『n基のミサイル』解答


◆神奈川県 今村 義彦 さんからの解答。

問1「三角形」で、ミサイルの飛ぶ距離Lはいくらか?

頂点A、B、Cからそれぞれミサイルが等速度V(0)で飛ぶので、任意の時刻で頂点A、B、Cがなす三角形は正三角形である。
したがって、最終的にこれらの3つのミサイルが命中する場所は、三角形の中心点である。
(ほぼ自明。)

三角形の中心からA、B、Cそれぞれの点を見た場合、ミサイルの進行方向は任意の時刻で中心に無かって常に(π/6)ずつずれている。
なぜならば、三角形の頂点の内角は、
π - 2π÷3=π
――
3
であるから、
これを2でわり、π
――
6

次に、ミサイルが進む中心方向の速度成分は、
v(0) * cos(π
――
6
).... (1)
となり、時刻tに依らない。

次に、初期条件から、中心から頂点A、B、Cまでの距離R(0)は、
三角形の1辺をD(0)と仮定して、
R(0) =D(0)
―――
.... (2)
である。

式(1)と(2)から、ミサイルが命中する時間Tは、
T =R(0)
―――
V(0)
 =D(0)
―――
÷V(0)cos(π
――
6
)

ところで、ミサイルは等速度V(0)で飛んでいるので、時間Tで積分して(線積分しても同じ)、命中するまでに飛ぶ距離Lは、 L =V(0) * T
 =D(0)
―――
÷cos(π
――
6
)

 =2D(0)
―――
3

ここで、D(0)=600Kmであるから、

L = 400Kmとなる。

答え:400Km

問2「六角形」で、ミサイルの飛ぶ距離Lはいくらか?

頂点A、B、C、D、E、Fからそれぞれミサイルが等速度V(0)で飛ぶので、任意の時刻で頂点A、B、C、D、E、Fがなす六角形は正六角形である。
したがって、最終的にこれらの6つのミサイルが命中する場所は、六角形の中心点である。
(ほぼ自明。)

六角形の中心からA、B、C、D、E、Fそれぞれの点を見た場合、ミサイルの進行方向は任意の時刻で中心に無かって常に(π/3)ずつずれている。
なぜならば、六角形の頂点の内角は、
π - 2π÷6=
――――
3
であるから、
これを2でわり、π
――
3

次に、ミサイルが進む中心方向の速度成分は、
v(0) * cos(π
――
3
).... (1)
となり、時刻tに依らない。

次に、初期条件から、中心から頂点A、B、C、D、E、Fまでの距離R(0)は、六角形の1辺をD(0)と仮定して、

R(0) = D(0) .... (2)

である。

式(1)と(2)から、ミサイルが命中する時間Tは、
T =R(0)
―――
V(0)
 =D(0)÷V(0)cos(π
――
3
)

ところで、ミサイルは等速度V(0)で飛んでいるので、時間Tで積分して(線積分しても同じ)、命中するまでに飛ぶ距離Lは、

L = V(0) * T
 =D(0)÷cos(π
――
3
)
 =2D(0)

ここで、D(0)=600Kmであるから、

L = 1200Kmとなる。

答え:1200km

問3「n角形」で、ミサイルの飛ぶ距離Lはいくらか?

頂点A1、A2、A3、...、Anからそれぞれミサイルが等速度V(0)で飛ぶので、任意の時刻で頂点A1、A2、A3、...、Anがなすn角形は正n角形である。
したがって、最終的にこれらn個のミサイルが命中する場所は、n角形の中心点である。
(ほぼ自明。)

n角形の中心から各頂点を見た場合、ミサイルの進行方向は任意の時刻で中心に向かって常に
(n - 2)π/2nずつずれている。
なぜならば、n角形の頂点の内角は、
π - 2π÷n=(n - 2)π
――――――
n
であるから、
これを2でわり、(n - 2)π
――――――
2n

次に、ミサイルが進む中心方向の速度成分は、
v(0) * cos((n - 2)π
――――――
2n
).... (1)
となり、時刻tに依らない。

次に、初期条件から、中心から各頂点までの距離R(0)は、n角形の1辺をD(0)と仮定して、
R(0) =D(0)
――――
2
*1
――――――
sin(2π/2n)
   =D(0)
――――
2
*1
――――――
sin(π/n)
   =D(0)
――――――――
2sin(π/n)
.... (2)

である。

式(1)と(2)から、ミサイルが命中する時間Tは、
T = R(0)
――――
V(0)
 =D(0)
――――
V(0)
* 1
――――――――――――――
2cos{(n - 2)π/2n}sin{π/n}

ところで、ミサイルは等速度V(0)で飛んでいるので、時間Tで積分して(線積分しても同じ)、命中するまでに飛ぶ距離Lは、

L = V(0) * T
= D(0) * 1
――――――――――――――
2cos{(n - 2)π/2n}sin(π/n)
=D(0)
――
2
* 1
―――――――――――――――――――――――――
{cos(π/2)cos(π/n) + sin(π/2)sin(π/n)}sin(π/n)
=D(0)
――
2
* 1
―――――――――――――
sin(π/n)sin(π/n)
=D(0)
―――――――――――――
2sin(π/n)sin(π/n)

ここで、D(0)=b(Km)であるから、
L=b
―――――――――――――
2sin(π/n)sin(π/n)
(Km)となる。

答えb
―――――――――――――
2sin(π/n)sin(π/n)
(Km)


【コメント】

 見事正解です。
水の流れ さんの問題からスタートして、面白い結果を得ることができました。
いわゆる出あい算や追いかけ算ですが、三角形、六角形の場合は美しいですね。


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