=∠ABC=∠BCD=∠CDA です。

何故なら、図で同色の辺が長さが等しいものとすると、
4つの三角形はいずれも赤色と青色と黄色の辺で構成されていますが、
∠DAB、∠ABC、∠BCD、∠CDAのいずれの角も青色の辺と赤色の辺の挟む角ですから等しい筈です。

証明は終わりです。

【問題2】

空間の異なる4点を考えると、4点とも同一平面上にある時とそうでない時があります。

[4点が同一平面上にある時]

次の3つの場合があります。

(1)4点が同一直線上にある時

点A、点B、点C、点Dの並び方で

∠DAB+∠ABC+∠BCD+∠CDA=(0°X4)=0°
∠DAB+∠ABC+∠BCD+∠CDA
=(0°x2)+(180°x2)
=360°

の2通りしかありません。

(2)3点が同一直線上にある時

線分AB,線分BC,線分CD,線分DAを書き込めば必ず1つの三角形が形成されます。
4点の内で三角形の頂点にならない点は、三角形の辺上にあるか、辺の延長上にあります。

辺上にある時
∠DAB+∠ABC+∠BCD+∠CDA
=三角形の3つの内角の和+180°
=360°

辺の延長上にある時
∠DAB+∠ABC+∠BCD+∠CDA
=(三角形の2つの内角の和)X2 
<360°

何故なら(三角形の3つの内角の和)X2=360°

(3)どの3点も同一直線上にない時

線分AB,線分BC,線分CD,線分DAを書き込んでみます。
基本的には下の図の3つのケースしかありません。

左の図の場合凸四角形ですから、
∠DAB+∠ABC+∠BCD+∠CDA=360°

中央の図の場合∠CDAが大きい方をとっても、2つの三角形の6つの内角の和ですから、
∠DAB+∠ABC+∠BCD+∠CDA=360°

右の図の場合2つの三角形の4つの内角の和ですから、
∠DAB+∠ABC+∠BCD+∠CDA<360°

[4点が同一平面上にない時]

空間の異なる3点は1つの平面を決定しますから、3点は必ず同一平面上にあります。
ですから点A,点B,点Cは同一平面上にあります。

点D点B間以外の他の2点間の距離を一定に保ったままで点Dを点Bからできるだけ遠ざけると、4点は同一平面上に存在し、線分AB,線分BC,線分CD,線分DAを書き込めば凸四角形ABCDが形成されます。

この時、∠ABCと∠CDAは不変ですが
∠DABと∠BCDは最大になります。

最大になった時でも、凸四角形ABCDですから、

∠DAB+∠ABC+∠BCD+∠CDA=360°

ですから、点D点B間以外の他の2点間の距離を一定に保ったままで点Dが他の3点と同一平面上でないように、点Dの位置を変えると、

∠DAB+∠ABC+∠BCD+∠CDA<360°

ですから、4点が同一平面上にない時は

∠DAB+∠ABC+∠BCD+∠CDA<360°

以上のことから、空間の異なる4点がどのようにあろうと常に
∠DAB+∠ABC+∠BCD+∠CDA≦360°

証明は終わりです。


◆大阪府 macsyma2e さんからの解答。

【三面角(必要)条件】

3つの単位ベクトルのなす角度を x,y,z とすると、常に次が成り立ちます.

x + y ≧ z

証明 3つの単位ベクトルを

u(i) = ( u(i,1), u(i,2), u(i,3) ) (i=1,2,3)

とおくと、それらの張る平行六面体の体積の2乗は、

 det( (u(i,j))i,j ) × det( (u(j,i))i,j )
= det( ( 3
Σ
k=1
u(i,k)×u(j,k) )i,j )
この行列式のi,j成分は i=j では 1、その他はなす角度の余弦なので、

= 1 + 2×cos(x)×cos(y)×cos(z) - cos(x)2 - cos(y)2 - cos(z)2
= ( sin(x)×sin(y) )2 - ( cos(x)×cos(y) - cos(z) )2
= 4×sin( x+y-z
2
)×sin( x-y+z
2
)×sin( -x+y+z
2
)×sin( x+y+z
2
) ・・・・(★)
となり、この値は非負実数です.

