『Multinomial Sums』解答


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【問題2】

【問題2.1】

(1+p)m (1+ 1
)nを考えると 、b(m、n;1,1)は
(1+p)m (1+ 1
)nの定数項である。
一方、 (1+p)m (1+ 1
)n=p-n(1+p)m+nであるから
その定数項はm+nnである。

よって、b(m、n;1,1)=m+nn

【問題2.2】

 b(n+1、n;2,1)
=Σn+1K2×nK
=Σn+1K2×(n+1KnK-1)
=Σn+1K3−Σn+1n+1-K2×nn-K+1
=Σn+1K3−Σn+1J2×nJ  here J=n-K-1

=a3(n+1) −b(n+1、n;2,1)
よって、b(n+1、n;2,1)= a3(n+1)
2

a3(n+1)の漸化式は知られており同形である。下記参照。

http://mathworld.wolfram.com/BinomialSums.html

Franel (1894, 1895) was the first to obtain recurrences for a3(n) (Riordan 1948, p. 193)

(n+1)2a3(n+1)-(7n2+7n+2)a3(n)-8n2a3(n-1)=0

【問題2.3】

問題1と同じ方法で漸化式を求める。

2nK×nK2
2n(2n-1)n2
(2n−K)K3
2n-2K-1×n-1K-12
1-ν
4(1−a)a3
2n-2J×n-1J2

ここで
a=
2n
,ν=
2n
,J=K−1
また
BE(n、p;1,2) =Σap2nK×nK2
とおくとき  

b(2n、n;1,2)=B(n、0;1,2)  であって、
a’= J
2N-2
とすると a=(1−2ν)a’+ν

Σ2nK×nK2(1−a)a3+Y
=BE(n、3+Y;1,2)−BE(n、4+Y;1,2)
1-ν
4
Σ ((1−2ν)a’+ν)Y2n-2J×n-1J2
1-ν
4
Y
Σ
I=0
YCIνY-I(1-2ν)I *BE(n-1、I;1,2 )}

同様に

2nK×nK2
2n(2n-1)n2
(2n−K)(2n−K−1)(n−K)2
2n-2K×n−1K2
1-ν
(1−2a)2(1−a)(1−ν−a)
2n-2×n-12

Σ2nK×nK2(1-2a)2(1-a)(1-ν-a)aY
=(1-ν)BE(n、Y;1,2)+(-6+5ν)BE(n、1+Y;1,2)+(13-8ν)BE(n、2+Y;1,2)+(-12+4ν)BE(n、3+Y;1,2)+4BE(n、4+Y;1,2)
=(1-ν)(1-2ν)Y{BE(n-1、Y;1,2)}
さらに n+1≠K のとき

2nK×nK2
2n(2n-1)n2(n−K+1)2
(K−1)33
2n-2K-2×n-1K-22
(1-ν)(1/2−a+ν)2
4((a−ν)33)
2n-2K-2×n-1K-22

H=K−2、a’’= Hνとすると a=(1−2ν)a’’+2ν

Σn+1K2×nK(a−ν)33+Z
=BE(n、6+Z;1,2)−3νBE(n、5+Z;1,2)+3ν2BE(n、4+Z;1,2)−ν3BE(n、3+Z;1,2)
1-ν
4
Σ ( 1
2
−a+ν)22n-2×{n-1−δ(1/2-a-ν)}2
1-ν
4
Z+2
Σ
I=0
{ ZCI ( 1
2
+ν) 2(2ν)Z-I(1-2ν)I*BE(n-1、I;1,2 )-Z+1CI(2ν+1)(2ν)Z+1-I(1-2ν)I*BE(n-1、I;1,2 ) +Z+2CI(2ν)Z+2-I(1-2ν)I *BE(n-1、I;1,2 )}

Y、Zにおいて未知数はmax(5+Y、Z+7)個、
一方条件式は2*(1+Y)+(1+Z)個である。
Y=2、Z=0において丁度の条件になる。
漸化式の次元は7−4=3である。

正確には下記Qの||≠0が必要である。

結局 
(n)={BE(n,0;1,2)BE(n,1;1,2)BE(n,2;1,2)BE(n,3;1,2)...BE(n,6;1,2)}T
XB(n-1)= 1-ν
4
{BE(n-1,0;1,2),(1-2ν)BE(n-1,1;1,2),(1-2ν)2BE(n-1,2;1,2)}T
とおくとき、

