『100$をあてろ』解答


◆茨城県 数学教師見習い さんからの解答。

Aの箱に100$が入っている事象をA、Cの箱をおじさんが開ける事象をCとする。

P(C)をどの箱に100$が入っているかで場合分けして計算すると

P(C)=



・0=

よってCのもとでAが起こる条件付き確率は

P(C∩A)/P(C)=P(A∩C)/P(C)=(1/6)/(1/2)=1/3

これは、箱を変えないときあたる確率が1/3ということだから、本の解説は正しい。

【補足】

納得できない人は次の例を考えると良いでしょう。

箱が10000個あって、そのうち一つに10000$が入っています。
ジョン君が好きな箱1個を選びます。
例えば2984番の箱としましょう。
万が一その箱に10000$が入っているならば残りの箱は全て空です。
もし10000$が2984番以外の箱にあったら(このほうが圧倒的に確率が高いが)、残り9999個の箱のうち9998個が 空です。

おじさんは空の箱を1つずつ開けていき、9998個の箱を開けてしまいます。
残るのは2984番と謎の箱。
ここで選択を変えて良いといわれたら、あなたはどうしますか?

もともとほとんど当たる確率のない2894番にこだわるか。謎の箱の方に変えるか。
こうなるとほとんどの人は変えてしまうでしょう。

実は箱が3個でも、10000個でも数学的には全く同じ状況なのです。

【青木コメント】

よく見ればこれは有名なモンティ・ホール問題ですね。


◆福島県の中学校3年生 おおさわ さんからの解答。

【問題1】

この論法が正しいとすると、
AまたはCに当たりくじが入っている確率も2/3なので、
Aに当たりくじがある確率も2/3

Aにある確率と、Bにある確率は、互いに排反なので、AまたはBに当たりくじがある確率は、
2
3
+ 3
3
= 4
3

しかし、確率は1以下のはずだから、矛盾する。

【問題2】

>したがって、Cが空っぽだった時点で、Bにあたりくじが入っている確率は2/3となる。

ここが間違っています。

2/3という値は、Bにある確率と、Cにある確率が互いに排反で、それぞれ値が1/3なので、

1
3
+ 1
3
= 2
3

という式から得られたものです。

Cの箱が空っぽだった時点で、当たりくじはA、Bのどちらか。
つまり、Aにある確率と、Bにある確率は、それぞれ1/2で、Cにある確率は0です。
Bに当たりくじがある確率は2/3ではありません。
1/2です。

ここで、Aにしておいたときの期待値と、1ドル払ってBにしたときの期待値を求めると、

Aは、100*(1/2)=50
Bも、100*(1/2)=50に思えますが、
1ドル払っているので、50-1=49

故に、期待値の高いAにしておくべきです。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【問題1】

この問題設定で不明確な点はおじさんが正解を知っているのかいないのか、およびジョンに好意的かそうでないかで す。
おじさんがジョンに好意的でかつ正解を知っているなら、当然変えたほうが良いでしょう。
そうでないなら、そのままのほうが期待値は高いでしょう。

ここではおじさんは正解を知らないとします。

【問題1】

Aにある確率は1/3 で BまたはCにある確率でCに入っていない確率が2/3 となると、もう一つのケースである、Cにあっておじさんが開くケースを含めての合計の確率が1以上になる。

【問題2】

BまたはCにある確率でCに入っていない確率は 実は
2
3
* 1
2
= 1
3
であり Aと同じである。

よって1ドル余分に払うよりはAのままのほうが期待値は高く、変えないほうが良い。
したがって、正解を知っているかいないのか、好意的かそうでないの確信度により問題2の答えは変わります。

【青木コメント】

モンティ・ホール問題はテレビのクイズ番組の司会者モンティ・ホールが、みのもんた風に変更するか否かを尋ねるというものです。
元の問題はクイズ番組なので、暗黙のうちに2つが仮定されているのですが、確かにこの問題では何ともいえませんね。


◆沖縄県 mtk さんからの解答。

【問題1】

この論法が正しいとして、状況は問題の続きでBにあたりくじが入っている確率が2/3になったところとします。
ここで、架空の箱DまたはBにあたりくじが入っている確率を考えます。
Dに入っている確率はもちろん0です。

ところで、Bは必ずあたりくじが入っているか入っていないかの2通りのどれかです。
DまたはBに入っている確率は2/3ですので、もし、Bにあたりくじが入っていなかったらDに入っている確率は 例の論法により2/3になります。
これは明らかに矛盾します。

したがってBにはあたりくじが入っているしかありません。
確率は1です。

これも矛盾します。


◆山梨県 Footmark さんからの解答。

【問題1】

「Cが空っぽだった時点で、Bにあたりくじが入っている確率は2/3となる。」

この論法でいくと、もしもジョンが最初からBの箱を選んでいれば、Cが空っぽだった時点で、今度はAにあたりくじが入っている確率が2/3となる。

2
3
+ 2
3
= 4
3
>1 ゆえ、明らかに自己矛盾。

よって、この論法は正しくない。

【問題2】

A,B,Cのいずれかにあたりくじが入っている確率は明らかに1。

このとき、A,B,Cのどの箱も開けなければ、A,B,Cの各箱にあたりくじが入っているそれぞれの確率はともに1/3で等しい筈。
Cが空っぽだった時点で、AかBのいずれかの箱にあたりくじが入っていなければならない。
よって、Cが空っぽだった時点で、A,Bのいずれかにあたりくじが入っている確率は明らかに1。

このとき、A,Bのどの箱も開けなければ、A,Bの各箱にあたりくじが入っているそれぞれの確率はともに1/2で等しい筈。
それ故、1ドルを支払ってまであたる確率の等しいB箱に交換するのは馬鹿げている。
よって、交換しない方が利口である。

