『円周上の有理点』解答


◆三重県 いわし さんからの解答。

[補題]

格子点を頂点とする正100角形は存在しない。

[補題の証明]

格子点を頂点とする正100角形が存在したとすると、
その辺の長さは、正整数m, nを用いて √(m2+n2) と書けるので、
辺の長さが最小のものが存在する。
その一つを Γ=P0P1 ... P99 とする。

PkQk = Pk+1Pk+2 (k=0,1, ... ,99, 添え字はmod 100で考える)を満たす点 Qk
格子点であり、 Q0Q1 ... Q99 はΓより辺の長さが小さい正100角形なので矛盾。
よって補題は証明された。(終)

[系]

有理点を頂点とする正100角形は存在しない。

題意の円Cが存在したとして、C上の有理点を反時計回りにA0 , A1 , ... , A99 とする。
Cの中心Oは線分 A0A1 , A1A2 の垂直二等分線 k, m の交点であり、
k, mはx, yの有理係数一次式で表されるので、Oは有理点である。
O(0, 0)としてよい。

θk=∠AkOAk+1 (k=0,1, ... ,99) の中に異なるものがあったとする。
θp>θq とすると、∠ApOB =θq なる点BをCの劣弧 ApAp+1 上にとれば、
BはAk以外の有理点なので仮定に反する。
よってθkはすべて等しい。

すなわちAkは正100角形の頂点となるが、補題の系により矛盾。

よって、周上にちょうど100個の有理点を持つ円は存在しない。(終)


◆出題者のコメント。

いわしさん、解答ありがとうございます。
正解です。題意を満たす円は存在しません。

では、追加問題として、円周上に存在しうる有理点の個数は何通りでしょうか?
例えば円周上にちょうど10個の格子点を持つ円は存在するでしょうか。
有理点の個数がいくつなら円が存在すると言えるでしょう。

あまり多くないので、考えられるパターンを全て求めてください。


◆岩手県 utu さんからの解答。

条件を満たす円が存在するならば、円周上の有理点3つで作られる三角形の外心が円の中心。
各辺の垂直2等分線の交点が外心だから、外心の座標は有理数係数の連立一次方程式の解となり、有理点である。
したがって、平行移動して原点を中心として良い。

さて、直角三角形の3辺をなす、ピタゴラス数は無限に存在する。
(5,4,3)、(13,12,5)、(17,8,15)、・・・

すなわち、(cosθ、sinθ)が、有理点となるようなθは
0≦θ≦ π
の範囲だけでも無限にある。

原点中心の円周上に有理点(a,b)が存在するならば、上で述べたθだけ回転した点、
(acosθ−bsinθ,asinθ+bcosθ)
は、同一円周上にある有理点で、θの値に対応して無限に存在する。

したがって、ちょうど100個の有理点を持つことはない。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【解答】 存在しない

(1)中心が有理点(0x,0y)の場合

円周上の有理点の一つを(X0,Y0)とする。
このときm∈Zをパラメータとする、下記の点(X、Y)は同一円周上の点である。
即ち、有理点は無限個存在する。
よって、中心が有理点の場合周上の有理点は0個が無限個のいずれかである。

X=Ox+(X0-Ox)*a+(Y0-Oy)*b 、Y= Ox-(X0-Ox)*b+(Y0-Oy)*a
ここで a= m2-1
m2+1
,b= 2*m
m2+1
,a2+b2=1

∵(X-Ox)2+(Y-Oy)2
={(X0-Ox)2+(Y0-Oy)2} {a2+b2}
={(X0-Ox)2+(Y0-Oy)2}

(2)中心が無理点(0x,0y)の場合

円を (X-Ox)2+(Y-Oy)2=r とする。
円周上の有理点から異なる2個えらび(X1,Y1) (X2,Y2)とする。
このとき2方程式の差をとると、

X12+Y12−X22−Y22
2
=Ox*(X1−X2)+ Oy*(Y1−Y2)である。

X,Yは対称だから一般性を失わずX1−X2≠0とする。
すると両辺をX1−X2でわれば
C= Ox+ Oy*D   C,D∈有理数
である。

従って、中心が無理点であるためには、Dが0であるかどうかによらず、
少なくともOyは無理数でなければならない。

これを代入すると 円の式は 
((X- C)+ Oy*D)2+(Y-Oy)2=r である。

計算すると 
(X-C)2+Y2+2{(X-C)D-Y}*Oy+(D2+1)Oy2=(X1-C)2+Y12+2{(X1-C)D-Y1}*Oy+(D2+1)Oy2

即ち 
(X-X1)*(X+ X1+2C)+Y2-Y12+2*{(X-X1)D -(Y-Y1)}Oy=0

もし{(X-X1)D -(Y-Y1)}≠0であれば 
Oy=有理数/{(X-X1)D -(Y-Y1)}になり無理数であることに矛盾する。

よって、(X-X1)D -(Y-Y1)=0である。
これは直線であり、円とは最大2点でしか交わらない。
よって、100個にはできない。

【まとめ】

円周上の有理点の個数は0個か1個か2個か無限個に限る。

0個の例 x2+y2=3

1個の例 x2+y2x,有理点(0,0)

2個の例 x2+(y−2=4,有理点(±1,0)

無限個の例 x2+y2=1,有理点(a,b)


◆出題者のコメント。

さっそく、正解が出ました。
Y.M.Ojisanさん凄いです。

今回の問題は『幾何学の散歩道』 前原潤・ピーターフランクル著 共立出版からの問題でした。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからのコメント。

いわしさんの、「垂直二等分線」の方法と組み合わせたほうがシンプルですね。


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