◆埼玉県 \aleph_0 さんからの解答。
簡単のため、正四面体の頂点を
A1 (1, 1, 1)
A2 (−1, 1, −1)
A3 (−1, −1, 1)
A4 (1, −1, −1)
とし
(このとき正四面体の一辺の長さはa=2であることに注意)、
点(ミサイル)Pjが時間0に点Ajを出発し、
常にPj+1の方向に向かって動くとする。
今、動点Pjの時間tにおける位置ベクトルをそれぞれ
rj(t)=(xj(t), yj(t), zj(t)) (j=1,2,3,4)
とおくと、仮定より、各Pjの速さを適当に調節すれば、次が成立する。
rj'(t)=rj+1(t)−rj(t) (j=1,2,3,4)
成分を考えれば、
fj(t)=xj(t), yj(t),
zj(t)に対してそれぞれ次が成立する。
(1.1) fj'(t)=fj+1(t)−fj(t) (j=1,2,3,4)
このとき、(1.1)を満たすC上線形独立な関数fj(t)
(j=1,2,3,4)に対して、
Vを<fj(t)>j=1,2,3,4を基底とするC上の線形空間とすると、
V上の写像D:f|→f'はVの線形変換であり、Dのこの基底に関する表現行列は
A=
[ | −1 | 0 | 0 | 1 | ] |
[ | 1 | −1 | 0 | 0 | ] |
[ | 0 | 1 | −1 | 0 | ] |
[ | 0 | 0 | 1 | −1 | ] |
このとき、Aの特性多項式は
Φ(X)=det(XE−A)=(X+1)4−1であるから、
Aの固有値は0,−2, −1±i.
よって、<1, e−2t, e(−1+i)t, e(−1−i)t>はVの基底であるから、
任意のf(t)∈VはこれらのC上の線形結合で表わされる。
特に、(1.1)を満たす任意の関数fj(t) (j=1,2,3,4)に対して、
ある定数Cj∈C
(j=1,2,3,4)が存在して
f1(t)=C1+C2e−2t+C3e(−1+i)t+C4e(−1−i)t,
f2(t)=C1−C2e−2t+iC3e(−1+i)t−iC4e(−1−i)t,
f3(t)=C1+C2e−2t−C3e(−1+i)t−C4e(−1−i)t,
f4(t)=C1−C2e−2t−iC3e(−1+i)t+iC4e(−1−i)t.
ここでfj(t)=xj(t)のとき、
初期条件x1(0)=x4(0)=1,
x2(0)=x3(0)=−1より、
C1=C2=0,
C3=(1+i)/2, C4=(1−i)/2となるから、
x1(t)=e−t(cos t−sin t),
x2(t)=−e−t(cos t+sin t),
x3(t)=−e−t(cos t−sin t),
x4(t)=e−t(cos t+sin t).
同様にfj(t)=yj(t)のとき、
初期条件y1(0)=y2(0)=1,
y3(0)=y4(0)=−1より、
C1=C2=0,
C3=(1−i)/2, C4=(1+i)/2となるから、
y1(t)=e−t(cos t+sin t),
y2(t)=e−t(cos t−sin t),
y3(t)=−e−t(cos t+sin t),
y4(t)=−e−t(cos t−sin t).
最後にfj(t)=zj(t)のとき、
初期条件z1(0)=z3(0)=1,
z2(0)=z4(0)=−1より、
C1=C3=C4=0,
C2=1となるから、
z1(t)=e−2t,
z2(t)=−e−2t,
z3(t)=e−2t,
z4(t)=−e−2t.
以上より、特にlimt→∞ rj(t)=0 (j=1,2,3,4)となるから、(当然のことながら)すべての動点は正四面体の重心に収束する。一方、
x1'(t)=x2(t)−x1(t)=−2e−tcos
t,
y1'(t)=y2(t)−y1(t)=−2e−tsin
t,
z1'(t)=z2(t)−z1(t)=−2e−2t,
であるから、
|r1'(t)|2
=x1'(t)2+y1'(t)2+z1'(t)2
=4e−2t(1+e−2t)より、
|r1'(t)|=2e−t√(1+e−2t).
