『常に平方数より1少ない数列の漸化式』解答


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【解答】

a[n]はその漸化式形よりフィボナッチ数列であり、
α=127+16√63と置くとき
a[n]=Aαn+Bα-nと表され、特にnが大きなところではαのn乗にほぼ比例する。
従って問題の命題が成立するなら、nが大きなところで
mは√αのn乗にほぼ比例しなければならない。

ところで√α=8+√63であるから、mもフィボナッチ数列である可能性が高く、
その漸化式は m[n+2]=16m[n+1]-m[n] である。

m[1]=3 m[2]=45として m[n]を計算すると
3 , 45 , 717 , 11427 , 182115 , 2902413 , 46256493 , 737201475 ,…
であって、既知値と一致している。

実際、mを展開計算すると、
m[n]2-1=A'αn+B'α−n+C'と表され、未知数は3個であるが、既知項において3項以上で一致しているので 
A=A',B=B',0=C' であって、a[n]=m[n]2-1である。

即ちa[n]は平方数−1である。

【考察】

数列 m[n] : m[n+2]=B*m[n+1]-m[n]  B:2以上の整数
の一般項は m[n]=c*βn+b*β-n であらわされる。
ここで、 B=β+
β

従って、m[n]2=c22n+b2-2n+2cbである。

a[n]=c2*(β2)n+b2*(β-2)nとおけば
m[n]2=a[n]+2cb であり、a[n]は
a[n+2]=(β2+β-2)*a[n+1]-a[n]=(B2−2)*a[n+1]-a[n]
なる漸化式を満たす。

また 2cb=1であれば  a[n]=m[n]2−1である。

問題の作り方としては  m[0]=c+b と 2cb=1 より bとcを定め、
m[1]=c*β+
β
およびB=β+
β
が整数になるようなβを見つければよい。

通常 c、bは X±Y√Z
と表されるので βおよび
β
としては、同様な(x±y√Z) の形であれば成立しやすい。

この場合、Bおよびm[1]が整数であることは既にほぼ成立している。
ここで、X,x,Y,y,Zは整数で、x2−Zy2=1であり、ペルの方程式である。

ただし、Zが非平方数の場合を考える。
なお、 x=
、 m[1]=x*X+y*Y*Z である。

具体的に m[0]=3 とすると X=3、Y=1、Z=7 である。
このとき x=8、y=3、が存在し、
B=16、B2−2=254、m[1]=45 である。
(問題の場合)
また、 m[0]=2 とすると X=2、Y=1、Z=2 である。

このとき x=3、y=2、が存在し、
B=6、B2−2=34、m[1]=10 である。

つまり、 m=2,10,58,338 a=3,99, 3363,114243
a[n+2]=34*a[n+1]-a[n] である。

また x=17、y=12、も存在し、
B=34、B2−2=1154、m[1]=58 である。

つまり、 m=2,58,1970,66922 a=3,3363, 3880899,4478554083
a[n+2]=1154*a[n+1]-a[n] である。

なお、ペル方程式には 次のx=2*x2−1という系列関係がある。


◆東京都 昔とった杵柄 さんからの解答。

まず、次の漸化式で定義できる数列 bn を考えました。

b0=3
b1=3
bn = 16*bn-1 - bn-2

ここで、X2-16X+1=0 の解をα、βとおくと、

bn+1 - αbn = β(bn - αbn-1) = … = βn(b1-αb0)
bn+1 - βbn = α(bn - βbn-1) = … = αn(b1-βb0)

よって、bn の一般項は、次のようになります。

bn = αnn
α-β
* b1 - αβ(αn-1n-1)
α-β
* b0

bn = 3 * ( (1-β)αn -(1-α)βn )
α-β

次に、bn2 を、計算すると、
bn2 = 9 * ( (1-β)2 α2n -2(1-α)(1-β)(αβ)n +(1-α)2 β2n )
(α-β)2

この、α、βは、X2-16X+1 = 0 の解なので、
(1-β)2 = β2-2β+1 = 14β であり、
解と係数の関係、α+β = 16、αβ=1 などを代入すると、

bn2 = 9 * ( 14α2n-1 + 28 + 14β2n-1 )
252
bn = α2n-1 + β2n-1
2
+ 1

この、 α2n-1 + β2n-1
2
を cn と置くと、

αβ=1 より、
cn*(α22) = cn+1 + cn-1 が成立し、
cn が満たす漸化式は、次のように書けます。

c0=8
c1=8
cn+1 = 254cn - cn-1

この漸化式は、求めるa[n]の式と同じなので、
a[n] = cn = bn2 - 1 となり、
a[n]は、ある整数の2乗から、1少ない数になります。

【コメント】

綺麗な関係に、感動していたのですが、Y.M.Ojisan さん解説の、ペル方程式への関連も、驚きでした。
高校生の時、こういう数列を、さんざん解きましたが、後ろには、深い理論があるなぁ、と思いました


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