『既約分数』解答


◆福島県の中学校3年生 おおさわ さんからの解答。

【問題1】

1001,10101を素因数分解して

1001=7*11*13
10101=3*7*13*37

よって、

1001/10101
=(7*11*13)/(3*7*13*37)
=11/(3*37)
=11/111

【問題2】

[1001]=9 , [10101]=21であるから、

[1001]/[10101]
=9/21
=3/7

【問題3】

1001[n]=n3+1([n]は、n進数表記の意)
10101[n]=n4+n2+1

二つをそれぞれ因数分解して、

n3+1=(n+1)(n2-n+1)
n4+n2+1=(n2+n+1)(n2-n+1)

よって、

1001[n]/10101[n]
=(n+1)(n2-n+1)/(n2+n+1)(n2-n+1)
=(n+1)/(n2+n+1)
=11[n]/111[n]

となります。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【問題1〜3】

n進法では通常 0〜n−1の数字を並べますが、−1〜n−2の数字をならべても重複することなく、かつ負も含めたすべての数を表せます。
ただしn=2は例外なので重複を許してー1,0,1を用いるとします。

このような表記を用いて、互除法により共約数を求めると下記のように1−11です。

10101を1−11で割ると下記のように111です。

よって既約分数は進法によらず下記です。

ちなみに 111÷11=10あまり ですから確かに既約です。


◆東京都 鳳 奥人 さんからの解答。

【問題1】

高校数学でa3+b3=(a+b)(a2-ab+b2)ってのが出てきましたね。

これを使ってみると

1001
=103+13
=(10+1)(102-10×1+12)
=11×91

さて、10101を1001で割ってみると、商が10、余りが91となります。
つまり
1001=10×1001+91=10×11×91+91=91(10×11+1)=91×111

というわけで1001/10101=11/111。

11は素数で、111は11の倍数ではありませんから、これは既約分数です。

ちなみに、91という数について言えば
91=102-32=(10+3)(10-3)=13×7 というさらなる素因数分解が可能なのですが、ここでは不要ですよね。

【問題2】

2進法の1001は10進法では23+1=9
同じく10101は24+22+1=21

というわけで9/21=3/7

【問題3】

n進法の1001は10進法では
n3+1=(n+1)(n2-n+1)

同じく10101は

n4+n2+1
=n(n3+1)+(n2-n+1)
 ↑これはn4+n2+1 を n3+1で割ったときの結果です
=n(n+1)(n2-n+1)+(n2-n+1)
=(n2-n+1)(n(n+1)+1)

というわけでn進法の
1001
10101
= n+1
n(n+1)+1
= n+1
n2+n+1
= 11
111
(n進法表記で)


◆茨城県 小川 康幸 さんからの解答。

【問題3の拡張】

この問題はもっと一般化できますね。

つまり、
10・・・01[n]を、n進法で表記したとき、最高位と1の桁が1で残りの桁が0の、2m+2桁で表記される自然数、

1010・・・01[n]を、n進法で表記したとき、偶数桁が0かつ奇数桁が1となる、4m+1桁で表記される自然数、

1・・・1[n]を、n進法で表記したとき、すべて1となる、2m+1桁の自然数、

11[n]を、n進法で表記したとき、すべて1となる、2桁の自然数

(ただし、mは自然数とする)
としたとき、

10・・・01[n]
1010・・・01[n]
=11[n]
1・・・1[n]
となる。

解答の前に補題を二つ示します。

●補題1

mを正の偶数、aを整数とすると、

(a2)m+(a2)m-1+・・・・+1
=(am+am-1+・・・+1)*(am-am-1+・・・+1)

●証明

(a2)m+(a2)m-1+・・・・+1
=(a2)m+1-1
a2-1
= am+1-1
a-1
* am+1+1
a+1
=(am+am-1+・・・+1)*(am-am-1+・・・+1)

証明終

●補題2

mを正の偶数、aを整数とするとき、
am+am-1+・・・+1とa+1は互いに素である。

●証明

f(x)=xm+xm-1+・・・+1とおく

剰余の定理より、 g(x)を多項式として、
f(x)=(x+1)*g(x)+f(-1)=(x+1)*g(x)+1 とかける。

よって、 (am+am-1+・・・+1)-(a+1)*g(a)=1となる。

am+am-1+・・・+1とa+1の最大公約数をdとおくと、
am+am-1+・・・+1=d*b、a+1=d*cと書ける。

d*{b-c*g(a)}=1となるので、d=1となる。

よって、示された

証明終

さて問題3の拡張を示します。

●解答

10・・・01[n]=n2m+1+1、
1010・・・01[n]=n4m+n4m-2+・・・+1、
1・・・1[n]=n2m+n2m-1+・・・+1、
11[n]=n+1

