『頂点と接点を結ぶと?』 解答


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【中心解答】

下図のように記号を定義する。
点A,B,C,S,T,U は便宜上添え字付記号に変更した。

E1,E2,E3は△O1O2O3の内接円の接点であるので、内接円の中心Oを原点とし、
∠E3OE2の2等分線(O1の方向)をx軸とする直交座標 {x , y} で考える。

また、代表長を内接円の半径とし、1単位とする。
すなわち、

|OEi|=1  i=1,2,3   ―――(1)

である。

以降添え字iは 1,2,3を 
^iは ^1==23,^2==31,^3==12 を一般的に表しているとする。
また添え字 i+kは i+k mod 3 であるとする。

さらに
OE3={x,y}
OE2={x,-y}
OE1={-αx,βy} と置く。

ただし、α>1 |β|<1 である。

(1)より

2+y2=1
(αx)2+(βy)2=1  ―――(2)

でなければならず、

21−β2
α2−β2
2α2−1
α2−β2
  ―――(3)

以降 X座標は x(≧0) 、Y座標はy(≧0)を単位とし、下記であらわす。

 [a,b] = (ax,by)

なお、ベクトル [a,b]と [c,d] の内積は 行列計算では
[a,b]・M・[c,d] t で計算される。
ここで  ―――(4)

上図の関係 ―――(5)を用いることにより、

Oi は OEi+1 OEi+2  を用いて、表すことができ、

Oi = OEi+1+ OEi+2
1+[ OEi+1]M[OEi+2] t
  ―――(6)

である。これを計算すると、

O1=[ α2−β2
1−β2
,0 ]

O2=[ β−α
1+β
,α−β
α−1
] ―――――(7)

O3=[ −(β+α)
1−β
,−(α+β)
α−1
]

また、

|E3O1| = r1 =√(α2−1
1−β2
)

|E1O2| = r2 =√{(α+1
α−1
)×( 1−β
1+β
)} ―――――(8)

|E2O3| = r3 =√{(α+1
α−1
)×( 1+β
1−β
)}

つぎに 

円Oiに外接する△A1A2A3と円Oiの接点を図のように、
31、T32、T12、T13、T23、T21とし、
OiとOi+1の中点を Hi+2
i,i+1とTi,i+2の中点をPiとする。

このとき

|Hii|= ri+2 +ri+1
で 

Oii,Jと HJJは平行である。――(9)

また、PiはOEiの延長上にあることが容易にわかり、相似関係から計算すると

|PiEi|= r ^i=√{ ri+2 ×ri+1} である。
計算すると、

r23 =√(α+1
α−1
)

r31 =√(α+1
1−β
)  ―――――(10)

r12 =√(α+1
1+β
)

よって、

OPi=(1+r ^i)OEi

以上まとめると

iOi+1+Oi+2
   ―――――(11)

i = (1+r ^i)Ei  ―――――(12)

(5)および(9)の関係を適用すると

i= Oi+2ri×(ri+ri+2)×Hi+1i+1+(ri+ri+1)×Hi+2i+2
(ri+ri+2)×(ri+ri+1)+4[Hi+1i+1]M[Hi+2i+2]t
 ―――(13)

最後に EiとAiを通る直線とEとAを通る直線の交点をΩi,Jとするとき、

Ω1,2=Ω1,3 であればよい。

Ωi,Jは 原理的にはα、βの関数として代数計算が可能である。
しかしかなり煩雑である。

すなわち 下記連立線形方程式を解く必要がある。
なお、×:外積のZ成分計算とする。

(Ai− Ei)× Ωi,J=(Ai−Ei )×i

(A−E)× Ωi,J=(A−E)× ――(14)

そこでまず、厄介な√を

α=θ+1
2θ2
  1>θ>0     ―――(15)

