『拡張ペル方程式 Part2』解答


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

問題の行列をとする。
添え字の加減演算はMODnで行うものとし、
添え字範囲を0〜n−1にずらすと、下式で表記できる。
以後も同じ表現とする。

【補題1】

行列の性質をもつ行列の集合をTで表すとき,T の任意の2要素の積はTの要素である。

なぜなら、以下であるからである。
ここでY,Zは自然数である。
記号法として、縮約を用いた。 

【補題2】

行列式の性質より、以下が成立する。

【補題3】

Tの要素に対して 下記で定義される | |はノルムの特性をもつ。

なぜなら、以下であるからである。

【問題1】

下記 Uを定義する.

|U|=1であるから

|=1 に対し |U|=1である。

Uの計算を行うと、 Q=n|

とおくことにより、下記のように計算される。

この式の行列式を計算し、行列式からQを抜き出し整理すると、以下である。

Qはn以上であり、従って、上記の右辺の行列式は1未満の正の数である。

一方、aがn乗数であると、右辺行列の各要素は整数であり,その行列式も整数である。
しかし、正の整数で1以下のものはない。
よって、aはn乗数ではない。

【問題2】

|=1であるとき、補題1および補題2により

|=1 m:任意自然数であり、
 は条件を満足する行列である。

また、|=1となるのは
各Xiおよびaが1のときのみであり,
この時||=0であるから矛盾する。

従って|>1である。

補題3により、
=| である。

>1であるから、m が異なれば

は異なる。

よって、||=1を満足するは自然数の程度で無限にある。

【P.S.】

問題1は 行列式が 各列ベクトルを1辺とする「n次元の平行四辺形」の体積であることを使えば、
列ベクトルのuに直交する成分の長さ (全部同じ長さなのでどの列でもよい)
が、単位1の格子点では 最小でも(1−1/n)0.5 であって、
(定数/Q)1/(n-1)の最大値との関係から成立しないというpart1と同じ幾何学的な方法もある。


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