『円に関する問題3題』

『円に関する問題3題』解答


◆京都府の大学生 わかさひ君からの解答。

【問題1】
半径3cmの円の中心をO、半径1cmの円の中心をそれぞれP1,P2,…,Pnとします。
まず概算をします。
半径1の円がn個すき間なく詰められたとすると、
その中心を結んだ図形P1P2…Pnは正n角形となります。
このときその周長は、その正n角形の外接円の周長よりわずかに短く、
正n角形の周長は
2n
外接円の周長は
2π×(3+1)=8π
となるから、
n < 8π÷2 = 4π = 12.5…。
したがって、12個以下であることがわかる。

逆に、12個を、角PiOPi+1=30°となる(なおかつ円Oに外接する)ように配置する。
(円PiとPi+1が重なったとしてもかまわない)
このとき、P1OP2は二等辺三角形であるから、
P1P2の長さは 2×4sin15°である。
sin15° = -
4
より、

P1P2 = 2(- )> 2 である。

したがって、各円Piは重なることはない

したがって、12個置くことは保証された。 (答)


【問題2】
n+1本目に引く線分は、それまでに引いたn本と交点を持つように引くことが出来る。
すなわち、n+1本目に引いた線分は、n個の交点があるのだから、この線分自体は交点によってn+1個の部分に分けられる。

   n = 5
(n+1 = 6) ------+---+---+---+---+----
 のとき         ↑  ↑  ↑  ↑  ↑
              交点

したがって、このn+1個の部分線分が、それまでの領域をそれぞれ2個ずつに分ける…
つまりそれぞれ1個ずつ領域を増やす。
つまり、線分全体ではn+1個領域を増やす。
したがって、この解は
a(n+1) = a(n) + n+1
a(0) = 1
の漸化式であらわされる数列a(n)で示すことが出来る。
これは
a(n) = n(n+1)
2
+ 1 であるから、
答えは n(n+1)
2
+ 1 個。

n=6 のときは、 22個


【問題3】
(1),(2)
△XAPは2等辺三角形になるから、XP=XAである。
したがって、
OP = 一定 = OX+XP = OX+XA だから、
X の軌跡は O,Aを焦点とする楕円形になる。

(3)
L上の(Xとは異なる)点Yを置く。このとき、
OY+YA = OY+YP > OP (三角不等式) = OX + XA

となるから、
焦点O,Aをもち点Yを通る楕円は、Xを通る楕円よりも大きくなる。
よって、題意は示された。

感想:中学生には辛いですね〜


【コメント】

 確かにちょっと中学生には厳しい問題ですね。
問題1と問題2は工夫すれば中学生でも解けるのですが、特に問題3は難しい。
頭の体操にはちょうどいい問題ですね。


◆茨城県 筑波大学大学院教育研究科数学教育コース
  恩田 洋一さんからの解答。

円に関する問題の(3)楕円になるやつですが、直線Lを点Pと中心Oを通る直線にした方が簡単だと思います。
また、そのように作図すると、点Aを

1.円の内部、2.円の外側

に動かすことで、またおもしろいことが観察できます。
答えを予想してから、解答ボタンをクリックしてみてください。

 

円周上に点Aがある時は、放物線にでもなりそうですが、作図ツールではうまく表示されません。
はじめに描いた円を直線にして作図するときれいな放物線が描けます。
ちなみに、問題にあるようにCabriUで作図したところ、点Aが円の外に出てしまうと軌跡は消えてしまうようです。
以上、ちょっと補足してみました。


【コメント】

 大変面白いご意見、ありがとうございます。
かなり発展性のある問題になりますね。
別の作図ソフトだとどうなのでしょうか。
ちょっと実験してみます。


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