『N枚のカード』解答


◆宮城県 斉藤 誠さんからの解答。

直感的に予想すると、1〜Nから何回か選んだときにその和がNを越えるかどうかを考える。
分布は1〜Nまでの一様分布である。
1回では高々Nであるので2回以上選ばなければならない。
2回とすると50%の確率で中位数より上か下が選ばれる。
中位数以下の平均はNの
中位数以上の平均はNの

合計でN。

もう一枚選らばなければなれないので3回必要。

ただし、中位数以上を2回選ぶ確率もあるので2回〜3回が答えの範囲か。

1を連続で選ぶ可能性もあるので最高N+1もあり得るが確率は低い。
そこでこれら、X回の総和がNを越える確率の平均を求める必要がありそうだ。

Nの小さい順に調査する。
N=1の場合
 常に2回・・・1回では高々1なので自明

N=2の場合
 最高3回(1を3回)なので組み合わせを考える。

   11
   12
   21
   22

「11」の組み合わせ以外はNを越えるので
  3回が一通り、2回が3通り

平均は X=(3×1+2×3)÷4(通り)=9÷4=2.25

N=3の場合  最高4回(1を4回)なのでN=2と同じく組み合わせを考える。

111 121 13112 122 13113 123 13211 2223212 2223213 2223313233313233313233
27通りのうち

 4回  通り
 3回  通り
 2回 18通り

よって

 平均 X
=(1×4+3×8+2×18)÷27
=64÷27
=約2.370

N=4の場合は
 組み合わせが多いので調査結果のみ記述すると

 5回   1通り
 4回  15通り
 3回  80通り
 2回 160通り

で全組み合わせは256通り

よって  平均 X
=(1×5+2×15+3×80+2×160)÷256
=625÷256
=約2.441

N=5、6・・・・の場合は、考えたくない。
コンピュータにお願いしたい。

ここまでを整理し、一般の場合を予想すると
N=2の時の期待値 X=
2
2
N=3の時の期待値 X= 64
27
3
3
N=4の時の期待値 X= 625
256
4
4

ここで分母、分子に規則性がありそうなので、一般には

となりそうです。

また、極限値は

となるのでないでしょうか。

「期待値」なる概念がいまいち理解不足で、極限値eを頼りにあわせ込んだきらいがありますが。
確率、統計は難しい。

今日の降水確率は50%です・・・降るのか降らないのかどっち。
「2回の予想のうち1回は当たる。」???


◆石川県 Takashiさんからの解答。

カードをx回引いたときの数字の順列の個数をG(x)、
数字の合計がn以下となる順列の個数をF(x)、
カードをx回引いたときの合計がnを超えている確率をQ(x)、
x回目に初めて合計がnを超える確率をP(x)とすると、

G(x)=nx
Q(x)=1− F(x)
G(x)

P(1)=0、
P(x)=Q(x)−Q(x-1) 【x>1】

下図の様にn個のボールの間か右端にx本の線を入れた時、各線で区切られたボールの数を各回のカードの数字に見立てると、このような線の入れ方の組み合わせの個数がF(x)と等しくなる事がわかる。

F(x)=nx

これらを計算すると、

よって、xの期待値 M(n) は、
M(n)= n+1
Σ
x=2
xP(x)

計算すると、
M(n)=(1+
n

≪図≫


     1     2   3    ・ ・ ・  x-1         x
  ○ ○┃○ ○ ○┃○ ○┃○ ○ ・ ・ ・ ○┃○ ○ ○ ○ ○┃
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 ・ ・ ・       n-2 n-1 n
<感想>

計算の部分は、やや不安があります。間違っているかも ?!


◆大阪府の高校生 Taka さんからの解答。

m≦n の時 

X1+X2+X3+・・・・X=n

を満たす、自然数の組(X1、X2、・・・X)を考える。

これは、mm-n=n-1Cn-m=n-1Cm-1・・(1)

求める確率は、
(k回以上かかる確率)−(k+1回以上かかる確率)である。

まずK回以上かかる確率は、(1)を考えて
( n-1Ck-1
n
)k-1・・(2)
そして、( n-1Ck
n
)k・・(3)
k=(2)−(3)とおく。


=Σk×Pk
=Σ[{(k-1)( n-1Ck-1
n
)k-1−k×( n-1Ck
n
)k}+(n-1Ck-1
n
)k-1]

n-1n=0を利用して
=Σ( 1
n
)k-1×n-1k-1

二項定理を逆に使い、

(1+ 1
n
)n-1
 =(1+ 1
n
)n ×(1+ 1
n
)-1
 →e (n→∞)


◆東京都 Toshi さんからの解答。

今、何枚か取り出した結果の合計値がkである場合、
次にnを超えるまでに取り出す枚数の期待値をE(k)とします。
(k=0,1,…,n)

すると、E(k)には次の関係式が成り立ちます。

E(k)=1+ 1
n
*(E(k+1)+…+E(n)) (k=0,1,…,n-1)

E(n)=1

この式の考え方は、例えばk=n-1の場合を考えると、次に2以上を引く場合は、この1枚をひいた時点でnを超える。
よって、確率(1- 1
n
)で必要枚数の期待値は1。

次に1を引く場合は、この1枚だけではまだnを超えず、あとE(n)枚が必要です。

よって、確率 1
n
で、必要枚数の期待値は(1+E(n))。

よって、E(n-1)=(1- 1
n
)*1+ 1
n
*(1+E(n))=1+ 1
n
*E(n)。

一般のkについても同様の考え方です。
(数学的には条件付期待値の概念をつかっているわけですね。
E(E(X|Y))=E(X)で、今の場合、Yを次に引くカードとしているわけです。)

上の漸化式から、
E(k)=(1+ 1
n
)*E(k+1) (k=0,1,…,n-1)

が簡単に導けますから、結局、
E(0)=(1+ 1
n
)n*E(n)=(1+ 1
n
)n

となります。

【感想】

条件付期待値の概念はわかりにくいですが、こういう問題だと感覚的に理解しやすいかもしれませんね。


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