『ノートの分配』

『ノートの分配』解答


◆千葉県 Lily of the valleyさんからの解答。

【問題1】

えっと、一人でも多かったら、組合せがあるので、
まずは、3X+10Y=1 の整数解を求めます。
で、 X=−3,Y=1

ここで、まず生徒数が 3n のときは、大丈夫なので、3n+1 のときをかんがえます。
このとき、 3(n−3)+10=3n+1
また、 3(n−6)+20=3n+2

よって、n≧6 ならば、大丈夫。

ここで、17 は、3と10であらわせないので、

答は、17人!

【感想】

一般化も、したいけど、明日テストだぁ。
こりゃ、一般化は明後日だわ。
解かれないことを祈るのみ。( 無理かな?)


【コメント】

 みごと正解です。
しかし一般の場合は先に解かれてしまいました。
やはり、テストを捨てて、数学の部屋の問題を解くべきだった・・・とは私はとてもいえません。(^_^;


◆静岡県 ヨッシーさんからの解答。

【問題2】からいきます。

a>bとし、a×(b−1)を考えます。
a,bは互いに素なので、
a,a×2,a×3・・・a×(b−1)のb−1個の数の中に、
bの剰余 1,2,3・・・(b−1)が1つずつ含まれます。

例えば、a×n(1≦n≦b−1)をbで割った余りが1のものが、必ず1つ存在し、このときの商をmとすると、

a×(b−1)からaをn個引き、bをm個加えた
a×(b−1−n)+b×m は、a×(b−1)より1小さい数です。

同様にして、a×(b−1)よりb−1小さい数、
つまり(a−1)×(b−1)まで、1ずつ小さい数を作ることが出来ます。

以上から、(a−1)×(b−1)〜a×(b−1)のb個の連続した整数を作ることが出来ます。
あとは、これらにbを加えていけば、a×(b−1)+1以上の連続した整数も無限に作れます。

以上より、クラスの人数は
(a−1)×(b−1)−1=ab−a−b(人)

もし、ab−a−b=ma+nb となるような負でない整数m,nがあるとすれば
a(b−1−m)=(n+1)b となります。
b−1−m は bの倍数たり得ないので、aとbが互いに素であることに矛盾します。

【問題1】

a=10,b=3とすると、人数は17人


【コメント】

 みごと正解です。
【問題1】は、慶應義塾中等部の入試問題の数値を変えたものです。
具体的な数値が与えられているし、理由は問われないとはいえ、これを解ける小学生はすごいですねぇ。

ついでに言うと、この定理(問題2)はイギリスの数学者シルベスター(Sylvester)が示した、整数論ではかなり有名な定理です。


◆群馬県の中学校2年生 藤咲 洋輔 さんからの解答。

【問題1】

17人。

この人数以上の場合は、

  1. 3の倍数の場合
    3冊のセットを買えばいい。

  2. (3の倍数+1)の場合
    10冊のセットを一つ買って残りは3冊のセットを買えばいい。

  3. (3の倍数+2)の場合
    10冊のセットを二つ買って残りは3冊のセット
となる。


◆茨城県 小川 康幸 さんからの解答。

a*b−a−b人です。

【1.】

a*b−a−b+1以上の整数Kは必ず、
K=m*a+n*b(mとnは0以上の整数)と書ける。

【証明】

K,K−a,K−2*a,・・・,K−(b-1)*aのなかに、bで割り切れるものが存在しないと仮定する。

K,K−a,K−2*a,・・・,K−(b-1)*aをbで割った余りは、
1からb-1までの、b-1通りである。

よって、b個の整数のK,K−a,K−2*a,・・・,K−(b-1)*aの中に、bで割った余りが同じ2つの数が必ず存在する。

これを、K−i*a,K−j*aとする。
(ただし、iとjは0≦i<j≦(b-1)となる整数です)

よって、(K−i*a)−(K−j*a)=(j-i)*aは、bで割り切れる。

また、aとbは互いに素だから、j-iはbで割り切れることになるが,
0<j-i<bだから、これは不合理

K,K−a,K−2*a,・・・,K−(b-1)*aの中に、bで割り切れる数が、必ず存在する。
これを、K−l*aとする。
(ただし、lは0以上でb-1以下の整数)

K−l*a=h*bと書ける。(ただし、hは整数)

h*b=K−l*a≧K−(b−1)*a≧ab−a−b+1−ab+a≧1−a>−a

よって、h>−1となるから、hは0以上の整数。
よって、KはK=l*a+h*b(lとhは0以上の整数)と書ける。

証明終

【2.】

a*b−a−b=m*a+n*bと書ける、0以上の整数mとnは存在しない。

【証明】

もし存在すると仮定すると、
a*b=(m+1)*a+(n+1)*bと書ける。

この式を変形して、a*(b-m-1)=(n+1)*b

aとbは互いに素だから、n+1はbで割り切れる。
同様にして、m+1はaで割り切れる。

n+1=b*u,m+1=a*v(ただし、uとvは自然数)と書ける。

a*b=(m+1)*a+(n+1)*b=a*b*(u+v)
よって、u+v=1となる。

ところが、uとvは1以上だから、u+vは2以上になって不合理。

証明終

1.と2.より生徒の人数は、a*b−a−b人です。


◆東京都 鳳 奥人 さんからの解答。

【問題1】

3冊組がx組、10冊組がy組、生徒の数をsとすると
(当然x、y、zは整数で、x≧0、y≧0、s≧1)

