『正三角形作り』解答


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【問題1】

f(n)=[ n
3
]*[n+1
3
]*[n+2
3
], [ ]:ガウス記号

∵一本直線を引きます。
なるべくたくさん正三角形を作るには、後の直線はこの直線に対し、0度、120度、−120度のいずれかの傾きを持つべきです。
よってn本を3組に分けその積が最大になるようにすればよい。
つまり、ほぼ同値の[ n
3
],[n+1
3
],[n+2
3
]に分ければよい。

【問題2】

2本の線が重なったときは1本の線と同等とします。
またn≧3とします。

最大値f(n)の状態から 適当な線一本を平行な線の上に重ねれば
f(n-1)に低減できるのでf(n-1)+1〜f(n)-1本が可能であれば数学的帰納法により可能です。
なお、f(3)=1(のみ)であるからn=3において成立しています。

[大雑把な証明]

n=6mとします。
f(n)=8m3 ,f(n-1)=8m3-4m2
であるので f(n)をベースに1から4m2まで削減できれば十分です。

最初に下図の黒線と空色線で示されるように綺麗に並べる。
1本減らすには空色線の一本を「1」で示されるの位置に移動します。
2本の時は「2」で示されるの位置に移動します。
最初の線で最大「2m」削減可能です。

次にもう一本空色線を移動してゆきます。
2本目3本目は最大「2m-1」削減できます。

最後のm本目は「m」削減され、この手順により、1から3m2本まで全て削減可能ですが 4m2には不足です。

そこでベースを8m3-2.8m2ぐらいに減らすことを考えます。
(2.8に深い意味は無い。3より少し少ないだけ)

すなわち 2m*(2m-k)*(2m+k)≒ 8m3-2.8m2より
k=Ceiling(1.183√m) とする。
下図に示すようにこの場合もほぼ3m2削減可能であり、2m2は十分削減できる。

mが大きくなれば、√の切り捨てや、nが6mでないことの影響は相対的に小さくなり、大雑把な証明で十分である。
問題はnが小さい時であり、有限なので個別に調べればできるでしょう。


[mmとした証明] 

n=a+b+cに分けられているとき、g(a,b,c)=a*b*cからどれだけ交点に重ねる方法で正三角形を減らせるかというと、
d(a,b,c)=[a*b+b*c+c*a+ 1
4
-(n
2
)2 ]です。

ただしこの式は a+b≧c & a+c≧b & b+c≧a (三角形の3辺)のときに限ります。
単純に計算すれば出てきますので証明略。

[ ]を用いないと、d(a,b,c)はnの偶奇性で、f(n)は n mod 3 の値で若干表式が異なるので n mod 6で分類して考える必要がありますが、
1/4をはずして
d(a,b,c)≧(a*b+b*c+c*a-( n
2
)2 )=ρ(a,b,c)で考え,n mod 3 で分類します。

即ち f(n)=g(m,m,m+p) ,n=3m+p,p=-1 or 0 or 1 を最初の状態とします。

もし、f(n)-d(m,m,m+p)≦f(n)-ρ(m,m,m+p)≦1+f(n-1) であれば証明終わりです。

しかしそうではないので a=m から1本 b=mへ移動させa=m-1,b=m+1にします。

このとき 

f(n)=g(m,m,m+p)-ρ(m,m,m+p)≦1+g(m+1,m-1,m+p)であれば
g(m+1,m-1,m+p)まで順次削減できて、
g(m+1,m-1,m+p)-ρ(m+1,m-1,m+p)≦1+f(n-1)であれば証明終わりです。

だめならもう一本ということで一般に

g(m+k,m-k,m+p)-ρ(m+k,m-k,m+p)≦1+g(m+1+k,m-1-k,m+p) ---(1) または
g(m+k,m-k,m+p)-ρ(m+k,m-k,m+p)≦1+f(n-1) ----(2)

がk=0から(2)が成立するkまでの間で成立していればよい。

少し回りくどいですが、それはこの条件を、両式(1)(2)の加算である下記関係式(3)の成否で大まかに判定する方法をとるためです。

g(m+1+k,m-1-k,m+p)+f(n-1)+2(1+ρ(m+k,m-k,m+p)- g(m+k,m-k,m+p))≧0

<p=-1の場合>

この場合f(n-1)=g(m-1,m-1,m)です。
m=5+qとして計算すると(3)左辺は下記です。
(下駄値5は実は答えを知って出る値です。他も同様)

