◆静岡県 ヨッシーさんからの解答。
【問題1】
まず、ad=bcを証明しておきます。
<予備証明>
点Cを通り、ABに平行な直線と、ADの延長線との交点をEとします。
∠BAD=∠CED(錯角)
および、条件(∠BAD=∠CAD)より、∠CAD=∠CEDとなり、
CA=CE=bであることがわかります。
△ABDと△ECDは相似ですから、辺を比較して、a:c=b:dより
ad=bc・・・・・(1)が導けます。
<予備証明終>
さて、本題に入ります。
a=bの時は、∠ADB=90度となり三平方の定理より
AD2=ab−cd=a2−c2
は明らかですから、a≠bの時について考えます。
<証明>
∠BAD=∠CAD=θと置きます。
△ABD、△ACDにおける余弦定理より
cosθ= | a2+AD2−c2 2・a・AD |
cosθ= | b2+AD2−d2 2・b・AD |
右辺を等号で結んで
a2+AD2−c2 2・a・AD |
= | b2+AD2−d2 2・b・AD |
整理して、
b(a2+AD2−c2)=a(b2+AD2−d2)
b・a2+b・AD2−b・c2=a・b2+a・AD2−a・d2
a・AD2−b・AD2=b・a2−a・b2−b・c2+a・d2
(1)を用いると、b・c2=acd、a・d2=bcd ですから、
(a−b)AD2=(a−b)ab−(a−b)cd
a≠bより、両辺a−bで割って、
AD2=ab−cdとなります。
【問題2】
直線AB上にAD=bとなるような点Dを、点Aをはさんで点Bの反対側に取ります。
△ACEと△ADEは合同ですから、DE=CE=fとなります。
△EBDの∠Eの2等分線がEAになっていますから、【問題1】の結果より直ちに
AE2=ef−abが導けます。
余弦定理はちょっと力技かも。
【コメント】
実は<予備証明>は、中学校2年生の教科書に載っている問題なのですが、中学生はほとんど気づきません。
この結果は、中学校の数学ではかなり便利だと思います。
◆出題者の岐阜県 水の流れ さんの解答。
「角の2等分線の長さ」の幾何による証明
問題1<内角の場合>
左の図のように△ABCの外接円を考え、ADの延長との交点をEとする。
∠BAE=∠CAD ,∠BEA=∠DCAより、2角が等しいので、
∴ △BAE∽ △CAD
したがって、対応する辺の比が等しいことより、AB:AD=AE:AC
∴ AD× AE=AB×AC=ab ・・・・・・ (1)
一方、方べきの定理より,
AD× DE=BD×CD=cd ・・・・・・ (2)
(1) − (2) より、
AD(AE−DE)=ab−cd
∴ AD2= ab−cd
問題2<外角の場合>
左の図のように△ABCの外接円を考え、ADの延長との交点をEとする。
AEは∠Aの外角の2等分線より、∠EAB=∠CAD
また、四角形EACBは内接する四角形だから、∠BEA=∠DCA
したがって、2角が等しいので、
∴ △AEB∽ △ACD
対応する辺の比が等しいことより、AB:AE=AD:AC
∴ AE× AD=AB×AC=ab ・・・・・・ (1)
一方、方べきの定理より,
DA× DE=DB×DC=ef ・・・・・・ (2)
(2)− (1) より、
AD(DE−AE)=ef−ab
∴ AD2= ef−ab
<証明終わり>
コメント:
証明には「幾何の利用」と 「余弦定理の利用」と「Stewartの定理の利用」を知っています。
他の証明方法があれば教えてください。
◆東京都 諸星こける さんからの解答。
【問題1】
AB上にBから見てAと反対の側に、Bからの長さがcとなる点Eを取り、AC上にCから見てAの側に、Cからの長さがdとなる点Fを取る。
このようにしてできた△BEDおよび△CFDは二等辺三角形である。
このとき
2∠CFD
=π−∠FCD
=π−∠ACB
=∠CAB+∠ABC
=2∠CAD+2∠BED
従って
∠BED=∠CFD−∠CAD
となるがこれは∠ADFに等しい
以上より△AED∽△ADF
(∠DAE=∠FAD,∠AED=∠ADFの2角が等しいため)
が言える。
従ってa+c:AD=AD:b-d
AD2=ab+cb-ad-cd
ここで角の2等分線の性質よりad=bcなので
この等式はab-cdに等しい■
【問題2】
AB上にAから見てBと反対の側に、Aからの長さがbとなる点C’を取ると、
EAはBEC’の2等分線である。
また△AEC≡△AEC’よりEC’=f
あとは問題1の結果より直ちにAE2=ef-abが従う■
問題1の証明はいろいろあるでしょうが、私の考えた中で一番シンプルといえそうなのはこれでした。
それにしても綺麗な性質ですね。
◆東京都の中学校3年生 もやし さんからのコメント。
2006年2月10日の開成高校の入試問題で角の二等分線の長さを文字で表せ、という問題が出ました。
(受けた本人が言うんだから、本当です。)
そうです。これとほぼ同じです。
そっかぁ…水の流れさんのようにやればよかったのか…
だからあんな簡単な相似の証明があったのか…