『正三角形と正方形の共通部分の面積』解答


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【答え】

48−13√3   (下記状態で約25.5)




【おまけ】

一般性を失わず、正方形の一辺bは1とする。
また、a/b=rとする。

rの値/範囲 最大面積(b 状態図

sec(15度)

以下
×√3/4:正三角形の面積

sec(15度)



(3√2−√6)
――――――


詳細は下記

θ=15度



(3√2−√6)
――――――




2√3
――――



詳細は下記


2√3
――――




1+2/√3

詳細は下記

θ=0度

1+2/√3

以上
1:正方形の面積







【証明】

 正三角形と正方形の成す角θはその対称性から、0〜15度のみ考慮すればよい。
そこで正三角形OEFの頂点Oを原点とし下図のように正方形ABCDを配置する。  

点Aの位置が辺OEより下であれば、辺OEまで上昇させることで面積を少なくとも減少させることはなく、辺OEより上として良い。
同様に辺OFよりも右として良い。

 また点Eより上の場合、点Eまで下げることで面積は増加する。
同様に点Fよりも左として良い。逆に点BはFより右、点DはEより上である。

 θを固定したときに、下図の面積が最大であるということは、
Ax、Ayが微小に変化したとき面積の変化率が0をクロスする状態であることであり、
即ちUA=QR、AP=STであることである。  





 この状態をEの座標Ex,Eyをパラメータとし、Ax,Ayについて解析的に解く。


ここで Ex2+Ey2=r2である。また、


tan(θ)=
Ey

Ex


tan(θ-π/3)=


Ey−√3・Ex
――――――
Ex+√3・Ey


tan(θ+π/3)=

Ey+√3・Ex
――――――
Ex−√3・Ey

である。

各点の座標は下記である。
x座標 y座標
A Ax Ay
B Ax+1 Ay
C Ax+1 Ay+1
D Ax Ay+1
E Ex Ey
F
P Ay/tan(θ) Ay
Q Ax+1 (Ax+1)×tan(θ)
R Ax+1 Ey+tan(θ-π/3)・(Ax+1−Ex)
S Ex+(Ay+1−Ey)/ tan(θ-π/3) Ay+1
T (Ay+1)/tan(θ+π/3) Ay+1
U Ax tan(θ+π/3)・Ax

以上の式からAP,RQ,ST,UAの各長さを求めることができる。

さらに、2線型方程式 AP=ST RQ=UA を連立させることにより、Ax , Ayをとくことができ、下記を得る。
 
{3Ex-3Ex+(√3−2)ExEy+3ExEy-2Ey}{Ex-√3・Ey}
Ax= ―――――――――――――――――――――――――――
2{Ex+Ey}{3Ex−√3・Ey}
 
{(3−6√3)Ey+3√3・Ey+(2√3−6)ExEy+9ExEy+3√3・Ex2Ey+9Ex−(3+4√3)Ex}Ey
Ay= ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
6{Ex+Ey}{Ex+√3・Ey}

以上で全ての点が定まる。


 共通部分の面積が最大になるのは儕BQ+儚CS+僖UTの面積が最小になる場合である。
これを計算すると、定数係数(√3/12)を除いて下記の綺麗な式である。

(3Ex−3Ex−2√3・Ex−√3・Ey+3Ey
F(Ex,Ey)= ―――――――――――――――――――――――
{Ex+√3・Ey}{3Ex−√3・Ey}

(4)Ex2+Ey2=r2 の条件を導入するために下記とする。
r(1−t
Ex= ―――――――
(1+t
 
2rt
Ey= ―――――――
(1+t

これをF(Ex,Ey)に代入すると下記である。
{(3r+3+2√3)t−2√3・t+3r−3−2√3}
F(t,r)= ―――――――――――――――――――――――
(3t+2√3・t−3)(t−2√3・t−1)


 この関数を先に数値的に調べておくと下図である。ただし横軸はθに変換



【問題】の場合はr=1.3333の場合であり、θ=0が一番小さいことがわかる。

一方、 r=sec(15度)=1.03258の場合はθ=15度が一番小さく、正三角形が全部正方形内部にある場合の最大の位置・大きさである。


 具体的にFの最小位置を求めるためにF(t、r)をtで微分すると、次のような因数の積である。

F'(t,r)= −4√3
× {(3r+3+2√3)t−2√3・t+3r−2√3−3}
× {(3r+2√3)t+(6√3・r+12r)t−3r+2√3}
× {t+(2√3+4)t−1}
÷ {(t+√3)(t+2−√3)(t−2−√3)(3t−√3)}

3つの2次方程式を解くことにより6つのゼロ点が得られるがこのうち0〜15度内にあるのは下表の2個である。

{1}は rに拠らない値であり、θ=15度に対応している。

したがって、真の極値は{2}の方においてである。

{2}は r=2/√3(約1.1547)の時、0である。
つまりθ=0度である。

また r=(2√3−√6)/6(約1.1154)のとき{1}の値となる。
つまりθ=15度である。 

極値を与える t
{1} √6+√2−2−√3  (約0.132)
{2} (2√3−3)r−2√{(6−3√3)r−1}
―――――――――――――――――――
√3・r+2


 以上をまとめると解答が得られる。
下図は得られた面積最大となる位置関係をアニメにしたものである。




【PS】

F(t,r)が非常に綺麗な式だったことや、微分の0点が2次式の解として得られることは驚きでした。
とういことは、幾何学的にもっと簡単な証明があるということでしょうね。


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