β=η−6η+1
η+2η+1
  1>η>0

で置き換えてはずす。このとき、

√{2(α+1)}=θ2+1
θ

√{2(α−1)}=θ2−1
θ

√{2(1+β)}=2(η2−1)
η2+1

√{2(1−β)}=
η2+1

となり、θ η の有理多項式である。
またも以下のように相殺される。

r1 =−1)(η2+1) 2
8θη(η2−1)

r2 =2(θ2+1)η
2−1)(η2−1)

r3 =2+1)(η2−1)
2(θ2−1)η

r23 =θ2+1
θ2−1

r31 =2+1)(η2+1)
4θη

r12 =2+1)(η2+1)
2θ(η2−1)

rを求める式以外の計算は4則演算のみである。
よって、Ωi,Jはθとηの整数係数の有理多項式である。

 (12)式までは比較的容易にθとηによる関数式を求めることができ、多項式の次数がわかる。
また、(13)および(14)は四則演算のみであり、約分できない最悪の場合を考えることにより、多項式の最大次数がわかる。

 さらに、Ω1,2―Ω1,3 を通分したあとの分子の整数係数多項式のθとηの最大次数を計算すると各々約400以下であることが分かる。
詳細表1

 よって数値計算により、
値の異なる θ方向378×η方向383以上の格子点上において、
DΩ=Ω1,2―Ω1,3が0であれば、成立が証明される。

実際、1000桁/1000桁 の有理数計算ができるプログラムを作成し、

θ、η =1
2
,1
3
,2
3
,1
4
,3
4
,1
5
,2
5
,3
5
,4
5
,1
6
,………,35
36

なる、一辺395個 の分母36以下の有理数格子点約16万点で
DΩ を計算した。

η=1/2 θ=3/5 のような分母が0になる組や、桁あふれによる確認不良点があるかもしれないので余計に計算した。
その結果 各ηないしθにつき390個(>382)以上の有効点で DΩ=0 であることを確認した。
なお実際には50桁ほどで十分であり、桁あふれはなかった。

例として 2ケースの計算結果を下記に示す。
Ω=Ω1,2=Ω1,3

【感想】

 互いに内接したり外接したりする、円や3角形4角形が多数あって、とても綺麗な問題であると思いました。
従って、もっとエレガントに解きたかったのですが、簡単にはわからなかったことと、計算機で解く方法がおもしろそうだったのでこのような解となりました。

 そのため、この交点の本質が良く見えません。
三角形の5心の線形結合ではなさそうです。
三角形の第6心といってもいいかもしれませんね。

表1

 
[x,y]のx値 または スカラー値   [x,y]のy値
分子次数 分母次数   分子次数 分母次数
項目 θ最大 η最大 θ最大 η最大   θ最大 η最大 θ最大 η最大
E1 4 0 2 0   0 4 0 4
E2 0 0 0 0   0 0 0 0
E3 0 0 0 0   0 0 0 0
[1,1]M 4 6 8 8   8 8 8 8
O1 8 8 4 6   0 0 0 0
O2 4 4 2 4   4 4 4 4
O3 4 4 2 2   4 4 4 4
r1 6 6 5 6          
r2 2 1 2 2          
r3 2 2 2 1          
P1H1MP2H2 10 10 8 8          
P1H1MP3H3 10 10 8 8          
P2H2MP3H3 16 12 12 8          
A1 59 56 56 52   51 52 50 52
A2 40 42 36 42   40 39 38 39
A3 40 40 36 38   40 38 38 37
Ω12 187 193 187 193   189 193 187 193
Ω13 187 188 187 188   189 189 187 188
DΩ 374 381 374 381   376 382 374 381


◆宮城県 アンパンマン さんからの解答。

チェバの定理より次の定理が成り立つ。

定理:

三角形ABCと、辺BC上の点X、辺CA上の点Y、辺AB上の点Zが与えられたとする。
このとき、AX、BY、CZが一点で交わることと、次の条件は同値である。

sin(∠BAX)
sin(∠XAC)
* sin(∠CBY)
sin(∠YBA)
* sin(∠ACZ)
sin(∠ZCB)
=1
(証明を省略)


