『球面上の正三角形の面積』解答


◆大阪府 macsyma2e さんからの解答。

球面の中心をO、3頂点をA,B,Cとおくと、
3平面OAB,OBC,OCAは互いに大きさ
3
の角をなすので、
球面過剰=3×
3
−π

つまり、求める面積=π×R2


◆出題者のコメント

解答ありがとうございます。
正解です。
別解として、正四面体の外接球の半径をRとすると、
4つの面の正三角形の外接円の半径は

よって、求める球面正三角形の面積は
球の表面積の4分の1である πR2

本問に限っては、こんな発見的解法もあるでしょうが、一意に得られないのと一般に応用できないのが弱点です。
その点、球面過剰を利用したmacsyma2eさんの簡潔で鮮やかな解法は優れています。

球面過剰の式をご存知ない方のために、以下若干補足説明をします。

球面上の2点間の最短経路は、その2点を通る大円(球の中心を含み円周が球面上にある円)の小さい方の円弧です。

また、2つの大円の面角度は、球面上では2本の大円の円弧が交差する角度になります。
(面白いことに、球面上では2つの大円による、切ったスイカの皮の表面のような球面2角形も存在します。)

2本の円弧が球面n(≧2)角形の隣り合った2辺なら、2つの大円の面角度は頂点の内角にあたります。

そこで、球を球の中心を通る2つの平面で切断すると、切り口の2つの大円は2点で交差し、球面上に4つに切ったスイカの皮の形ができます。

1つのスイカの皮の表面積は、2つの切断面の面角度をθ(ラジアン)とすると以下となるのは明らかです。

 1つのスイカの皮の表面積
= 球の表面積 × θ
2π
= 4πR2 × θ
2π
= 2θR2   ・・・(1)

さらにもう1回、球の中心を通る平面で3番目の切断するものとします。

3つとも大円の直径が重なるなら、大円同士の交点は2つのままで球面上の切ったスイカの皮は6つになります。

ところが、3つの大円の直径が重ならないように3番目の切断をすると、大円同士の交点は6つになり、球面上にあった切ったスイカの皮の形はいずれも崩れ、8つの球面三角形になります。

当然ですが、8つの球面三角形は球の中心で点対称にある2つずつがそれぞれ合同になっています。
それ故、任意の球面三角形と、それと辺を共有する3つの球面三角形の、合わせて4つの球面三角形の全面積は
球の表面積の半分の 2πR2 です。

この4つの球面三角形を、切ったスイカの皮3つが真ん中の球面三角形の部分で重なっていると考えると、真ん中の球面三角形の面積Sは(1)式より以下になります。
(ただし、真ん中の球面三角形の3つの切断面のそれぞれ隣り合った面角度を θ123 とします。)

2πR2 = 2θ12 + 2θ22 + 2θ32 − 2S

∴ S=(θ1+θ2+θ3−π)R2

本問は球面正三角形で、
θ1 = θ2 = θ3 2π
ですから、

求める面積Sは

S = {( 3 × 2π
) − π } 2= πR2
となります。

一般に、

半径Rの球面上の球面n(≧2)角形の面積={(内角の総和)−(n−2)π}R2
です。

n=2 や n=3 の場合は示しましたが、4以上のnに対しても n=3 から順次イモづる式に得られます。


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