*(n)=*XB(n−1)より
(n)=-1*XB(n−1)

ここで

|はの左上4半分がほとんど0なので、のこった1を右上4半分で消して行くとQの黄色枠部分の合計が緑枠に加算される。
その値は(a−ν)3にa=1を代入した値であるから(1−ν)3である。

よって||=-(1−ν)6であり、
ν=1のとき0であるが、n= 1
2
なので問題ない。

以上を計算すると 漸化式は
b_2_3(n)=A(1/2n)*b_2_3(n-1)
b_2_3(0)=(1,0,0)Tである。
ここで ν=
2n
b_2_3(n) = { b(2n,n;1,2), BE(n-1,1;1,2),BE(n-1,2;1,2)}T
 は下記行列である。

下記漸化式で計算し、直接計算値と一致することを確認しているが、詳細数値は省略する。

求められた数値列=1,3,23,210....

【問題2.4】

問題2.3と手法は同じである。

生成式は 同様の下記3式によった。
(1)  (1-ν)2
4((1−a)2)
(2)  (1-ν)2
4((1−2a)2(1−a)2(1−ν−a)2)
(3)  (1-ν)2(1/2−a+ν)2
4((a−ν))
aの最大次数をDとするとき、未知項はD+1個
一方(1)(2)から条件が (D−5)*2個、(3)からは(D−7)個出る。
(但し(1)(2)はD≧10以上では1独立でなくなり1個しか増えない。) 

幸い、D=9において 未知項10個 条件式10でつりあう。
また漸化に必用な項数は 9(=D)−6(=(1)の最大次数)+1=4項である。
しかし、計算すると4番目の項の係数は0であったので 漸化式の項数は3である。

および右辺は下記である。

|はの左上4半分がほとんど0なので、のこった1を右上4半分で消して行くとQの黄色枠部分の合計等が緑枠に加算される。
計算すると、

|=(1−ν)16であり、
ν=1のとき0であるが、N= 1
2
なので0にはならない。

以上を計算すると 漸化式は
b_2_4(n)=A(1/2n)*b_2_4(n-1)
b_2_4(0)=(1,0,0)Tである。
ここで ν=
2n
b_2_4(n) = { b(2n,n;2,2), BE(n-1,1;2,2),BE(n-1,2;2,2)}T
は下記行列である。

下記漸化式で計算し、直接計算値と一致することを確認しているが、詳細数値は省略する。

求めるられた数値列=1,5,101,2750....

【おまけ2】

r≧sとする。
a= K
n
,ν=1
n
を定義する。

 生成式として下記2種を用いる。
全部で未知数は r+2s+1である。

(1) (1-a)s aZ、Z=0〜r+s-1

(2) ar+s aY、Y=0〜s

左辺のQは次のようになる

(1) Qij=Cj-i(−1)j-i
   i=0〜r+s-1,j=0〜r+2s

(2) Qij=δ(i-j)、i=r+s〜r+2s,j=0〜r+2s

即ち既に上三角行列で |Q|=1である。

b(m,n;r,s)を拡張したベクトル
BF(m,n,;Y;r,s)=ΣaYmCKrnCKs、Y=0〜r+2s

を用いて右辺は r+2s+1×r+sの行列で

(1) Rij=(1-ν)j BF(m,n-1,;j;r,s)、
   i=0〜r+s-1,j=0〜r+s-1

(2) Rij=i-r-sCjνi-r-s-j (1-ν)j BF(m-1,n-1,;j;r,s) 、
   i=r+s〜r+2s,j=0〜r+s- 1

よって漸化式は 
BF(m,n,;*;r,s)=Q-1R( BF (m,n-1;*;r,s)
または BF (m-1,n-1;*;r,s))

であり、いずれ 
BF(m,0;j>0;r,s)=0,BF(m,0;0;r,s)=1 か
BF(0,n;j>0;r,s)=0,BF(0,n;0;r,s)=1に到着する。

なお、mとn-1の漸化式 だけで漸化するとm、nの広い範囲を計算する必要がありますが、
m-1とn も使うと、斜め2列の計算で漸化させることができます。

【感想】

なんとか残ったおまけ1にも解答したい。


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