Y.M Ojisan さんからの解答図より Oiの周りの角度を図のようにつける。

∀ i,j ∈{1,2,3,4}, i≠j、
αijij,
βijij,
γijijと定義する。

△A3 T12 E3 を考えると
yi=|Ai Ei|, i=1,2,3.

sin(∠T12 A3 E3)
= |T12 E3|*sin(∠ A3 T12 E3)
|A3 E3|
= |T12 E3|sin(β23)
y3
= 2r2 sin223)
y3

同様に、△A1 T32 E1 を考えると
sin(∠T32 A1 E1)= 2r2 sin212)
y1

つまり

sin(∠T12 A3 E3)
sin(∠T32 A1 E1)
= y1
y3
  { sin(β23)
sin(β12)
}2

sin(β23) = |OP1|cos(β2)
|O2 P1|

同様に

sin(β12)= |OP3|cos(β2)
|O2 P3|

つまり、

sin(∠T12 A3 E3)
sin(∠T32 A1 E1)
= y1
y3
  { sin(β23)
sin(β12)
}2
= y1
y3
 ( |OP1|
|OP3|
)2 r22+r232
r22+r122
= y1
y3
 ( |OP1|
|OP3|
)2 r2+r3
r2+r1

同様に

sin(∠T23 A1 E1)
sin(∠T13 A2 E2)
= y2
y1
 ( |OP2|
|OP1|
)2 r3+r1
r3+r2

sin(∠T31 A2 E2)
sin(∠T21 A3 E3)
= y3
y2
 ( |OP3|
|OP2|
)2 r1+r2
r1+r3

sin(∠T12 A3 E3)
sin(∠T32 A1 E1)
* sin(∠T23 A1 E1)
sin(∠T13 A2 E2)
* sin(∠T31 A2 E2)
sin(∠T21 A3 E3)
=1

であることより
A1E1, A2E2, A3E3は一点で交わる。


◆神奈川県 諏訪冬葉 さんからの解答。

O1,O2,O3 の半径を p,q,r
この三角形の面積を V
この三角形の周囲の長さの半分を s
三頂点の位置ベクトルを A,B,C とおく

点 X=lA
l+m+n
+ mB
l+m+n
+nC
l+m+n
をX{l:m:n} と略記する。

任意の点について
X{△BCX:△CAX:△ABX} が成り立つ。

O1{V-p(b+c)
2
pb
2
pc
2
}
O2{qa
2
:V- q(a+c)
2
qc
2
}
O3{ra
2
rb
2
:V-r(a+b)
2
}
S=rO2+qO3
q+r
などから

S{qra:r(V-q(s-b)):q(V-r(s-c))}
T{r(V-p(s-a)):prb:p(V-r(s-c))}
U{q(V-p(s-a)):p(V-q(s-b)):pqc}

OS が BC と交わる点を S' とすると

S'{0:r(V-q(s-b)):q(V-r(s-c))}
T'{r(V-p(s-a)):0:p(V-r(s-c))}
U'{q(V-p(s-a)):p(V-q(s-b)):0}

チェバの定理を使用すれば、分子も分母も
pqr(V-p(s-a))(V-q(s-b))(V-r(s-c)) となり成り立つ。

よって問題の三線は一点で交わる。

【コメント】

この交点ですが、「第1安島-Malfatti点」というようです。
参考リンク

http://cedar.evansville.edu/~ck6/tcenters/recent/ajmalf.html


◆宮城県 甘泉法師 さんからの解答。

解けていませんが道筋だけ示します。

∠A=2α、∠B=2β、∠C=2γとする。

円Oi(i=1,2,3)の半径をriとして

辺ABの長さc= r1cotα+2√(r1r2)+r2cotβ
辺BCの長さa= r2cotβ+2√(r2r3)+r3cotγ
辺CAの長さb= r3cotγ+2√(r3r1)+r1cotα

