『中学入試の算数』解答


◆東京都 T.Kobayashi さんからの解答。

【問題1】

書くのが面倒なので単位の [g] は省略します。
あと二つの重さを x, y と置く。

1, 1 で構成できる重さは -2, -1, -0, 1, 2 の 5 通り。

1, 1 に何も加えないとすると、符号違いのものを一つと数えると 3 通り。
これに +x だけを加えると 5 通り。
(-x だけを加えても符号違いの同じものが出てくる。以下これを省略する。)

+y だけを加えると 5 通り。
+x+y を加えると 5 通り。
+x-y を加えると 5 通り。

従って、1, 1, x, y で量れる(非負の)重さの総数は、
多くとも 3+5+5+5=23 通りである。
従って、0, 1, …, 22 が全て量れるように x, y を取れればそれが正解である。
そのような x, y は実際に存在して、(x, y)=(5, 15) とすればよい。

0 = 0 - 0,
1 = 1 - 0,
2 = (1+1) - 0,
3 = 5 - (1+1),
4 = 5 - 1,
5 = 5 - 0,
6 = (5+1) - 0,
7 = (5+1+1) - 0,
8 = 15 - (5+1+1),
9 = 15 - (5+1),
10 = 15 - 5,
11 = (15+1) - 5,
12 = (15+1+1) - 5,
13 = 15 - (1+1),
14 = 15 - 1,
15 = 15 - 0,
16 = (15+1) - 0,
17 = (15+1+1) - 0,
18 = (15+5) - (1+1),
19 = (15+5) - 1,
20 = (15+5) - 0,
21 = (15+5+1) - 0,
22 = (15+5+1+1) - 0.
答…5[g] と 15[g].

【問題2】

x≡8 (mod 9), ≡7 (mod 8), ≡6 (mod 7), ≡8 (mod 5) から、
中国の剰余定理により x≡2519 (mod 2520) で、
2519 は題意を満たす。

答…2519.

【一休み】

(1) 下 n 桁は 2n で割り切れる。
そして 10 は 21 でちょうど割り切れ、3-2=1 は 2 で割り切れない。
よって題意を満たす数は存在し、しかもただ一通りのみ存在するのである。
実際構成すれば、223232 となる。

答…223232.

(2) 15625*a が求める数とすると、(1) と同様の考察によって、
下 n 桁の考察で、a は 2n で決まる(一意とは限らない)。

実際計算すると、
a≡1 (mod 2), ≡1 (mod 4), ≡5 (mod 8), ≡13 (mod 16), ≡29 (mod 32)
となって、15625*29=453125 が求める数である。

これ以外にないことは、15625*(29+32)>453125*2 で、
105 の位が 5 より大きくなるか、7 桁以上になること がわかる。

答…453125.

【問題3】

A=333*33! である。

(1) 33! を素数巾に分解したとき、
2 の巾指数は
Σ
i=1
gauss( 33
2i
)=16+8+4+2+1=31 、

5 の巾指数は
Σ
i=1
gauss( 33
5i
)=6+1=7 。

よって 0 は下 min(31,7)=7 桁並ぶ。

答…7桁.

(2) 33! の素数巾分解で、同様に

3 の巾指数は 11+3+1=15 、
7   〃   4 、
13  〃   2 、
17  〃   1 、
19  〃   1 、
23  〃   1 、
29  〃   1 。
0 でない最下位の位に関しては、11, 31 については考える必要はない。
さて、φ(10)=4 であることから、オイラーの定理より、
(a,10)=1 ならば a4≡1 (mod 10) 。

また、25=32≡2 (mod 10) であることから、

231-7*333+15*74*132*17*19*23*29
≡224*348*74*32*7*9*3*9
=224*355*75
≡224*33*7
≡224*9
≡28*9
≡24*9
≡4 (mod 10) 。

よって、答…4.

【問題4】

(1) 4
5
= 8
10
= 1+2+5
10
から、
4
5
= 1
10
+ 1
5
+ 1
2

また、 4
5
= 16
20
= 1+5+10
20
から、
4
5
= 1
20
+ 1
4
+ 1
2

答…(10,5,2), (20,4,2).

(2) 0.325= 13
40
= 5+8
40
= 1
8
+ 1
5

答…(8,5).

【問題5】

mod 3 で考えれば、
1, 1, 2, 0, 2, 2, 1, 0, …
で、周期が 8 になることが分かる。
500=62*8+4 だから、0 に等しいものは
62*2+1=125 個あることになる。

答…125個.

【おまけ】

7, 8, 9 で割り切れることが必要十分。

1+2+3+4+6+7+8+9=40 だから、
9 の倍数にするために和が ≡5 (mod 9) になるような 数字を追加しなければならない。

和が 5 の場合は、(1,4) または (2,3) を追加する。

和が 14 以上の場合は、追加分は必ず 2 個以上になり、2 個のときその中に 1 は含まれない。
よって、1,1,2,3,4,4,5,6,7,8 で、上位 2 桁が 11 になるように構成できれば、それが最小ということになる。
そしてそういう数は実際に構成できて、
1123449768が求める数である。

答…1123449768.

