『シェルピンスキー、リーセル数関連』解答


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【問題1−1】

k として a-2 を用いればよい。
∵ (a-2)an+1=(a-1)(an- an-1・・・−1)=(a-1){1+ (an-1)*(a-2)
a-1
}
 と因数分解でき、いずれの因数もa≧3なので2以上である。

【問題1−2】

k として a を用いればよい。
 ∵ a*an-1=(a-1)(an+ an-1・・・+1)
 と因数分解でき、いずれの因数もa≧3なので2以上である。

【問題2−1】

k= 78557 (一例)

【問題2−2】

k=790841 (一例)
 ∵ 下表は 素数Pを法として 2の周期およびその素因数分解を求め、 素因数が2か3のみのものを求めたものである。
ただし2<p<10000の範囲。

 表1 2n mod P の値
素数P mod P
の周期
最大素因数 2の冪数 3の冪数
3 2 2 1 0
5 4 2 2 0
7 3 3 0 1
13 12 3 2 1
17 8 2 3 0
19 18 3 1 2
37 36 3 2 2
73 9 3 0 2
97 48 3 4 1
109 36 3 2 2
163 162 3 1 4
193 96 3 5 1
241 24 3 3 1
257 16 2 4 0
433 72 3 3 2
487 243 3 0 5
577 144 3 4 2
641 64 2 6 0
673 48 3 4 1
769 384 3 7 1
1153 288 3 5 2
1297 648 3 3 4
1459 486 3 1 5
2593 81 3 0 4
2917 972 3 2 5
3457 576 3 6 2
3889 648 3 3 4
4861 972 3 2 5
6337 288 3 5 2


最初の4つの素数 3,5,7,13での周期は全て12の約数である。
またこれらは互いに素であるから、mod Pでの初期値を自由に選ぶことができ(中国剰余定理)、
12の周期中 11個をいずれかのPにおいて ≡1 mod Pとできる。
下表に例を示す。3の段のみ1がない。


  表2 k*2n mod P の値
素数P 3 5 7 13
2の冪数 1 3 4 2
1 2 1 1 4
2 1 2 2 8
3 2 4 4 3
4 1 3 1 6
5 2 1 2 12
6 1 2 4 11
7 2 4 1 9
8 1 3 2 5
9 2 1 4 10
10 1 2 1 7
11 2 4 2 1
12 1 3 4 2


具体的にこの段階で k=613 mod 3*5*7*13  である。
残念ながら周期12の素数はもうないので、次に周期24ないし36に拡大してみる。

 周期が24の約数である素数として、17と241がある。(表1参照)
また、周期が36の約数である素数として小さいほうから 19,27,73がある。(表1参照)
いずれもこれらで周期全部を覆うことが可能である。
周期36の方が最大のPが小さいのでさらにこちらを考える。
結果を表3に示す。

mod 3*5*7*13 が613であるkで mod 19 では8、mod 37 では14 、mod 73 では1 であるものが
 k*2n-1に対する解の一つである。
計算すると 69971878である。
これは偶数であるのでさらに2の冪分を省くと、34985939が得られる。
一方 kとして 3*5*7*13*19*37*73-6457627を計算すれば
k*2n+1の方を満足するkであり、
同様に2の冪分を省くと、2191531が得られる。


  表3 k*2n mod P の値 完成形(3,5,7,13,19,37,73)
素数P 3 5 7 13 19 37 73
2の冪数 1 3 4 2 8 31 64
1 2 1 1 4 16 25 55
2 1 2 2 8 13 13 37
3 2 4 4 3 7 26 1
15 2 4 4 3 1 10 8
27 2 4 4 3 11 1 64
28 1 3 1 6 3 2 55
29 2 1 2 12 6 4 37
30 1 2 4 11 12 8 1
31 2 4 1 9 5 16 2
32 1 3 2 5 10 32 4
33 2 1 4 10 1 27 8
34 1 2 1 7 2 17 16
35 2 4 2 1 4 34 32
36 1 3 4 2 8 31 64


なお、前記の繰り返しを行うと 問題2−1と2−2の解であるkが交互にあらわれる周期系列が得られる。表4参照。
これより、特に最小のものを選定すると、解答の値が得られる。


表4 解の系列(の一つ)
問題2-1 2191531 7696009 19436611 34629797 13085029 10391933 78557 2191531 7696009 19436611
問題2-2 34985939 8482363 31177213 790841 17710319 28482703 29829251 34985939 8482363 31177213


【蛇足】

素数 3,5,7,13,17,241を用いて周期24の場合を考える。
この場合の最小のkを求めるには、k*2±1が n=1〜24に対して、3,5,7,13,17,241の何れかを因数にもつようなkを見つければよい。
なお、kは高々 3*5*7*13*17*241である。

