『勝率のマジック』

『勝率のマジック』解答


◆広島県 清川 育男さんからの解答。

【問題1】

Y球団の最終勝率が0.60になるのは、
(勝ち,負け,引き分け)=(3n,2n,135−5n)。
27≧n≧1。

D球団は引き分けの試合数が7試合多い。
4,3に割り振る。

X=3n−4
―――――――――――
(3n−4)+(2n−3)

X=3n−4
――――――――
5n−7

27≧n≧2 のとき

X−
―――

―――――――
5(5n−7)
>0

したがって4試合勝ち数が少なくても、最終勝率を上回る可能性がある。
5試合は不可能。

 答え 4試合。

極端な場合、2勝1敗132分けでも優勝の可能性がある。
パリーグの場合は負けない試合に徹すればよいと言うのが結論でしょうか。
勝ちにいく試合でなくて。

【問題2】

 勝ち数引き分け数最終勝率
S球団X+AYW>0
N球団XY+BZ

上記のようにする。
W=X+A
―――――――
135-Y
......1)

Z=X
――――――――
135-Y-B
......2)

したがって
 Z−W
X
――――――――
135-Y-B
X+A
――――――
135-Y

BX-135A+AY+AB
―――――――――
(135-Y-B)(135-Y)
......3)

1)より135-Yを求める。
135-Y=X+A
―――――
W
......4)

3)式の分子に4)を代入する。

 BX-135A+AY+AB
=BX+AB-A(135-Y)

=BX+AB−A(X+A)
―――――
W

(X+A)(BW-A)
―――――――
W
......5)

Z−W>0 であるためには
題意より
Y+B<135,Y<135,W>0,X+A>0であるから
BW−A>0

BW>Aでなければならない。


【コメント】

 実際に時間制限のあったために、時間稼ぎで負けのない状況に持ち込むとかという場面がありましたね。
以前、引き分け0.5勝ということもありました。
引き分けなしなら、プレーオフも多くなりそうで楽しいし、引き分けは賛成できません。


◆静岡県 ヨッシーさんからの解答。

【問題1】

Y球団の勝ち試合と負け試合を合わせて、7試合選び、引き分けにチェンジします。
このとき、出来るだけ勝ち数を多く選び、しかも7試合の勝率を0.60未満にします。
7×0.60=4.2 より、
Y球団の4勝3敗分を引き分けにチェンジしたものをD球団の成績とすれば、D球団はY球団よりも、勝ち数4少なく、勝率が0.60を上回ります。

答え 4試合

【問題2】

S球団の勝ち数、負け数を x、yとします。
このとき、N球団の勝ち数、負け数は x−a、y+a−b となります。

また、勝率wは
w=
―――――――
x+y
より、
y=(1−w)x
―――――――――
・・・(1)

S球団の勝率<N球団の勝率 より、

―――――――
x+y
x−a
―――――――
x+y−b

分母はともに正なので、
x(x+y−b)<(x−a)(x+y)

括弧を開いて整理すると
ax+ay−xb<0

(1) を代入して、x/w(>0)で割ると
aw+(1−w)a−bw<0
a−bw<0
よって a<bw

逆をたどれば、S球団の勝率<N球団の勝率 が導ける。

野球のマジックナンバーというのを、理解したのはほんの2,3年前です。
シーズンが始まる前はみんなマジック135じゃないのか? なんて考えてました。
ライバルが残り全部勝っても、追いつけない、がマジックの意味ですから、ライバルが全部勝ったら、当然自分はいくつか負けてるわけで、マジック135はあり得ないのでした。


【コメント】

マジックナンバーはマジックのようにいつの間にか消えることがあるため、その名前があるというのは本当でしょうか。
これも面白い問題になりそうですね。


◆石川県 Takashiさんからの解答。

≪1≫4勝

≪2≫N球団の有効試合数をc、勝数をdとすると、
S球団の有効試合数はc+b、勝数はd+aである。

w=d+a
―――――――
c+b

・a<bwのとき、d/c>w である事を証明する。
a<bwに、w=d+a
―――――――
c+b
を代入して変形すると、

db−ac>0・・・・・(1)

N球団の勝率からS球団の勝率wを引いた値Xは、
X =
―――
−w=db−ac
――――――――
c(c+b)

(1)より、X>0

よって、N球団の方が勝率が高い。


◆千葉県 一文字 さんからの解答。

Excelを使用すると、一目瞭然にパリーグの勝率計算の矛盾点が、検証できるような気がしたので、やってみました。
こちらの表をどうぞ。

昔、(大昔)南海が、当逆転現象で優勝したとき、当時大学生であった私は、友人と喧嘩した経験があります。
会計士を目指している友達(実は、私もだったのですが、)でさえ、この計算の矛盾を理解せず、私も説得しきれずに悔しい思いをしたことが、あるのです。

その友人曰く「そのルールで、皆が合意しているのだから、それが、正しいのだ。
1勝134分けなんて、業と極端な例を挙げて、根拠なくうだうだ言うのはお前の悪い癖だ。」などと言ったんです。
まあ、将来の会計士らしい発言といえば、発言ですが、‐‐‐‐‐、

今、つくづく思うのは、「そのときExcelが、あったらなあ〜。」ということです。
「ちょっと待ってろ。」と言って、このくらいのもの直ぐに作って見せられたのにと。
数学とExcelの共存の場というのは、案外そのあたりにもあるのかも知れないとも思っています。
もっとも、ハナから理解しようとしない人に対しては、このExcelの表を見せても駄目ですかね。


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