(2+q)(k- 4+q
2+q
)2 +q3+8q2+20q+8
2q+4

この式はq≧0において正です。
即ち3m-1の系統ではn=14以上はOKです。

<p=0の場合>

この場合f(n-1)=g(m,m,m-1)です。
m=5+qとして計算すると(3)左辺は下記です。

(3+q)(k- q+5
3+q
)2 +q3+9q2+23q+7
2q+6

この式はq≧0において正です。
即ち3mの系統ではn=15以上はOKです。

<p=1の場合>

この場合f(n-1)=g(m,m,m)です。
m=4+qとして計算すると(3)左辺は下記です。

(3+q)(k- q+5
3+q
)2 +q3+9q2+21q+1
2q+6

この式はq≧0において正です。
即ち3m+1の系統ではn=13以上はOKです。

kはせいぜい [√(n/3)] ですから、n≧13ではρの引数a,b,cに要求される3角形の関係は満足されています。

以上より n≧13 以上では可能であることが証明されました。

n<13 の場合について具体的に調べます。

m=[ n+1
3
] , p=n-3m,f(n)=m3+pm2,k=[√( d(m,m,m+p)+1
m+p
)]として、

kは前記の証明のように1つずつではなく、一気に下げます。

下表に示すようにn=3,4はそのままで成立。
n=5,6,7,8,10は1回目の削減で成立。
n=9,11,12は1本の移動を1回行い、2回目の削減で成立している。

以上で証明完了。
{なお、n=12はぎりぎり届いたというところですが、a,b,cを4,4,4から3,3,6に移動させれば
g=54,d=9,g-d-1=44でらくらく到達します。}

合わせて、n=13以降も一部下表に示しました。
2回までに到達しています。

【感想】

大雑把な証明までは容易でしたが、きっちりした証明の方はややこしくて疲れた。
どうせEXCELで下のほうを計算したので、もっと大まかな証明でもよかった。

【おまけ】

(a) 正三角形の内部と直線が交わらないもののみをかぞえた場合

【おまけa問題1】

f(n)=[pm- p2
2
+3m2
2
]

ここでm=[ n+1
3
] , p=n-3m , [ ]:切り捨て

∵同様に直線を0度,120度,-120度の3グループに分けそれぞれa,b,cとする。
aから1本(青線)を持ってきて、bとc全部を使って最大何個正3角形が作れるか考えると、
下図のようにb=cでは b+c-1である。
またb>cなら2cである。

 

したがって、bとcでできる格子点間に、なるべくa方向の対角線に近いほうからaの線を差し込んで行くのが最大個数の正三角形をあたえる。
その数は、関わるbとcの交点の2倍程度になるから、前の問題のdのほぼ2倍であることがわかる。

 

実際に計算すると、
f(a,b,c)=[2*(ab+bc+ca)- n2
2
] ,n=a+b+c である。

この値が最大になるのはa=b=cのときである。
従ってnが3の倍数のときはa=b=c= n
3
n mod 3=1のときは a=b= n-1
3
,c=a+1
n mod 3=2のときは a=b= n+1
3
,c=a-1 が最大値を与える。

これを書き換えると解答である。

【おまけa問題2】

こちらは容易に可能である。
手順の一つをn=12の場合について下図に示す。
他にも方法はあるが、gifアニメのファイル圧縮率が高いと思われるものを採用した。
f(12)=24です。
この方法のポイントは1本(赤線)だけ整列させないところである。


◆出題者のコメント。

Y.M.Ojisan さん解答ありがとうございます。

【問題1】正解です。

【問題2】細かい計算以外は確認しました。
かなり良い評価をされていて見事です。
(私の用意していた解答ではn≧55とかなり評価が荒いです。)

以下は蛇足ですが、思ったことです。

[大雑把な証明]では2回の削減で済ませていますが、[mmとした証明]では何回も削減を行っていますね。
こちらの方が精密ですが、[大雑把な証明]の方針で
k = [√(n/6)]
とした方が多少計算が楽かも知れません。
(ちゃんと計算してませんが)

>きっちりした証明の方はややこしくて疲れた。
私も、自分なりに証明してから出題しようとしたので疲れました。

あと、発見的な方法による解答も期待していますが、こちらは難しいかもしれません。

【おまけa問題1】

多分正解でしょう。
というのも、私はこれを証明できていません。

この証明の問題点は、bとcでできる格子に1本ずつ直線を加えていく「各段階」で正三角形を最大の個数作ったとして も、それが「全体」で正三角形が作れる最大個数だということは自明ではない、という所です。
なので、もう少し説明が必要だと思います。

