『オイラーの関数』

『オイラーの関数』解答


◆広島県 清川 育男さんからの解答。

○問題1

φ(9)=φ(32)=32-31=9−3=6
9と互いに素になる数は、1,2,4,5,7,8の6個。

φ(10)=φ(2×5)
     =φ(2)×φ(5)
     =(2−1)×(5−1)
     =4

10と互いに素になる数は、1,3,7,9の4個。

φ(11)=11−1=10
11と互いに素になる数は、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10の10個。

○問題2

φ(p)のとき、pの約数は、p 1個だけ。
φ(p)=p−1

φ(pm)のとき、pmの約数は、p,2p,......,pm-1p。
 pm-1個。したがって、
mと互いに素になる数の個数は、pm-pm-1

φ(pm)=pm-pm-1

○問題3 保留。

○問題4

 φ(1400)
=φ(8×175)
=φ(8)×φ(175)
=φ(23)×φ(25)×φ(7)
=φ(23)×φ(52)×φ(7)
=(23-22)×(52-51)×(7−1)
=(8−4)×(25−5)×6
=4×20×6
=480


【コメント】

 はい、見事正解です。
細かいことを言うと、問題2で、

「φ(p)のとき、pの約数は、」
「φ(pm)のとき、pmの約数は、」

という表現はおかしいですから

「φ(p)のとき、pの約数は、」を
「φ(p)のとき、p以下のpと互いに素でない数は」に、

「φ(pm)のとき、pmの約数は、」


「φ(pm)のとき、pm以下のpmと互いに素でない数は」

に直してください。

この法則を使えば、φ(1400)がかなり簡単に計算できるのが数学のすばらしいところですね。


◆愛知県の高校生 Sparking さんからの解答。

【おまけの解答】

問題はaとbが互いに素のとき
φ(b)≡1 (mod.b)…(1)を証明することである。

φ(pm)=pm× p-1
――――
p
=(p−1)pm-1
なので、

b=pmのときは問題は、

φ(b)=a(p−1)pm-1≡1 (mod.pm)…(2)

これをまず示すことにする。

m=1のとき、(2)は
p-1≡1 (mod.p)…(2)´

今、二項定理より、
p
=(a−1)p+1+p-1
Σ
k=2
pk(a−1)k
≡(a−1)p+1
(∵pkはpの倍数)
≡(a−2)p+2
…… 
≡1+(a−1)
=a(mod.p)

∴ap−a≡0(mod.p)

a(ap-1−1)≡0 (mod.p)

aにpの因数は含まれないので、

p-1−1≡0 (mod.p)

よって(2)´は示された。

つまり、m=1のとき(2)は成り立つ。

m=z@のとき(2)が成り立つとき、

(p-1)pz@-1≡1 (mod.pz@

∴適当な整数Qを用いて、

(p-1)pz@-1=Qpz@+1と書ける。

両辺をp乗して、

(a(p-1)pz@-1p=(Qpz@+1)p

(p-1)pz@-1×p
p-1
Σ
k=2
pk(Qpz@k+p(Qpz@1+1

(p-1)pz@-1+1
=pz@+1pk(Qk・p(k-1)z@-1)+Q}+1

∴a(p-1)p(z@+1)-1≡1 (mod.pz@+1
より(2)はm=z@+1でも成立。

数学的帰納法より全てのmについて、(2)がいえる。

つまり、b=pmと表せるとき、bと互いに素な整数aとすると、
φ(b)≡1 (mod.b)…(3)

αとβが互いに素であり、γをβと互いに素でかつ
0<γ≦αを満たす自然数φ(α)個の中の一つとするとき、β個の整数の集合
A{kα+γ|k=0,1,2,……,β−1}を考えるとき、要素は全てαと互いに素。

この中にβで割った剰余が等しい2つの要素があったと仮定し、
それをk1α+γ,k2α+γとすると仮定から、

k1α+γ≡k2α+γ (mod.β)
α(k1−k2)≡0  (mod.β)

αとβは互いに素よりαにβの因数は含まれないので、

k1≡k2(mod.β)

今k1,k2は相異なるβ未満0以上の整数であることからこれはあり得ない。

∴要素をβで割った剰余は全て異なる。

よって,β個の剰余の集合Bは0からβ−1までの中の相異なるβ個の整数の集合である。

今βで割った剰余がβと互いに素なら,被除数もβと互いに素であることおよび、
Bの中にβと互いに素であるものはφ(β)個あることから,Aにもφ(β)個ある。

βと互いに素であるγ1個につきaともβとも互いに素である整数はφ(β)個、
そうではないγの場合全てαと互いに素ではない。

∴αとβが互いに素のとき、
φ(αβ)=φ(β)φ(α)……(4)

どんなbでも適当な素数p1,p2,…,pnを使って、

b=p1m1・p2m2・……・pnmnと素因数分解できる。
(m1,m2,……,mn=1,2,……)

このときp1m1,p2m2,……,mnmnはそれぞれ互いに素だから、(4)より(1)は、

φ(p1m1)・φ(p2m2)・……φ(pnmn≡1 (mod.b)と書ける。……(5)

左辺をpkmkで割ったあまりを考えると、
(k=1,2,……,n)

((5)の左辺)
={aφ(pkmkφ(p1m1)・……・φ(pk-1mk-1)・φ(pk+1mk+1・……・φ(pnmn
≡{1}(省略)
=1  (mod.pkmk
∴((5)の左辺)−1≡0 (mod.pkmk
(k=1,2,……,n)……(6)

このとき
p1m1,p2m2,……,mnmnはそれぞれ互いに素だから、(6)が成り立つためには、整数Ζを使って

((5)の左辺)−1
=Ζ×(p1m1)・(p2m2)・……・(pnmn)と書けなければならない。

φ(p1m1)・φ(p2m2)・……φ(pnmn)=φ(b),
p1m1・p2m2・……pnmn=bを戻すと、

φ(b)−1=Ζ×b≡0 (mod.b)

よって(1)は成り立つ。
(証明終わり)


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