『正多面体の影』解答


◆島根県の高校生 支離滅裂 さんからの解答。

正四面体の影が最大となるのは影が正方形に成った時。
最小と成るのは正四面体の一面の正三角形が映し出されたときで
面積は  

その四角形の一辺と正四面体の一辺と等しいから、面積は1

正六面体の時
正六面体の一面正方形が写し出されたとき最小で1

最大と成るのは正六角形が映し出されたときで  


◆作者からのヒント。

支離滅裂さん。解答ありがとうございます。
残念ながら、六面体の場合の最小値を除き間違っています。
高校生の方には耳慣れない発想を要求するため、レベルが高かったかも知れません。

ヒントとして私から、正六面体の場合の解答を概要のみ示します。
よろしければ再度挑戦して下さい。

なお、詳細は覚えておりませんが、八面体の場合までは教科書や雑誌などを探す事で解答を見つけられるはずです。
十二、二十の場合については私自身解答を知りませんし、ほとんどイタズラに近い問題ですので、数学に対して強い自信を持っている方以外は手に負えないと思います。

【正六面体の場合の証明概要】

あくまで概要です。正確な証明ではないのでそのつもりでお読み下さい。

正六面体の八つの頂点のうち、射影される面に最も近い点の一つをOとする。
Oから隣接する三頂点へ延ばしたベクトルをベクトルA,B,Cとする。
この時、ベクトルA,Bによって構成される面の放線ベクトルはCである。

さて、ベクトルA,Bによって構成される面を正射影したときの面積をSとすれば、A,Bによって構成される面と射影される平面との面角をθとして
S=cosθが成立する。

さらに、射影される面の単位法線ベクトルをHとすれば
cosθ=C・Hとすることが可能。従って
S=C・Hが成立し、Hは固定されていると見なす事が可能である。

さて、この議論をB,Cによって構成される面。C,Aによって構成される面の三つにまで拡張する。

すると、正射影された陰の面積は
A・H + B・H + C・H = (A + B + C)・H

この値は、H方向に見た、A+B+Cの長さ。
すなわち、A+B+CのH方向の成分と見なす事が可能。

さらに、A+B+Cは点Oから、点Oと最も離れた点(O')までを結ぶベクトルであり、
結局正射影された陰の面積は、Oから0'までのH方向での距離と等しくなる。

今、Oは射影される平面に最も近い点と仮定しているのでこの値は
1〜 まで変化する。

よって、正六面体の場合、面積の最小値は1
最大値は となる。

Q.E.D.

以上です。概要のみですので言葉が足りない所が多数あります。
しかし、ヒントにはなると思いますので頑張って下さい。


◆東京都の高校生 もやし さんからの解答。

・正四面体

最小値は、無論1つの面が写ったときで、
面積は  

 

最大値は、正方形が写ったときですが、支離滅裂さんの解答だと「正方形の1辺が1」となっていますが、この影で長さが1である線分は、正方形の対角線になるはずです。
したがって面積は1×1÷2=

・正六面体

最小値は、無論1つの面が写ったときで、面積は1

 

最大値は、正六角形が写ったときですが、これは正六面体の対角線が床に垂直になるように置いて真上から見たときにみた正六面体の面積と同値です。
このとき、正六面体の対角線に垂直な面の上にある線分は、影になっても長さが変わりません。
図の青線の正三角形は正六面体の対角線に垂直な面の上にあるので、影になっても長さは変わりません。
この青線は正六面体の1つの面の対角線の長さに等しいので、長さは

また、これは影の正六角形の短い方の対角線なので、正六角形の1辺の長さは、
÷2÷×2=

ゆえに面積は、ひし形3つ分と考えれば、

×÷2×3=

・正八面体

最小値は、真横から見たときに見える、二等辺三角形2つを組み合わせたひし形が写ったときで、短い方の対角線は1辺の長さに等しく、1。
長いほうの対角線は、正八面体の1番離れた頂点間の距離に等しいので、

したがって、面積は1×÷2=

最大値は、正方形が写ったときで、正方形の1辺と正八面体の1辺は等しいので、面積は1

・正十二面体

最小値は、真横から見て図1のようになったとき(多分)で、

この影の面積は正十二面体を図2のオレンジ線で切ったときの断面積に等しい。

したがって、図3の青線と赤線は共に正十二面体の1番離れた2辺間の距離であるといえる。

その長さは図4から、

正十二面体の中に収まる立方体の1辺の長さ+(頂点から1番近くの立方体の面に下ろした垂線の長さ)×2
と表せる。

前者は、正十二面体の1つの面の対角線なので、 1+
となる。
後者は、図5のように立方体の外側にある屋根型に注目して、垂線の長さ(紫線)をもとめる。

水線、緑線、桃線のような補助線をひくと、
水= 1+
÷2=1+
緑=( 1+
−1)÷2=−1+
となり、三平方の定理から、
2+水2+緑2=1辺2

これに水、緑、1辺 の各値を代入して、方程式を解くと、
紫=
が求まる。

したがって、

 正十二面体の1番離れた2辺間の距離(青&赤)
1+

×2
3+
である。

また、図3において、図形の対称性から、青⊥赤、赤//1辺 と言えるので、この六角形は赤線によって台形2つに分けることができ、その台形の高さは青線の半分である。

よって、求める面積は、
3+
+1)× 3+
÷2×2=5+2


最大値は、床に置いた正十二面体を真上から見たとき(多分)で、言い換えれば正十角形。
とりあえず図の青線の長さは 1+
なので、
これをもとに面積を出すのですが、計算などはめんどくさいので省きます。(言い訳)