プログラムを用いて探索すると、この場合

【問題2−1】 k=271129
【問題2−2】 k=509203 であってこちらは解答よりさらに小さい。

なお、先の周期36のほうの組み合わせの最小を求めると

【問題2−1】 k=78557  であって解答に同じ。
【問題2−2】 k=777149 であって解答よりは小さい。

【感想】

 今回、周期の素因数を2と3に限りました。
もっといろいろな素数&周期の組み合わせで無限に作れそうではあるのですが、意外につくれませんでした。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【問題2】 無限に素数の組み合わせの違う(周期の違う)ものが存在している。

<まえおき>

前回の解をよくよく見てみると、結局、周期解で証明可能なシェルピンスキーないしリセール数は、周期をTとすると
T-1を因数分解しときに現れる素因数から構成すればよいことがわかります。

従って、5の倍数の周期を持つものとしてT=30を考えてみると
230-1=32*7*11*31*151*331 であって、6種の素数から構成できる可能性があります。

なお、各素数を法とする2の冪の周期は順に 2,3,10,5,15,30です。
これらをどう初期値を変えてずらせてみても、周期30中27個しか、それらの素数の倍数±1にすることしかできません。
つまり周期30での証明可能な解はないといえます。

<本題>

30の2倍である T=60の場合を考えます。
260-1=32*52*7*11*13*31*41*61*151*331*1321 です。
まえおきで示したように、素数 3,7,11,31,151,331の6つで
周期30中27個をこれらの倍数±1にすることができました。
これは周期60に拡大すると6箇所足りない状態です。

一方、使われていない素数は、5,13,41,61,1321の5種あります。
従って、6箇所中5箇所は確実に塞ぐことが可能です。
実際にはまず、素数5による周期4の系列のみにより、3箇所塞ぐことが可能です。
つまり周期60のシェルピンスキーないしリセール数が存在します。

つぎに x15+1 とその因数分解 の関係を利用します。即ち下記です。

15+1=(1+x)(1−x+x2)(1−x+x2−x3+x4)(1+x−x3−x4−x5+x7+x8)
これの式は、実は xが3以上の自然数であるとき、4種の異なる素因数に分解されることを示しています。
なお、x=2のときだけ 215+1=32*11*331 であって、種類は3種です。

【証明】

互除法によります。途中は省略して結果は下表です。

A B GCD(A,B) 最終的に
1+x 1−x+x2 共通因数3の可能性 *1参照
1+x 1−x+x2−x3+x4 共通因数5の可能性 *2参照
1+x 1+x−x3−x4−x5+x7+x8 互いに素
1−x+x2 1−x+x2−x3+x4 互いに素
1−x+x2 1+x−x3−x4−x5+x7+x8 Aは5の倍数にはならないので互いに素
1−x+x2−x3+x4 1+x−x3−x4−x5+x7+x8 Aは3の倍数にはならないので互いに素

*1) #1の場合 x=2において A=B=3 であって素因数種類が4個から減少しますが、
x≧3では B>A>3 でかつGCD=3であるので3以外の素因数がかならず現れ、4種より増えることはあっても減ることはありません。

*2) #2の場合 x>5では B>A>5 でかつGCD=5であるので5以外の素因数がかならず現れ、4種より増えることはあっても減ることはありません。
x=2,3,の場合は1+xが5を因数に持ちません。
x=4では計算すると B=5*41で 5と41の2種が存在します。

最後に 260M−1 (M≧1)を考えます。
60M−1=(230M-1)*((4M15+1)です。
M>2 ですから
((4M15+1)は少なくとも4種の素数を因数にもちます。

また一般に GCD(x-1,x+1)=2ですから、
奇数である(260M-1)と((4M15+1)は共約数を持ちません。
つまり、((4M15+1)の素因数は新しい素数です。

まえに示したように、M=1のとき、シェルピンスキーないしリセール数を作ることができたのですが、6つ抜けている穴を全部塞がずに、最大4個残したとします。
すると、2倍した120の周期では8個の穴となりますが、
少なくともその内の4つは((16)15+1)の素因数の素数で塞ぐことができ、穴を4個に維持できます。
以上を繰り返してゆくと、実際には追加素数が4個より多くなる場合があり、穴を少なくとも3個に減少させられます。

次の2倍周期では穴は6個となり、その4個を塞げば、次の2倍周期で丁度穴4個になり、全部塞ぐことが可能です。

なお、証明として((4M15+1)がたまに5種以上の素因数をもつことを証明していませんが、全て4種であるとした場合でも、穴を最大3個に制限すれば、必ず収束させられ、無限に組み合わせが存在することはいえます。


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