10・・・01[n]
1010・・・01[n]
= n2m+1+1
n4m+n4m-2+・・・+1

補題1より、

(n+1)*(n2m-n2m-1+・・・+1)
(n2m-n2m-1+・・・+1)*(n2m+n2m-1+・・・+1)
=n+1
n2m+n2m-1+・・・+1
=11[n]
1・・・1[n]

補題2より、n+1とn2m+n2m-1+・・・+1が互いに素であることがわかる。
よって、11[n]
1・・・1[n]
はこれ以上約分できない。

よって、問題3の拡張は示された。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからのコメント。

任意の進法で既約分数が同一表記になるというようなものを探すという拡張もできるでしょう。
4進法以上で次の分数の既約分数は同一表記になります。

11202011
1221130110

なお、数を3まで使ってよい2進、3進とすれば任意進法でOKです。
探せば、もっと美しいのがあるかも知れません。


◆出題者のコメント。

10日間で、いろいろな解答や一般化まで考えていただき、ありがとうございます。

この問題を考えたのは、約分の結果がもとの分数から数字の「0」を消しただけで得られるということに興味を持ち、それが必然であること示すような約分の方法を思いついたからです。
(そんなにすごい方法ではないです。方法自体は小学生でも理解できます。たぶん。)

そこで、次の応用問題を出題します。

【問題4】

分数  100010001
1001001001
 を既約分数にしてください。

結果は、「0」を消した分数になります。
何進法でも同じ結果です。
他にも「0」を消した分数と等しくなるような分数を考えてみてください。
(これも一種の拡張か)


◆東京都 鳳 奥人 さんからの解答。

【問題4】

A3+B3=(A+B)(A2-AB+B2)
A4+A2+1=(A2+A+1)(A2-A+1)

であることを利用すると

100010001(n進法表記)
=n8+n4+1(10進法表記)
=(n4+n2+1)(n4-n2+1)
=(n2+n+1)(n2-n+1)(n4-n2+1)

1001001001(n進法表記)
=n9+n6+n3+n(10進法表記)
=n6(n3+1)+n3+1
=(n3+1)(n6+1)
=(n+1)(n2-n+1)(n2+1)(n4-n2+1)

したがって、

100010001
1001001001
 (n進法表記)
= (n2+n+1)(n2-n+1)(n4-n2+1)
(n+1)(n2-n+1)(n2+1)(n4-n2+1)
 (10進法表記)
= n2+n+1
(n+1)(n2+1)
= n2+n+1
n3+n2+n+1
= 111
1111
 (n進法表記)


◆京都府 大空風成 さんからの解答。

【問題1】

1001
10101
= 1100+11-110
11100+111-1110
= 11×100-11×10+11
111×100-111×10+111
= 11×(100-10+1)
111×(100-10+1)
= 11
111

【問題2】

問題1のこの解法は、0と1のみ使用しているので、2進法であっても同様である。

【問題3】

問題1のこの解法は、n進法であっても同様である。

【問題4】

100010001
1001001001
=
111000000+111000+111-11100000-1110
1111000000+1111000+1111-111100000-11110
  = 111×1000000-111×100000+111×1000-111×10+111
1111×1000000-1111×100000+1111×1000-1111×10+1111
  =
111×(1000000-100000+1000-10+1)
1111×(1000000-100000+1000-10+1)
  =
111
1111

この解法は、n進法について成り立つ。


◆京都府 ゐっしー さんからの解答。

【問題4】

1111 1111 1111

100010001 1111

=
1001001001 111 111 111 111

111


 
111111111111 111111111111 111111111111 111
=
÷
=
×
1111 111 1111 111111111111


111111111111 × 111 111
=
=
1111 × 111111111111 1111


つぎの拡張が考えられますね.


10000100001 111

=
1001001001001 11111


10000100001000011111

=
10001000100010001 11111


100000010000001000000100000010000001111111

=
1000001000001000001000001000001000001 1111111

一般に

10・・・0(0がn-1個)10・・・0(0がn-1個)・・・・・・10・・・0(0がn-1個){m-1回}111・・・ 1(1がm個)

=
10・・・0(0がm-1個)10・・・0(0がm-1個)・・・・・・10・・・0(0がm-1個){n-1回}111・・・ 1(1がn個)

m、nが互いに素ならこの約分で既約

次のように示すことができました.

xmn - 1

x(m-1)n + ・・・+ x2n + xn + 1 xn - 1

=
x(n-1)m + ・・・+ x2m + xm + 1 xmn - 1

xm - 1



xm - 1 (x-1)(xm-1 + ・・・ + x2 + x + 1)
=
=
xn - 1 (x-1)(xn-1 + ・・・ + x2 + x + 1)



xm-1 + ・・・ + x2 + x + 1
=
xn-1 + ・・・ + x2 + x + 1


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