点B,Cはx軸上に点Aはy軸上正にあるようにxy座標を導入する。

点A(0,c*sin2β)=(0,b*sin2γ)=(0,h)
点B(-c*cos2β,0)
点C(b*cos2γ,0) とすると

点O1(r1*cosecα*cos(2γ+α),c*sin2β-r1*cosecα*sin(2γ+α))
点O2(-c*cos2β+r2cotβ,r2)
点O3(b*cos2γ-r3cotγ,r3)

点Sは線分O2O3をr2:r3に内分する点なので

点S
1
r2+r3
*(r3*(-c*cos2β+r2cotβ)+r2*(b*cos2γ-r3cotγ),r3*r2+r2*r3)

点Tは線分O3O1をr3:r1に内分する点なので

点T
1
r3+r1
*(r1*(b*cos2γ-r3cotγ)+r3*r1*cosecα*cos(2γ+α),r1*r3+r3*{c*sin2β-r1*cosecα*sin(2γ+α)})

点Uは線分O1O2をr1:r2に内分する点なので

点U
1
r1+r2
*(r2*r1*cosecα*cos(2γ+α)+ r1*{-c*cos2β+r2cotβ},r2*{c*sin2β-r1*cosecα*sin(2γ+α)} + r1*r2)

直線ASの方程式

y-c*sin2β
x-0
= 2*r3*r2/(r2+r3)-c*sin2β
r3*(-c*cos2β+r2cotβ)+r2*(b*cos2γ-r3cotγ)}/(r2+r3)-0
= 2*r3*r2-(r2+r3)*c*sin2β
r3*(-c*cos2β+r2cotβ)+r2*(b*cos2γ-r3cotγ)
=k

直線BTの方程式

y-0
x+c*cos2β
= [r1*r3+r3*{c*sin2β-r1*cosecα*sin(2γ+α)}]/(r3+r1)-0
{r1*(b*cos2γ-r3cotγ)+r3*r1*cosecα*cos(2γ+α)}/(r3+r1)+c*cos2β
= r1*r3+r3*{c*sin2β-r1*cosecα*sin(2γ+α)}
r1*(b*cos2γ-r3cotγ)+r3*r1*cosecα*cos(2γ+α)+(r3+r1)*c*cos2β
=r3* h-r1*cosecα*sin(2γ+α)+r1
r1*(h*cot2γ-r3cotγ)+r3*r1*cosecα*cos(2γ+α)+(r3+r1)*h*cot2β
=l

直線CUの方程式

y-0
x-b*cos2γ
= [r2*{c*sin2β-r1*cosecα*sin(2γ+α)}+r1*r2]/(r1+r2)-0
[r2*r1*cosecα*cos(2γ+α)+ r1*{-c*cos2β+r2cotβ}]/(r1+r2)-b*cos2γ
= [r2*{c*sin2β-r1*cosecα*sin(2γ+α)}+r1*r2]
r2*r1*cosecα*cos(2γ+α)+r1*{-c*cos2β+r2cotβ}-b*(r1+r2)*cos2γ
=r2* h-r1*cosecα*sin(2γ+α)+r1
r2*r1*cosecα*cos(2γ+α)+r1*{-h*cot2β+r2cotβ}-h*(r1+r2)*cot2γ
=m

直線ASと直線BTの交点のx座標の満たす式は

kx + c*sin2β=lx+l*c*cos2β

x= l*c*cos2β-c*sin2β
k-l
=h* l*cot2β-1
k-l
  (1)

直線ASと直線CUの交点のx座標の満たす式は

kx+c*sin2β=mx-m*b*cos2γ

x= -c*sin2β-m*b*cos2γ
k-m
=h* m*cot2γ+1
m-k
  (2)

(1)と(2)が等しいことを計算すればよい。


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