『二項係数の発展問題』解答


◆東京都 かえる さんからの解答

pk≦n<pk+1となる整数をkと置く。

nをp進法で表せば、
n=[ n
pk
]pk+([n
pk-1
]-[n
pk
]p)pk-1+・・・+([ n
p
]-[n
p2
]p)p+(n-[n
p
]p)

nをp進法で表したときに各位の数字の和がb

[ n
pk
]+([n
pk-1
]-[n
pk
]p)+・・・+([ n
p
]-[n
p2
]p)+(n-[n
p
]p)=b
(1-p)([ n
pk
]+[n
pk-1
]+・・・+[n
p
])=b-n
[ n
pk
]+[n
pk-1
]+・・・+[n
p
]=n - b
p - 1

ところで、n!を素因数分解したときの素数pの指数は、
1〜nまでの数のうち、
素数pでk回割り切れる個数、(k-1)回割り切れる個数、・・・1回割り切れる個数、を足しあげればよく、
[ n
pk
]+[n
pk-1
]+・・・+[n
p
]なので、

n!を素因数分解したときの素数pの指数は
n - b
p - 1
であることが示された。

【証明了】


◆出題者のコメント

かえるさんの解答,正統的で簡潔な証明で,見事だと思います。

かくもあっさりと証明されてしまったのですが,この問題の結果が意外なもの同士(と私には思えるのですが)を結び付けていて面白いと思ったので出題した次第です。
しばらく待っても他の証明法が出てこないようなので,私のものをご紹介します:

n! に含まれる 2 の最大指数が(実際には有限項で終わりますが)
無限和
Σ
k=1
[n
2k
]

で表すことができるのは,かえるさんの証明にあるとおりです。

この和を,ガウス記号を外した和

Σ
k=1
n
2k
= n
Σ
k=1
1
2k
= n

と項ごとに比較します。

両者の差は各項の小数部分です。

いま,n を2進法で表したときの一つの数字(たとえば x)に注目すれば,それは(2進法の)小数部分を

 0.x, 0.0x, 0.00x, 0.000x, …

と動きますから,その和は

 x × 0.1111… = x

となり,全部の数字の和を取れば b に等しくなるというわけです。
ちょっとした Aha! だと思いませんか?

2 を素数 p に一般化した場合も同様にできますね。


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