『完全数』解答


◆東京都 サボテン さんからの解答。

[準備]

偶数の完全数に関しては以下の定理が知られている(オイラーの定理)

・全ての偶数の完全数はメルセンヌ素数Mを用いて M(M+1)
2
とあらわされる。
即ちpを素数,M=2p-1と置くと
完全数は2p-1(2p-1)とあらわされる。

[補題]

26≡1(mod 9)

解答

1)nが自然数の時、n≡a(mod 9)(1≦a≦9)ならば
f(・・・f(n)・・・)=aを証明する。

まずf(n)≡n(mod 9)が成り立つことに注意する。

この関係を続けて用いれば
f(・・・f(n)・・・)≡n(mod 9)・・・(1)

aを1≦a≦9とし、n≡a(mod 9)とする。

fを繰り返し作用させることにより、最終的に1〜9の数にする。

(1)よりf(・・・f(n)・・・)≡a(mod 9)

仮定から、左辺も1〜9の数なので、f(・・・f(n)・・・)=a

2)今の問題ではa=1なので、
偶数の完全数nに対しn≡1(mod 9)を示す。

素数pに対し、p≡r(mod 6)とすると、[準備]と[補題]より偶数の完全数の剰余は
2p-1(2p-1)≡2r-1(2r-1)(mod 9)となる。

rについて場合分けする。
完全数が6より大きい時、
pは奇数なので、rの候補はr=1,3,5の3通り

a)r=1
20(21-1)=1

b)r=3
22(23-1)≡1(mod 9)

c)r=5
24(25-1)≡1(mod 9)

よっていずれの場合も剰余が1となる。
よって1)の結果と合わせて示せた。

完全数についてはほとんど無知だったので、それの性質を調べることから始めました。
もっとスマートな示し方があったかもしれません。
久々に面白い問題でした。


◆山梨県 Footmark さんからの解答。

素数pで 2p−1と表せる数が素数になるとき、便宜的に【2p−1】と表すと、

● {2p-1}*【2p−1】は、偶数の完全数。
 ( ユークリッドによって証明済み )

● 偶数の完全数なら、{2p-1}*【2p−1】に限る。
 ( オイラーによって証明済み )

これらを前提とします。

求められている証明は、
〔 6以外の偶数の完全数は9で割ると1余る 〕
ことを示すのと同値です。

p=2 のとき {2p-1}*【2p−1】=6 なので、6以外ならpは3以上の素数です。

3以上の素数なら3以上の奇数なので、自然数nで p=2n+1 とすると、
{2p-1}*{2p−1}=24n+1−4n になります。

n=1,2,3,… のそれぞれに対し、
4n+1を9で割ると、余りは 5,8,2,5,8,2,5,… と 5,8,2 を繰り返し、
nを9で割ると、余りは 4,7,1,4,7,1,4,… と 4,7,1 を繰り返します。

よって、24n+1−4nを9で割ったときの余りは1(=5−4=8−7=2−1)です。

4n+1−4nは 6以外の偶数の完全数をすべて含む式なので、6以外の偶数の完全数は9で割ると1余ります。

証明は終わりです。

[PS] 1つ目の●は証明も容易です


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

(1) f(・・・f(f(f(n)))・・・)=1 は n≡1 mod 9 と等価である。
 この式は 3や9で割り切れるか判定するときの常套手段と殆ど同じです。
 特に9で割る場合は、割りれる場合に 0か9の2種が残る点を除き 全く等価です。
 従って成立しています。
 詳細証明は略します。

(2) 自身を含む約数の合計は Π{1+Pi+。。。。Piki}
 ここで n=ΠPik 、 Pi:nの素因数 です。
従って 完全数は Π{1+Pi+。。。。Piki}=2ΠPik=2n であるような数です。

この問題においてはnは偶数なので P=2 を代入してしまうと 

   (2k0+1−1)Π{1+Pi+。。。。Piki}=2k0+1ΠPiki=2n −−−−(A)

さらに変形すると

i=imax k0+1
Π{1+Pi-1+。。。。Pi-ki} =
i=1 k0+1−1

{1+Pi-1+。。。。Pi-ki} は総て1より大きい値です。−−−(B)
K0=1の場合 右辺は 4/3 です。
従って P1=3 が必要です。
そして 1+ 1/3は丁度4/3です。

一方それ以外の組合せは(B)により左辺が大きくなってしまうのでありえません。
よって K0=1の場合は n=6のみです。

一般に n=2k0(2k0+1−1)です。
ただし2k0+1−1が素数のときのみです。 −−−(C)

(C)が成立していることはそのままであり明らかです。
従って唯一であることを示します。
k0+1−1は奇数ですから (A)式より nは2k0+1−1を因数に持ちます。   
Π{1+Pi+。。。。Piki}≧1+Π{Piki} であって、
等号はimax=1 k1=1 のときのみです。
以上と (B)より (C)が成立します。

(3) (1)と(2)より 

この問題は 2k0+1−1 k0>1 が素数であるとき
 2k0(2k0+1−1)≡1 mod 9

を証明すればよいことになります。

 k0>1 のとき 2k0+1−1≧7 なので 
(2k0+1−1)は3の倍数ではありません。
 また、2=64≡1 mod 9 なので k0 は 2,3,4,5,6,7 まで 考えれば全体を考えたことになります。
 その結果 下表に示すように、k0=2,4,6 において偶数完全数となる可能性があります。
 また、そのき n mod 9 は総て1 です。
従って、(C)が証明されました。

k0 (mod 6) 2 3 4 5 6 7,1
k0 mod 9 4 8 7 5 1 2
k0+1-1 mod 9 7 6 4 0 1 3
k0+1-1mod 3 1 0 1 0 1 0
n mod 9 1 - 1 - 1 -
完全数n 28 -- 496
--
8589869056
--
--
--
-- 8128
33550336
137438691328
--
23058430081399512128
--
6

因みに k0=2 の系は 2k0+1−1=8*64m-1≡1m-1≡0 mod 7 なので 28のみである。


◆出題者のコメント。

サボテンさん、Footmarkさん、Y.M.Ojisan さん、解答ありがとうございます。
皆さん、正解です。

サボテンさん、面白い問題でしたか。それは良かったです!
解答としてはFootmarkさんの仕方がスマートな感じがします。
Y.M.Ojisanさん、オイラーの定理を、素因数分解で大小関係から導くところ(オイラーの証明の変形?)など、とても参考になりました。
僕も同じ解法で、オイラーの定理、9で割った余りを考える仕方でした。 


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