# 最後の部分はコンピュータに頼ったんですが、何かうまい方法があるのでしょうか。


◆山梨県 Footmark さんからの解答。

【問題1】

5gと15gにするのがよい。

すると、以下のように1g刻みに1g〜22gの重さを計ることが可能。
(ただし、+は測る対象と反対の皿に、ーは測る対象と同じ皿に、分銅をのせることを意味する。)

 1=+1
 2=+1+1
 3=ー1−1+5
 4=ー1  +5
 5=    +5
 6=+1  +5
 7=+1+1+5
 8=−1−1−5+15
 9=−1  −5+15
10=    −5+15
11=+1  −5+15
12=+1+1−5+15
13=−1−1  +15
14=−1    +15
15=      +15
16=+1    +15
17=+1+1  +15
18=−1−1+5+15
19=−1  +5+15
20=    +5+15
21=+1  +5+15
22=+1+1+5+15

【問題2】

3211ー1=2519

何故なら、10,9,8,7,6,5,4,3,2 のどれで割っても余りはー1なので、これらの数の最小公倍数から1を引いた数となる筈である。

【一休み】

(1)

求める6桁数が64の倍数なら、32や16や8や4や2の倍数でもある。

そこで、
 2の倍数なら下1桁が 2の倍数であり、
 4の倍数なら下2桁が 4の倍数であり、
 8の倍数なら下3桁が 8の倍数であり、
16の倍数なら下4桁が16の倍数であり、
32の倍数なら下5桁が32の倍数であり、
64の倍数なら全6桁が64の倍数であることを順次利用する。

6桁数 □□□□□?の、     ?が 2の倍数でなければならないので、?は2。
6桁数 □□□□?2の、    ?2が 4の倍数でなければならないので、?は3。
6桁数 □□□?32の、   ?32が 8の倍数でなければならないので、?は2。
6桁数 □□?232の、  ?232が16の倍数でなければならないので、?は3。
6桁数 □?3232の、 ?3232が32の倍数でなければならないので、?は2。
6桁数 ?23232の、?23232が64の倍数でなければならないので、?は2。

よって、求める6桁数=223232 。

(2)

(1)と同様に求めると、求める6桁数=453125 。

【問題3】

A=3×6×9×……×96×99=333(1×2×3×……×32×33)と式を変形しておく。

(1)下7桁に0が並ぶ。

明らかに、因数10の個数と等しい桁数だけ最後の桁に0が並ぶ筈。
ところで、10=2x5 だが、
1×2×3×……×32×33には、2の倍数は2つに1つ現われるが、5の倍数は5つに1つしか現われない。
よって、因数5の個数と等しい桁数だけ、最後の桁に0が並ぶことになる。
1,2,3,……,32,33の内で5の倍数は、明らかに5,10,15,20,25,30の6つ。
ところが、25だけは 25=5x5 と 因数5が2つあるので、因数5の個数は全部で7つ。

(2)求める1桁の数字は4である。

1,2,3,……,32,33の内で、最後の1桁が2や5や0のものを以下のように表すと、
右辺で下線の引かれた数は2と5で7つずつある。

 2=
 5=
10=
12=   x 6
15=   x 3
20= x 2
22=   x11
25=
30= x 3
32=   x16

これら14個の積は10000000になるので、残ったすべての積の最後の1桁を調べればよいことになる。
また、最後の1桁を求めるのに、最後から2桁目以上は明らかに関与しない筈である。
よって、求める1桁は{333}{(1x3x4x6x7x8x9)3}{1x3}{6x3x2x1x3x6}の最後の1桁である。
ところで、10進表示では a と a4n+1 の最後の1桁は等しいので、333の最後の1桁は3である。(ただし、nは非負整数)
このようにして計算すると、求める1桁の数字は4となる。

【問題4】

(1)2と5と10 あるいは 2と4と20
(2)5と8

【問題5】

125個ある。

何故なら、各数は3で割った余りも前の2数の和となる筈なので、
3で割った余りは1,1,2,0,2,2,1,0を繰り返し、4の倍数番目ごとに3の倍数となる。
よって、3の倍数の個数=500÷4=125 。


◆出題者のコメント。

T.Kobayashi さん、Footmark さん、さっそくの解答をありがとうございます。
お二人ともさすがです。
全問正解で す。 T.Kobayashi さんの問題1、4、5と、Footmark さんの問題2、3、5、一休みは、とっても分かりやすい説明で、 小学生にも理解できる算数の範囲の模範解答だと思います。
それ以外の問題についての感想を、少し書かせてください。

Footmark さんの問題1、4については、解き方が示されればもっといいという感想を持たれる方もおられるかも知れま せんが、見つけることが中心の問題だと思いますので、これで十分だと思います。
ここに載せた問題については、答だ け送られてきても、それでもいいのではないかと思っていたぐらいです。

T.Kobayashi さんの問題2については、中国の剰余定理ですか、解答を見ると想像がつきました。
おまけについては、これは算数オリンピックの問題で、解き方はT.Kobayashi さんが示されたのが分かりやすく、エレガントな方法だと思 います。
9の倍数で最も小さいのは1123446789で、これを並べ替えるのですが、できるだけ下の桁だけ並べ替えたいですよね。
まず8の倍数から、1000が8の倍数ですが下3桁の789を並べ替えてもないので、下4桁を並べ替えると何通りか出てきます。
そこで1123440000を7で割ると4余ることから、下4桁を7で割ると3余るものが求める数です。

算数の問題は、予備知識がほとんど必要のない問題が多く、だれにでも取り組める楽しい問題が多いですね。
お二人以外の方々からも、算数流のいろんな解法をお待ちしております。


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