『辺と角の比が共に整数である三角形』 解答


◆東京都 梟 さんからの解答。

【問題1】

(1)

[m n]をm、nの最大公約数とする

●m>nのとき

c(k)=c(k−1)−b(k−1)とb(k)の大きいほう
b(k)=c(k−1)−b(k−1)とb(k)の小さいほう
c(1)=m
b(1)=m
の漸化式で与えられる数列を考える。

ユークリッドの互除法により
[m n]=[c(1) d(1)]=[c(k) d(k)]である。
また、c(k)=d(k)なるkが存在し、
そのときのc(k)がm、nの最大公約数である。・・・A

c(1)、d(1)ともにxm+ynの形で表せる
(x、yともに、ある整数)・・・1

c(k)、d(k)ともに上の形で表せるとき
c(k)=pm+qn
d(k)=rm+sn(pqrsともに整数)と置くと

c(k+1)=rm+sn または (p−r)m+(qーs)n
d(k+1)=rm+sn または (p−r)m+(qーs)n

であり、いずれにせよ、c(k+1)、d(k+1)ともに
xm+dmの形で表せる・・・2

1,2により任意のkに対してc(k+1)、d(k+1)ともに
xm+ymの形で表せる。・・・3

Aとm、nが互いに素であることから
c(k)=1であるようなkが存在する。

このときc(k)=vm+wn=1・・・3とおく。

大小関係から明らかにvw<0である。

w<0のとき
v=a、w=bと置けば与式は成立する。

また、v<0のとき、3の両辺を自乗すると

(mv2)m+(2vmw+nw2)n=1
mv2>0

であるから大小関係より(2vmw+nw2)<0である。

mv2=a
2vmw+nw2=−b

と置けば、与式は成立する

●n>mのときも、同様に証明できる。


(2)

背理法で示す。

x=
が方程式の解であると仮定する。
(a,bは互いに素、bは1ではない整数)

このとき両辺にakを掛けると
方程式はb( k
Σ
n=1
nk-nan-1=−ak

ところが、左辺は(1ではない整数)×整数の形をしており、
かつakはbを因数に含まない。

これは矛盾。

よって、与えられた方程式が有理数の解を持つのなら
その解は1
r
の形をしている。

【問題2】

(1)

k=1の時、明らか

k=lの時coskαがcosαの多項式で表せ、
sinlαがsinα×cosαの多項式で表せると仮定する。

cos(l+1)α
=f(cosα)cosα+g(cosα)sinα・sinα
=f(cosα)cosα+g(cosα)(1-cosα・cosα)

sin(l+1)α
=sin(lα)cosα+cos(lα)sinα
=sinα(g(cosα)cosα+f(cosα))

となりいずれの場合も成立。

以上で、与えられた命題は証明された。

(2)

k=1のとき明らか。

k=2l-1のとき成立すると仮定する。

(1)の結果と加法定理より

cos(2l+1)α
=cosαh(cosα)cos2α-sinαg(cosα)sin2α
=cosαh(cosα)cos2α-sinα*sinαg(cosα)cosα

cos2α、sinα*sinαがcosαの多項式で表せることにより
cos(2l+1)αがcosα×cosαの多項式で表せる

以上により与えられた命題は証明された。

命題A

任意の整数kに対し、coskθが無理数ならcosθは無理数

証明

問題2の1)の( )の中身の対偶を取れば明らか。

【問題3】

(1)

背理法で示す

a、bは任意の0でない整数。
また互いに素である2整数m、nに対し
ユークリッドの互除法の特殊解ma+nb=1のa,bどちらかが0である場合題意を満たすことは明らかなので、以下の議論でm、nはそのような組み合わせではない。
一般に cos(
)πが無理数のとき
cos(a+
)π=cos(
)π or −cos(
でありこれは無理数。

命題Aより、任意の0でない整数bに対して
cosθが無理数ならcos(
)θも無理数。
よって、cos
(a+
)π も無理数。

問題1の(1)より
m、nに対し、mx=ny+1となる整数x、yが存在する。

x=b、y=aと置くと



(a+
)である。

以上から命題は証明された。

(2)

n=4k(kはある整数)とおく。

cos(
4k
)π=
命題Aより、命題の証明はなされた。

(3)
y=cosxが0<x<π
で単調減少だから
n>3の奇数nに対し
cosπ
cosπ

・・・(1)

ところで問題2の(2)より
cos n(π
)=1は問題1の(2)の形の方程式である
これが有理数解を持つなら、それは
の形をしていなければならないが
(1)よりそのようなrは存在しない。よって命題は証明された。

(4)

nが4の倍数のとき(2)の結果より題意は明らかに成り立つ。
以下nは4の倍数ではない10以上の偶数として議論を進める。

nの因数に5以上の奇数(k)が含まれているとき、kは奇数だから

cos2π
2k
cosπ
は無理数。

(3)の結果より)

よって問題2(2)の結果よりcosπ
2k
は無理数。

また、kが5以下の奇数の場合、nは10未満。

よって題意は証明された。

(5)

3より cosπ
が有理数となるnは奇数なら1,3でなければならない。
4、2より cosπ
が有理数となるnは偶数なら2、6で無ければならない。
(4の倍数ではなく10未満でなければならないから)
cosπ

で無理数。

よって cosπ
が有理数になるならnは1,2,3であることが必要。

そしてそのとき、
cosπ
はそれぞれ−1、0、
で確かに有理数。

(6)

問題2の(1)と問題3の(1)より
cosmπ
が有理数⇔cosπ

問題3の(5)より
cosπ
が有理数⇔n=1、2、3
よって
cosmπ
⇔cosπ
⇔n=1、2、3

【問題4】

(1)

このとき整数l、m、nをつかって

a=lk、b=mk、c=nk と置ける。

余弦定理により

cosA
2(m2+n2−l2)
2mnk2
2+n2−l2
2mn
となり有理数。

同様にcosB、cosCについても証明できる

(2)

ある整数l、m、nをもちいて

A=xπ、B=yπ、C=π−xπ−yπ

A:B:C=x:y:1−x−y=l:m:nとおける。

よってxm=ly、yn=m−xm−ym

よってy=
l+m+n

となりBは有理数×πの形で表せる

同様にA、Cについても
A=lπ
l+m+n
、C=nπ
l+m+n
とかける。

(3)

(2)かつ(1)のとき、問題3(6)の結果より
A、B、Cはπ、π
π
のいずれかの倍数。
しかし、その最小値π
の3倍がπであることを考えると
A+B+C=πとなる組み合わせは、
A=B=C=π
となるものしかない。
よって、この三角形は正三角形。


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