よって、動点P1が旅行する距離は次のように与えられる。
L= |
∞ ∫ 0 | |r1'(t)|dt |
=2 |
∞ ∫ 0 | e−t√(1+e−2t)dt. |
ここでu=e−tとおけば、
du=−e−tdt=−udtよりdt=−du/uであり、
積分範囲は1≧u≧0となるから、
L=2 |
1 ∫ 0 | u√(1+u2)*(−du/u) |
=2 |
1 ∫ 0 | √(1+u2)du. |
さらにv=u+√(1+u2)とおけば、
u=(v−1/v)/2, √(1+u2)=v−u=(v+1/v)/2,
du=(1+1/v2)dv/2であり、
積分範囲は1≦v≦1+となるから、
L=2∫11+√2 (v+1/v)/2*(1+1/v2)dv/2
=(1/2)∫11+√2
(v+2/v+1/v3)dv
=+log(1+).
したがって、正四面体の一辺の長さに対する比は次のように与えられる。
L/a=[1+log(1+)/]/2.
◆出題者の @JJJJJJ さんからのコメント。
私は、『n基のミサイル』 神奈川県 今村 義彦 さんからの解答 の方法で解いてみました。
ミサイルの速度が一定で飛行距離が有限ならば、衝突するまでに有する時間(Lの積分範囲)は有限になると思います。
2回しか検算していないので確信は持てませんが、たぶん(^^;
\aleph_0 さん解答有難うございました。
◆大阪府の高校生 CHECK さんからの解答。
最初の4点をA(0),B(0),C(0),D(0)とし,その重心をGとする。
また、各ミサイルが微少距離Δxだけ進んだとし,そのときの4つのミサイルの位置を
A(1),B(1),C(1),D(1)とする。
このとき,対等性により
A(1)B(1)C(1)D(1)も正四面体となる。
また,4つのミサイルのつりあいの位置はGである
(隣のミサイルに引きつけられる力がF(N)であると考えると,4つのミサイルの各Fのベクトル和は0ベクトル)。
ここで,微少距離Δx進んだとき,ミサイルは
最初の四面体A(0)B(0)C(0)D(0)の各辺上にあるとみなせる。
三角形A(1)B(0)B(1)において
∠A(1)B(0)B(1)=60°,
A(1)B(0)=600−Δx,
B(0)B(1)=Δxとなるので,余弦定理より
A(1)B(1)2=3(Δx)2−1800Δx+360000∴A(0)B(0)>A(1)B(1)となり,相似関係より
以後,帰納的に
四面体A(n+1)B(n+1)C(n+1)D(n+1)は
四面体A(n)B(n)C(n)D(n)の内部にある。
このとき重心はいかなるnに対しても常にGであり,かつ四面体はnの値が小さくなるほど点Gに縮小していく。
以上より4基のミサイルは正四面体ABCDの重心で命中する。
次に経路の距離を求めたいが,解答用紙の特性上うまく書けないので方針だけ。
三角形GA(n)A(n+1)において,∠Gの大きさをΔθとし,
A(n)A(n+1)の長さをΔθで表して積分
(極座標積分の立体版みたいな・・・?)。
◆埼玉県 \aleph_0 さんからのコメント。
出題者の方がご指摘の方法についてですが、平面上の多角形で、そのすべての頂点と重心の間の距離が一定で、両隣の頂点の間の距離も一定であるものは正多角形に限りますが、 空間内の多面体で、そのすべての頂点と重心の間の距離が一定で、「両隣の」頂点の間の距離も一定であるものは正多面体とは限りません。
(そもそも一つの頂点は一般に二つより多くの隣接する頂点を持ちます。)
よって、四つの動点(ミサイル)は必ずしも正四面体の頂点にはなりません。
(実際、本問では動点が正四面体を成すのは時間0に限ります。)
したがって、たとえ動点の速度の大きさ(速さ)が一定でも、その中心方向の成分は一定でないので、平面の場合の「簡便」法を直接一般の空間の場合に適用することはできません。
なお、私の方法では、簡単のため各動点の速さが「次の」動点との間の距離に比例するように速度(見方を変えれば時間)を設定しましたが、 各動点の速さを調節して(時間を変換して)、
例えばt=tan t~とすれば、この時間t~の定義域は
有限区間[0, π/2]となります。
さらに、具体的な変換式は面倒ですが、適当に時間を変換すれば、もちろん速さが一定になるようにすることもできます。
◆出題者の @JJJJJJ さんからのコメント。
\aleph_0 さんの指摘の通りですね。
私は正四面体の形を保ったまま縮小していくと考えて、
L=550km、になると計算したのですが、基本的な前提条件が間違っていました。