『線分が交わる点の個数の期待値』解答


◆宮城県 甘泉法師 さんからの解答。

点A(k)と点A(k+1)が、弦A(j)A(j+1)で2分される円周の別々の側にあれば、
辺A(j)A(j+1)と辺A(k)A(k+1)は交わる。

よって関数
 θ[-(a(j)-a(k))(a(j+1)-a(k+1))(a(j+1)-a(k))(a(j)-a(k+1))]
は辺A(j)A(j+1)と辺A(k)A(k+1)が交われば1、交わらなければ0

 ここで、a(1)=a(n+1)=1,{a(2),a(3),...,a(n)}={2,3,...,n}は点A(j)のA(1)から円周上をまわり数えた順番で、その順列をPであらわす。
テータ関数 θ(x)=1 x>0 , θ(x)=0 x≦0

よって全交点数の期待値は
1
2(n-1)!

Σ
P
n
Σ
j=1
n
Σ
k=1
θ[-(a(j)-a(k))(a(j+1)-a(k+1))(a(j+1)-a(k))(a(j)-a(k+1))]

ここでΣ
P
はすべての順列についての和をあらわす。

【コメント】

これで任意の数nについてコンピュータプログラムをつくり値を求めることはできます。
nの関数としてより簡単にあらわせるかどうかはわかりません。


◆東京都 サボテン さんからの解答。

以下ではいくつもの交点が重なるという特殊な状況は考慮しない。
以下点の結び方を配位Ωと呼ぶ。

1)1つの交点に対し、4つの点が対応する。
これらの点を円配置の昇順にA1,A2,A3,A4とする。
交点が生じる際の 点の結び方は
(A1,A3)(A2,A4)のみである。

2)次に4つの昇順の頂点A1,A2,A3,A4、ある配位Ωに対して、以下の特性関数χを導入する。
ΩがA1,A2,A3,A4を通る線分に関して交点を有する時、
 χ(A1,A2,A3,A4:Ω)=1

交点を持たないとき、χ(A1,A2,A3,A4:Ω)=0

3)ある配位Ωに対する交点の個数は
Σ{A1,A2,A3,A4}χ(A1,A2,A3,A4:Ω)
ここでΣ{A1,A2,A3,A4}は全ての4つの頂点の組み合わせについて取るも のとする。

次に配位Ωを取る確率をp(Ω)と書くと、交点の個数の期待値は
Σ{Ω}p(Ω)Σ{A1,A2,A3,A4}χ(A1,A2,A3,A4:Ω)
Σ{Ω}は全ての配位Ωに関する和を表す。

4)3)における和の順序を交換し、
Σ{A1,A2,A3,A4}Σ{Ω}p(Ω)χ(A1,A2,A3,A4:Ω)とする。

まず、Σ{Ω}p(Ω)χ(A1,A2,A3,A4:Ω)を計算する。
χ(A1,A2,A3,A4:Ω)が0でないのは (A1,A3)(A2,A4)の組み合わせで線分を結ぶ配位のみである。
このような線分を含む配位Ω'についてのみ 和をとればよい。
以下ではA1=1として一般性を失わない。

1.1→A3・・・・A2→A4→・・・・の経路の場合

A2→A4を一つの点とみなすと、順列は(n-3)!
1→A3・・・・A4→A2→・・・・の場合も同様で(n-3)!

よって場合の数は合計2(n-3)!

2.1・・・・A2→A4・・・・A3→1や1・・・・A4→A2・・・・A3→1の場合

上と同様にして、合計2(n-3)!

円順列の場合の数は(n-1)!なので
1.2.の場合に限定した配位Ω'に関する和は
Σ{Ω}p(Ω)χ(A1,A2,A3,A4:Ω)=Σ{Ω'}p(Ω')=4(n-3)!
(n-1)!
=4
(n-1)(n-2)


よって期待値は

Σ{Ω}p(Ω)Σ{A1,A2,A3,A4}χ(A1,A2,A3,A4:Ω)
=Σ{A1,A2,A3,A4}Σ{Ω}p(Ω)χ(A1,A2,A3,A4:Ω)
=4
(n-1)(n-2)
Σ{A1,A2,A3,A4}(*)


4つの頂点を選ぶ組み合わせはn4なので、
n(n-1)(n-2)(n-3)
24


よって(*)=4
(n-1)(n-2)
*n(n-1)(n-2)(n-3)
24
=n(n-3)
6

【捕捉】

単純にn本の線の交点の数は全部でn2
これから円上の交点n個を引いてn2−n= =n(n-3)
2

円の交点の期待値はこれの1/3に該当する。
円の外側の交点の期待値は2/3。
1:2で円の内側と外側に分かれる。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【問題1】

n(n−3)

【補題】

周長が1である円上に一様な確率で両端が存在する線分があるとき、これらが交わる確率は3分の1である。

∵ Lの両端をA,B Mの両端をC,Dとする。
Aに対してBの位置を左回りにxとするとき、LとMが交差するのはDがxの区間にCが(1−x)の区間にあるときかその逆である。
従って、交差確率=1

0
2x(1−x)dx=
である。



【証明】

n個の点の場合、辺もn個ある。
ある一辺Tを考えた場合、これと円周上以外で交差可能な辺の数はTと両隣の2辺を除くn−3辺である。
それらn−3辺はTの両端点とは独立な点を両端に持っている。

従って、Tとそれぞれの辺との交差確率は補題に従い、全体の期待値は
n(n−3)
×
である。

なお、交点同士が一致する確率は0であり、有限個のであるから考慮しなくて良い。

【シミュレ−ション】

モンテカルロ法で確かめてみた。
ほぼ合っている。
試行回数は各1000回である。



【考察】

円周上ではなく、円盤上(面積で一様分布)ではどうなるかシミュレ−ションしてみた。 
n(n−3)
の係数の約0.1025を解析的に出すのは簡単ではないように思われる。

また式を立てることができても、結局数値積分するしかないのではと予想される。


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