答えは

・正二十面体

最小値は、図1のような六角形になったとき。

この影は、図2のオレンジ線で正二十面体を切ったときの切断面と面積が等しい。(合同)



この面積は、正十二面体のときと同様に、赤線によって台形2つに分けてかんがえられ、また赤線と青線の長さは等しく、直交して互いの中点を通る。
また、図3の太線の長さは、正二十面体の1つの面の中線なので、
であり、



赤=青=x とおくと、図4の斜線をひいた直角三角形で三平方の定理より、
( x−1
)2 +(
)2 =(
)2



整理して、x2−x−1=0
x>0から、x= 1+

ゆえに面積は、
1+
+1)× 1+
÷2×2=2+

最大値は、図1のような正六角形になったとき。


答えは

図2の青線の長さは図1の斜線をひいた正五角形の対角線の長さに等しいので、
1+
あとは正六面体のときとやり方は同じなので、省略。

答えは、 (3+)


◆出題者のコメント。

もやしさん、解答ありがとうございます。
残念ながら、解答は間違っております。

正四面体の正射影はもう少し小さい値をとることが可能です。

正六面体については、結論はあっています。

それ以外ですが……私自身解答を持っていないので何ともいえませんが、ご本人も「多分」という言葉を使っている点から見て、間違いの可能性を考えていらっしゃるのでしょう。

正八面体については、今度の土日を利用して正解を書きます。
正四面体については、高校生にとってちょうどいいレベルだと思うのでもう少し考えてみてください。


◆東京都の高校生 もやし さんからの解答。

・正四面体 最小値は、正四面体を床において真横から見たときに図1のように見えたとき。
 

で、これがどのような形かというと、要は図2のように正四面体を切ったときの断面図に合同な図形。

 

従って面積を計算すると、(計算略)

前の解答では安易に考えていたとつくづく思いました。
Alphaさん、これでどうでしょうか。
ただ、正八面体についてはお手上げです。正六角形や長方形になる場合も考えては見ましたが、どちらも最大・最小にはなりませんでした。


◆出題者のコメント。

もやしさん。回答再びありがとうございます。
今度は正解です。

8面体についてですが、土日が忙しかったのでできませんでした。ごめんなさい。
しばらくしたら、やると思いますので期待しないで待っていてください。

あと、正四面体については、かなり古いですが東京大学の過去問にあります。
気が向いたら調べてみるといいでしょう。


◆出題者の神奈川県 Alpha さんからの解答。

正八面体の場合の回答を示します。

正八面体の頂点をA,B,C,D,E,Fとし、B,C,D,Eの四点が正方形をなすとする。
明らかに正射影は次の二つの場合に分類される。

1) 4点B,C,D,Eの正射影B',C',D',E'によって構成される平行四辺形の内部に二点A',F'が含まれる。

2) 4点B,C,D,Eの正射影B',C',D',E'によって構成される平行四辺形の内部に二点A',F'が含まれない。

2)の場合は、さらに6点A',B',C',D',E',F'の凸包が四角形か六角形かという二つに分かれる。
仮に2)の場合において、A',B',C',D',E',F'の凸包が四角形ならば、その凸包を新たにB',C',D',E'と置きなおす事で1)と同一視することができる。
従って2)の場合は凸包が六角形の場合のみを検討すればよい。

1)

四角形BCDEの法線ベクトルが射影面の法線ベクトルと平行になるとき、正射影の面積は最大値をとる。
この場合面積は1

四角形BCDEの法線ベクトルが射影面の法線ベクトルに対して最も傾くとき正射影の面積は最小値をとる。
この場合、点A'とB'が一致すると考えてよい。

この時の正射影の面積は

従って、最小値
、最大値1

2)

正八面体の中心をOとして、ベクトルOAをa、OBをb、OCをcと置き、射影される面の単位法線ベクトルをeとおく。

3点A,B,Cの選び方を工夫して、ae,be,ce≧0とする。
正射影の六角形を△A'D'E'、△F'B'C'、四角形B'C'D'E'の三つに分けて考える。
明らかに△ADEの面積ベクトルは (a-b-c)
となり、
△A'D'E'の面積は e(b+c-a)
と考えてよい。

同様に△F'B'C'の面積も e(b+c-a)

従って六角形A'B'C'D'E'F'の面積は
e(b+c-a)
ae= e(b+c+a)

従って、最大値はe//(a+b+c)の時であり
a+b+c = √(3/2)eの時で

最小値は、1)の場合と同じ。

以上より、最大値1.最小値

引き続き、個人的な興味になりますが、正12面体以上の解答をお待ちしております。


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