【余談】

最近立ち読みした本に、どこがおかしいかと言う意味で、2つの妙な論法が載っていました。
以下がその要約ですが、後者は以前ヤフーの掲示板で半年近くも議論されていたものと同じでした。

(妙な論法1)

A,B,Cの3箱のうち、ある1箱だけに金貨が入っていて他の2箱は空であるものとする。
このとき、どの1箱を選んでも金貨が入っている確率は1/2となる。

以下、そのことを証明する。
仮に選んだ箱をAとしよう。
もしもBが空なら、Aに金貨が入っている確率は1/2である。
当然のことだが、Cが空であっても同じことが言える。
結局、B,Cのどちらが空であってもAに金貨が入っている確率は1/2である。

ところで、BかCの少なくとも1つは必ず空である。
よって、選んだ箱Aに金貨が入っている確率は1/2である。

(妙な論法2)

賞品として、2つの封筒のどちらか1つを貰えることになった。
どちらか判らないが、2つの封筒には1:2の比で現金が入っていることは知らされている。
そこで、ある1つの封筒を選ぶと、中に1万円が入っていた。
ところが、2つとも封筒を開かない限り、今からでも封筒は交換できるというのだ。
さて、封筒は交換すべきか否か?

もし、1万円が多い方なら残った封筒には5千円入っていることになる。
もし、1万円が少ない方なら残った封筒には2万円入っていることになる。
どちらであるかの確率は、ともに1/2である。

だとすると、残った封筒の金額の期待値は1万2千5百円になる。

よって、封筒は交換した方が利口である。


◆広島県 暇人 さんからの解答。

まず感想から。
この問題は論理的思考ができるかどうかを試す事のできる非常におもしろい問題と考えます。
不十分な問題を出された時には自分で現実的な条件を付けて回答することが大切と思います。
社会人になると多くの人は通分さえ不要になります。
しかし論理的思考、あるいは現実的な行動は重要です。
上司から不十分な内容ではあるが1時間以内にせよという指示が出て、その上司に連絡が付かない場合、不十分な指示だったのでし ませんでしたという場合と自分で妥当な条件を付けてしたのとでは、評価が大きく異なります。
そういう点で意図的に不十分な条件下で問題を出すというのはおもしろいと思います。

●1:
おじさんがどの箱にあたりが入っているか知らないという事実をジョン君が知っている場合。

たまたまはずれの箱を開いたと推測される。
Aの箱とBの箱にあたりが入っている確率は1/2ずつなので換えない方がよい。

●2:
おじさんがどの箱にあたりが入っているかを知っているという事実をジョン君が知っている場合。

●3:
おじさんがどの箱にあたりが入っているのか知っているのか、それとも知らないのかさえジョン君には分か らない場合。
これは分かりません。

もし解説にあるような答えを出すのであれば以下の二つの条件を提示する必要があります。
おじさんがどの箱にあたりが入っているか知っている事実をジョン君も知っている。
また ジョン君が箱を選ぶ前からその提案がされることが決まっていた。
その条件を出さないのであれば間違いです。

この条件を出すのであれば問題制作者の意図をある程度くみ取っていますのでこれも現実的回答の一つと思います。
私の方法では3の場合が結局分かりませんので私のような考えがよいのか、この様な考えがよいのかは意見が分かれると思います。


◆山梨県 Footmark さんからの解答。

前回の解答は間違ってました。(^^;
数学教師見習いさんの解答が正しいです。
以下に全面改正します。

【問題1】

本に書かれているこの論法に、どのような矛盾も発生しません。
ですから、答えようがありません。

【問題2】

本に書かれている解説が正しい答えです。
ですから、答えようがありません。

【証明】

正解をA,B,C,A,B,C,…A,B,Cと均等に巡回させて、同じことを何回も繰り返してみます。
このとき、ジョン君は毎回A箱を選び、おじさんは毎回ジョン君が選ばなかった空箱1つを開けます。

このような思考実験をしてみると、
毎回交換しないばあいは全体の1/3が当たり、
毎回交換するばあいは全体の2/3が当たります。

ですから、交換しないときと交換するときのそれぞれの獲得金額($)の期待値は以下です。

・ 交換しないとき:100×(1/3)
・ 交換するとき :100×(2/3)−1

明らかに、100×(2/3)−1 > 100×(1/3) 。

よって、交換すべきです。

証明終わり。


◆神奈川県の高校生 せる さんからの解答。

出題者さんと同じ本かどうかわかりませんが、私が読んだ本には以下の様な解説がありました。

箱A、B、Cの中で、(例えば)Aが当たり、B、Cがはずれだとします。

1)Aを選んだ場合
 ジョンは当たり、おじさんははずれを引きました。
なのでおじさんが開けなかった箱ははずれです。
ここで箱を変えるとはずれを引きます。

2)Bを選んだ場合
 ジョンははずれ、おじさんもはずれを引きました。
なのでおじさんが開けなかった箱は当たりです。
ここで箱を変えると当たりを引きます。

3)Cを選んだ場合
 2)と同様に、箱を変えると当たりを引きます。

ここで、1〜3の起こる確率はすべて同じ(1/3)なので、
箱を変えることによってあたりを引く確率は2/3(BとCの場合)となります。

ちなみに、箱を変えなかった場合、おじさんが何をしようと当たりを引く確率は1/3なので、 箱を変えることによって当たる確率が倍になります。

よってこの論法は正しい

だそうです。

今回はジョンが選ぶ箱が決まっているので、当たりの箱がどれかを変えればいいと思います。
結果は同じになると思います。
参考にしていただければ幸いです。


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