【おまけa問題2】

問題1が正しければ正解です。
アニメーションが分かりやすくてばっちりです(^^


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【おまけa1】

御指摘御尤も。筆力限界にて省略御免。筆力回復下記詳述。

∵ a,b,cは三角形の3辺の関係にありb≧cとします。
bとcの交点の集合をTとします。
作図の都合上aは上下方向とします。
なお、n=a+b+cです。

 正三角形が3辺で構成されるのではなく、1辺(∈a)と1点(∈T)で規定されると考えます。
条件より、1辺と1点の間に他の辺∈aは入りこめません。
また、正三角形内部および辺上に他の点∈Tも存在し得ません。
(同一点上の2点は1点とみなすので、たくさん作る場合点は全部異なると考えて良く、正3角形頂点上を特に除外していない。)

 即ち、1点∈Tにつき、aは1点の左右の2本のみが正三角形生成に有効です。
(蛇足:よって正三角形個数が2bc以下であることは確実)

 以上から、aに直交する方向に強単調増加なp個の点列t∈T を考えるとき、
aとtで作成可能な正三角形の最大数はaとtが交互に並ぶ場合であってその数は

a>pの場合 2p, a=pの場合 2a-1, a<pの場合 2a

であると言えます。

 tとして下図赤線上のc組の点列の集合を考えます。
p=b-c+1 , b-c+3 ..b+c-1 です。
これらはaに直交する方向に強単調増加という条件を満足しています。

 よって正三角形の最大数は下記式以下となります。
Xはa=b-c+2I-1が成立した数で0か1です。
具体的には2I=a-b+c+1=(n+1)-2bなので nが奇数の時1 偶数の時0です。



I=1
2*Min(a,b-c+2I-1)−X

[偶数時]

I=1〜n
2
-b での狽ヘ
(b-c+1+b-c+n-2b-1)(n
2
-b)=(n-2c)(n
2
-b)

I=n
2
-b+1〜cでの狽ヘ2a(c-n
2
+b)

X=0  

以上を合算すると

n2
2
-nc-nb+2bc+2ac-na+2ab=2(ab+bc+ca)-n2
2

[奇数時]

I=1〜n+1
2
-b での狽ヘ
(b-c+1+b-c+n+1-2b-1)(n+1
2
-b)=(s-2c)(s
2
-b)

I=n+1
2
-b+1〜cでの狽ヘ2a(c-s
2
+b)

ここでs=n+1
X=1

以上を合算すると

s2
2
-sc-sb+2bc+2ac-sa+2ab-1
=2(ab+bc+ca)+ s(s-2n)
2
-1
=2(ab+bc+ca)- n2
2
-1
2

まとめて[2(ab+bc+ca)- n2
2
] であり、
偶奇性によらず最大はa≒b≒cにおいてです。

また実際、前回解答の方法でそのようなaを作図可能です。
なお、a,b,cが三角形の3辺の関係にない場合(a≧b+c)はaが余りだすので、最大になることはありません。


◆出題者のコメント。

Y.M.Ojisan さん再び解答ありがとうございます。

【おまけa1】

今度は確実に正解です。 なるほど、横の折れ線は見えませんでした。実に納得がいきました。

一箇所だけ表現に注文を付けさせて貰いますと、

> 以上から、aに直交する方向に強単調増加なp個の点列t∈T を考えるとき

ここは、点列tの(aに直交する方向)に隣り合う2点を結ぶ線分は、直線族b又はc(の一部)に含まれていなければいけない、というようなことが一言は必要ですね。

図ではそうなっているので証明に問題はありませんが。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからのコメント。

【おまけa1 Reply】

>というようなことが一言は必要ですね。
さすが厳密ですね。ご指摘の条件が必要です。暗黙知になっていました。

自分で書いておきながらですが、次の文も必然性に関し物言いが付きそうです。

> tとして下図赤線上のc組の点列の集合を考えます。

解説:Tの点を有効に使用するにはp<aであることが望ましいのですが。
最初はどうしてもp=b+c−1≧aの点列がある場合があってその部分は捨てざるを得ない。
以後最長の点列を採用してゆくと、図のc組になるわけです。


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