s=3x+10y

これを変形して y= s−3x
10
・・・(1)

yが整数になるsとxの値の組み合わせを考えていくと、
nが0以上の整数とした場合、1つのnについて

s=3n → x=n-10k(kは0以上の任意の整数)のとき成立
s=3n+1 → x=n-3-10kのとき成立
s=3n+2 → x=n-6-10kのとき成立

そうすると、1≦s≦8(つまり0≦n≦2)のときは
s=3nのときしか成立しない。

また、9≦s≦17(つまり3≦n≦5)のときは、
s=3nまたは3n+1のときしか成立しない。
(いずれも、その他の場合はxをマイナスにしないといけなくなるので)

s≧18(つまりn≧6)のときには、すべてのsについて上の3式すべてが成立しうる。

というわけで、現在の人数は「17人」。
あと1人でもふえて18人以上になれば、ぴったりの買い方が存在します。

ちなみに、今回もExcelの助けを借り、まず「17人」という人数を先に求め、上に書いた規則性は後からExcelの表を眺めながら考えました。

【問題2】

(1)の式をこの問題にあわせて書き換えてみますと
y= s-ax
b
となります。

後は上と同じように考えてみると、1つのnについて

s=an → x=n-bk のとき成立
s=an+1 → x=n- b-1
a
-bk のとき成立
s=an+2 → x=n- 2(b-1)
a
-bk のとき成立

 :
 :

s=an+t → x=n- t(b-1)
a
-bk のとき成立
(tは整数で、0≦t≦a−1)

 :
 :

s=an+(a-1) → x=n- (a-1)(b-1)
a
-bk のとき成立

ここで、「 t(b-1)
a
」の部分がn以下だと、成立するxが存在しません。

(k=0としてもxの値がマイナスになるから)

よって、1つのnについて上の全式が成立しうるのは
n≧ (a-1)(b-1)
a
のときです。

すなわちs≧(a-1)(b-1)。

というわけで、その状態に1人及ばない現在の人数は(a-1)(b-1)-1人です。

で、「購入者があと1人ふえれば事態は解決」なのですから、先生が自分用のノートも一緒に買うことにすれば、事態は解決できると思います。


◆埼玉県の高校生 野猿 さんからの解答。

【問題1】

まず、すべての組み合わせはすべて3冊セット、一つが10冊セット、二つが10冊セット…と分類できます。
一人でも多ければ…
この表現からそれより大きい人数には必ずぴったりの組み合わせがあるという意味にとれます。

つまり、その人数から先は組み合わせが作れるか否かは「可」が連続するということになります。
ここで「可」を■,「不可」を□とすると

すべて3冊 123456… (冊)
      □□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■
一つ10冊
      □□□□□□□□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□
二つ10冊
      □□□□□□□□□□□□□□□□□□□■□□■□□■□□■□
この三つのパターンで、ある冊数からは組み合わせがすべて作れます。
(以下はいずれかと重なります)

18冊以上はすべて作れますから、もう一人多ければ18人だったのでしょう。
答えは 17人 となります。

【問題2】

a<bとします。
b冊セットの数をNとして、その条件下で作れる冊数の集合をP(N)とします。
【1】の考え方から
P(0),P(1),P(2),P(3)…と分けられ、
b冊のセットはa個以上必要ないので
(P(N)∋P(N+a)《abの分ズレただけの集合》)
P(0),P(1),P(2),P(3)…P(a−1)
のa通りの場合があります。

さて,aとbが互いに素という条件から、
P(0),P(1),P(2),P(3)…P(a−1)
これらの、aで割ったときの余りは集合内で等しく、この中の他の集合とはすべて異なります。
【「可」の間隔はaごとですからいくらaを足しても余りは変わらず、集合内で等しいのは自明です。】

【逆に、もし余りが同じなら一方の「可」が一方の「可」に全て重なりますから、それぞれの集合の最小の数 はNa(Nは自然数)の差を持つbの倍数同士ということになります。
またaはbの因数を持ちませんからNがbの全ての因数を持つはずです。
つまりはbの倍数となります。】

【すると最小の数の差はMba(Mは自然数)と変形でき、abいくつか分だけ離れた集合なのですでに除外 された中にしか存在しないことになり、矛盾します。】

以上により余りがa種類そろっているので
P(a−1)を最後とするa個は「可」が連続します。

つまり、【P(a−1)の最小はb(a−1)ですから】
b(a−1)を最後とするa個は「可」が連続します。

よって連続が始まる最初の「可」は
b(a−1)−(a−1)=(b−1)(a−1)(冊)

それより一人少ない人数なのでab−a−b (人)

これはa,bの対称式で、a>bとしてもよいことになり、一般的といえます。
よって答えは ab−a−b(人)

【感想】

【1】で描いた図のイメージだけで解いてしまいました。
うやむやに集合を使ってしまいましたが、もっとよい数列があるでしょうか。


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