さて、非自明な場合、つまり、0°≦ x,y < z ≦ 180°かつ x+y < 180°ならば

0°< -y+z ≦ x-y+z ≦ x+z < 360°
0°< -x+z ≦ -x+y+z ≦ y+z < 360°
0°< x+y+z < 360°

が成り立つので、
sin( x-y+z
2
)×sin( -x+y+z
2
)×sin( x+y+z
2
) > 0
よって、
sin( x+y-z
2
) ≧ 0
となり、-180°≦ x+y-z < 180°と併せて結果を得ます.


【問題1】

■ 四面体が「退化してもよい」という設定なら、同値ではありません.

退化しない任意の正方形 ABCD では、(a) は満たしますが、(b) の鋭角条件を満たしません.

■ 四面体が「退化しない」という設定なら、以下に見るように同値です.

(b) ならば (a) は、合同な三角形の対応する角度ゆえ、成立します.

逆に (a) のとき、その角度を t、線分 AC, DB, AB, BC, AD, DC の長さを各々 x,y,a,b,c,d として、x=y かつ a=d かつ b=c の成立を示します. 以下、四面体が退化しないので

0°< t < 180°
x,y,a,b,c,d > 0

です.まず、余弦定理により

x2 = a2 + b2 - 2×a×b×cos(t) ・・・・(1)
x2 = c2 + d2 - 2×c×d×cos(t) ・・・・(2)
y2 = b2 + d2 - 2×b×d×cos(t) ・・・・(3)
y2 = c2 + a2 - 2×c×a×cos(t) ・・・・(4)

ですが、(1)と(2)、(3)と(4)の右辺から

a2 + b2 - c2 - d2 = 2×( a×b - c×d )×cos(t) ・・・・(5)
d2 + b2 - c2 - a2 = 2×( d×b - c×a )×cos(t) ・・・・(6)

更に cos(t) の係数を揃えて、等置すると

( a2 + b2 - c2 - d2 )×( d×b - c×a )
= ( d2 + b2 - c2 - a2 )×( a×b - c×d )

整理して

( a-d )×( b-c )×( a-b-c+d )×( a+b+c+d ) = 0

を得ます.

a=d のとき、(1)(3)から x=y となり、
結果(1)(4)から b=c も判ります.

b=c のときも同様です.

a-b-c+d = 0 のときも、
a-b = c-d および b-d = a-c として辺々2乗すれば

a2 + b2 - c2 - d2 = 2×( a×b - c×d )
d2 + b2 - c2 - a2 = 2×( d×b - c×a )

であり、(5)(6)は

( a×b - c×d )×( cos(t) - 1 ) = 0
( d×b - c×a )×( cos(t) - 1 ) = 0

となって、0°< t から

a×b = c×d
d×b = c×a

つまり、a=d かつ b=c に至り、
(1)(4)から x=y です.

ここまでで、四面体が等面であることが判りました.

そこで、改めて任意の面の3内角の大きさを s,t,u ( s≦t≦u ) とおくと、四面体の任意の頂点で【三面角条件】を適用すれば、直ちに

u ≦ s+t = 180°- u つまり u ≦ 90°

ですが、u = s+t ⇒(★)により四面体の体積 = 0 なので、
u < 90°です.


【問題2】

角度が 0°となるものも含めて、【三面角条件】から

 360°
= 180°+ 180°
= ( ∠DAC + ∠ACD + ∠CDA ) + ( ∠CAB + ∠BCA + ∠ABC )
= ( ∠DAC + ∠CAB ) + ∠ABC + ( ∠BCA + ∠ACD ) + ∠CDA
≧ ∠DAB + ∠ABC + ∠BCD + ∠CDA.


【ひとこと】

「 補助線 」や「 移動 」は苦手です.


 『四面体』

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