『自然数の分割』

『自然数の分割』解答


◆広島県 清川 育男さんからの解答。

大きな数だと面倒なのでm=21のときを例に説明します。

  1. 21÷2=10.5。 21を11と10に分割する。

  2. 11÷2=5.5。 11を5と6に分割する。
    10÷2=5。 10を5と5に分割する。

  3. 5÷2=2.5。 5を2と3に分割する。
    6÷2=3。 6を3と3に分割する。

  4. 2,3はこれ以上分割しない。
 21
=((2+3)+(3+3))+((2+3)+(2+3))
=2+2+2+3+3+3+3+3

 2×2×2×3×3×3×3×3
=8×243
=1944

 m=21のとき上記のように分割すると積の最大は1944となります。


【コメント】

 この分割方法はいろいろ楽しませていただきました。
もう少し、検討(場合分け)の余地があるようです。
例えばこの例では、37=2187の方が大きいです。

また得られた結果について、できれば最大であるという証明もしてみてください。 


◆広島県 清川 育男さんからの解答。

 間違っていました。
分割しても積の大きさがそれ自身より大きくならない数は1、2、3、4。
5以上の数は2つの数に分割してその積の方が大きくすることが出来る。


1)M=2m    M<m×m
2)M=2m+1  M<m×(m+1)
1)、2)からMを次々に分割して1)、2)より大きくすることが出来る。

イ)1を使うのは積を大きく出来ないので不適。
ロ)4を使うのはそれ自身のときはいいがそれ以外では不適。

 例えば 6=2+4 2×4=8。
6=3+3 3×3=9。 8<9。

したがって、Mを次々に分割してその要素になる数は2か3となる。
ここでMは2と3の組み合わせで必ず表わせる。

次に2と3をどのように組み合わせるが問題になる。
3を出来るだけ多く使った方がその積は大きくできる。

例えば

 15=2+2+2+3+3+3。
 2×2×2×3×3×3=216。

 15=3+3+3+3+3。
 3×3×3×3×3=243。

    216<243。

このことは、例えば

 6=3+3。   3×3=9。
 6=2+2+2。 2×2×2=8。 8<9。

◆方法

 M÷3 商をSとする。

  1. 割り切れるとき  2が0個、3がS個。
     3S

  2. 余り1のとき   2が2個、3が(S−1)個。
     22×3S-1

  3. 余り2のとき   2が1個、3がS個。
     2×3S
以上です。


【コメント】

 今度は明解そのもので、私は正解だと思うのですが、水の流れさんどうでしょう。
ただし、上の関係はM≧4の場合に限られますね。


◆出題者の岐阜県 水の流れ さんの解答。

問題

「自然数Mをn個の自然数
1,a2,a3,・・・,anに分けて、
それらの積 a123・・・an が最大となるような分け方を考えよ」

考え方:
具体的にM=1から10までぐらい分割方法を考えて、まずは調べてみます。
自然数Mの分割した自然数の数列を
1≦a2≦a3≦・・・≦an
としても一般性を失わない。
(和の順序を問わない)

分割方
法の数
積が最大
となるn
数列 { a1,a2,・・・}
{ 1 } 注:特別扱い
{ 2 }
{ 3 }
1 、 2 {4} 、 {2 ,2}
{2,3}
11 {3,3}
15 2 、3 {3,4}、{2,2,3}
22 {2,3,3}
30 { 3,3,3}
10 42 3 、 4 {3,3,4}、{2,2,3,3}
11 { 2,3,3、3}
12 { 3,3,3,3}

<研究材料>
自然数Mの分割方法の数とその分割個数nは研究に値します。
以上から、次のことが予想されます。

  1. Mを3で割った剰余系で分類される。

  2. 2≦ai≦ 4
    注:M=1のときは特別扱いとする。

  3. 2個の2(2×2=4)と1個の4は同じ積となる。
    M=4,7,10、・・・・

  4. たかだか2個の aiが2(または1個のai が4)で、他は全て3ばかり
<証明>(2)

積 a123・・・an が最大となるように、
nおよび a1、a2・・・、an を決めたとき、
(@)a1=1と仮定する。
このとき、数列 a2+1,a3 ,a4,・・・,an

{a2+1}+a3 +a4+・・・+an
=a1+a2+a3 +a4+・・・+an
=M

をみたし、

2+1>a12=1・a2= a2

{a2+1}・a3・…・an
>a1・a2・a3・…・an

よって、a123・・・an の最大性に矛盾する。

以上より、
2≦ a1≦a2≦a3≦・・・≦an

(A)5≦ an と仮定する。

このとき、数列
1,a2,a3,・・・,an-1,an−2,2は

1+a2+a3+・・・+an-1+{an−2}+2
= a1+a2+a3+・・・+an-1+an
=M

をみたし、

 {an−2}・2
=2an −4
=an +{ an−4}
>an1・a2・a3・……・an-1・{an−2}・2
>a123・・・an

よって、a123・・・an の最大性に矛盾する。

したがって、a1≦a2≦a3≦・・・≦an≦ 4

<証明>(3) 自明

<証明>(4)

1=a2=a3=2 と仮定すると、
このとき、数列 3,3,a4,a5,・・・,an

3+3+a4+a5+・・・+an
=2+2+2+a4+a5+・・・+an
=M

をみたし、3×3>2×2×2=a123 より

3・3・a4・a5・……・an
>a123・・・an

これも、a123・・・an の最大性に矛盾する。
よって、2はたかだか2個、4は2と2に相当するので、ほかに2がないときに限り、たかだか1個である。

以上より、(2)、(3)、(4)はMの値にかかわらず成立します。
したがって、a1,a2,a3,・・・,an を次のように決定できます。

(ア) Mを3で割った余りが0のとき、
n=M/3で、
1=a2=a3=・・・=an=3

(イ) Mを3で割った余りが1のとき、
n=(M+2)/3で、
1=a2=2、a3=・・・=an=3

または、
n=(M−1)/3で、
1=a2=・・・=a(n−1)=3,an=4

(ウ) Mを3で割った余りが2のとき、
n=(M+1)/3で、
1=2,a2=a3=・・・=an=3


<研究結果>

以上のように、結果は“ほとんどのaiが3”ということになりました。
3という値に意味があるのではないかと思い、
1,a2,a3,・・・,an を有理数まで拡大します。

nを固定して、(相加平均)≧(相乗平均)を利用すると、

{a1+a2+a3+・・・+an}/n
≧ {a123・・・an}の正のn乗根

よって、

123・・・an
≦[{a1+a2+a3+・・・+an}/n]n
={M/n}n

ここで、
1=a2=2、a3=・・・=an=M/n のとき、等号が成立
次に、{M/n}n=f(n) とおいて、f(n)の定義域を正の実数の範囲まで拡大します。

f(x)= {M/x}x と直して、対数を取って、

Y=logf(x)=x(logM−logx)

微分して、
Y’={logf(x)}’
  = logM−logx−1
  = log(M/xe)

さらに、f(x)と Y=logf(x)の増減は一致するので、下の増減表を得る。

  M/e  
{logf(x)}’  
logf(x)   極大
f(x)   極大

よって、x= M/eのとき、f(x)は最大値をとる。

このとき、M/x=e 、
そして、この実数xは、もともと自然数nだったから、

M/x≒M/n=ai (i=1,2,3,・・・,n)

超越数e=2,71828・・・ に最も近い整数が3ということです。


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