『三次方程式の解』解答


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【答え】

n≧2の整数のとき  n*(9n2−12n+5)
 個
n≦−2の整数のとき  (n2−1)*(2−9n)
 個
n=−1、0、1のとき   無限個

nが整数でないとき  0個

【証明】

(1)n=0,1のとき (x-1)(x-α)x=0のタイプでαは任意であり、無限個ある。

∵α0=1、α1=α、0n=0

(2)nが2以上の正の整数のとき。

3次方程式の解をα、β、γとするとき、αnも解であるとは、

αn=[α|β|γ]のことであり、3ケースある。

βγも同様であるから、解の構造は都合27ケースが考えられる。
これらを整理すると次の8タイプになる。
尚「→」はn乗することを、「∩」は独立であることを表しているとする。

以上を単一未知数の方程式に直すと、α、β、γは次の方程式の解に限られる。 共通の重解α=0を別にすると、これら方程式の解は下記である。

ここで ω(p,k)=exp( 2πki
p
) とする。

(Ay) αn-1-1=0  より α=ω(n-1,k) k=0…n-2

(By) αn*n-n-1=0 より α=ω((n-1)*n,k) k=0…n2-n-1

(Cy) αn*n-1-1=0 より α=ω((n-1)*(n+1),k) k=0…n2-2

(Dy) αn*n*n-n*n-1=0 より α=ω((n-1)*n*n,k) k=0…n3-n2-1

(Ey) αn*n*n-n-1=0 より α=ω((n-1)*n*(n+1),k) k=0…n3-n-1

(Fy) αn*n*n-1-1=0 より α=ω((n-1)*(n2+n+1),k) k=0…n3-2

これら解の引数pの値は全て(n-1)≧1の倍数である。
一方残りの因数 n,n+1, n2+n+1は正で互除法により互いに素である。

以上より(A)〜(G)の解の構造は下図に表す構造をもつ。
なお、α=0の解はその性質から(Ay)のグループ=(Ax)に入れる。

よって (A)の数は
(Ay)とα=0グループの数=(Ax)の数:n-1+1=n個の内から重複して3個取り出す組み合わせの数となり、
(n+2)(n+1)n
6
である。

(B)の数は下図のように 
{(By)-(Ay)}→(Ay)と(Ax)→(Ax)の数の積になり
n*(n-1)2である。

(C)の数は下図のように 
{(Cy)-(Ay)}→{(Cy)-(Ay)}と(Ax)→(Ax)の数の積になり
n2*(n-1)である。

ただし方程式としては同じ物が2個ずつ含まれるので
方程式の数はn2*(n-1)
2
である。

なお、(B)(D)とはn+1とnが互いに素であるので重複していない。

(D)の数は下図のように 
{(Dy)-(By)}→{(By)-(Ay)}→(Ay)の数であり
n(n-1)2である。

(E)の数は下図のように
{(Ey)-(Cy)}→{(Cy)-(Ay)}→{(Cy)-(Ay)}の数になるのだが、
(Cy)の因数のnと(Ey)の因数のn(n+1)がnを共役数としてもつので
この重複分(n-1)2を差し引くと
(n-1)2nである。

(F)の数は下図のように 
{(Fy)-(Ay)}→{(Fy)-(Ay)}の数(n-1)(n+1)nである。

ただし方程式として同じ物が3個ずつ含まれるので
方程式の数はn*(n-1)(n+1)
3
である。

なお、(B)(C)(D)(E)とはn+1,nとn2+n+1が互いに素であるので重複していない。

(G)の数は下図のように 
{(By)-(Ay)}→(Ay)と同じ(Ay)の要素になる{(By)-(Ay)}の要素の数の積である。

但し異なる解は2重に数えるので異なる方程式の数は
(n-1)2*(n-2
2
+1) = n*(n-1)2
2
である。

(H)の数は{(Cy)-(Ay)}の数と同じであるからn*(n-1)である。

以上を合計すると
P(n)= n*(9n2−12n+5)
 である。
因みに P(2)=17、P(3)=75、P(4)=202  である。

図1 解の構造

【例 n=2 17個】

解の組を(α,β,γ)で表し  Wk/p=ω(p,k)とする。

(0,0,0) (0,0,1) (0,1,1) (1,1,1) (0,1,-1) (1,1,-1)
(0,w1/3,w2/3) (1,w1/3,w2/3) (i,-1,1) (-i,-1,1) 
(w1/6,w1/3,w2/3) (w5/6,w2/3,w1/3) (w1/7,w2/7,w4/7) (w3/7,w6/7,w5/7) 
(-1,-1,1) (w1/3,w1/3,w2/3)(w2/3,w2/3,w1/3)
(3) n=-1のとき
(1,α, 1
α
)は条件を満たしており、α任意なので無限個ある。

(4)nが−2以下の負の整数のとき α=0を含むものは排除される。
また,(Ay)〜(Fy)の式は kの範囲が変わって下記となる。

(Ay) αn-1-1=0  より α=ω(n-1,k) k=0n

(By) αn*n-n-1=0 より α=ω((n-1)*n,k) k=0…n2-n-1

(Cy) αn*n-1-1=0 より α=ω((n-1)*(n+1),k) k=0…n2−2

(Dy) αn*n*n-n*n-1=0 より α=ω((n-1)*n*n,k) k=0…n3−n2+1

(Ey) αn*n*n-n-1=0 より α=ω((n-1)*n*(n+1),k) k=0…n3−n+1

(Fy) αn*n*n-n-1-1=0 より α=ω((n-1)*(n2+n+1),k) k=0…n3

同様に計算できて m=2-n とおくと。m≧4

(A)  m(m-1)(m+1)
6

(B)  (n2-1)(1-n)=(m-3)(m-1)2

(C)  (n+2)(n-1)(1-n)
2
=(m-4)(m-1)2
2

(D) n-n3=(m-2)(m-1)(m-3)

(E) (n+2)(1-n2)=(m-4)(m-1)(m-3)

(F)  (1−n)(n+1)n
3
=(m-2)(m-1)(m-3)
3

(G)  (n2-1)(-n)
2
=(m-2)(m-1)(m-3)
2

(H)  (n+2)(n-1)=(m-4)*(m-1)

P(n)=P(2-m)= (m-3)*(m-1)(9m-16)
2
= (-1-n)*(9n-2)(n-1)
2

因みに P(-2)=30 P(-3)=116

【例 n=-2 30個】

解の組を(α,β,γ)で表し  Wk/p=ω(p,k)とする。

( 1, 1, 1) ( 1, 1,w1/3) ( 1, 1,-1) ( 1, 1,w2/3) ( 1,w1/6,w2/3) 
( 1, i,-1) ( 1,w1/3,w1/3) ( 1,w1/3,-1) ( 1,w1/3,w2/3) ( 1,w1/3,w5/6) 
( 1,-1,-1) ( 1,-1,w2/3) ( 1,-1,-i) ( 1,w2/3,w2/3) (w1/12,w1/3,w5/6) 
(w1/9,w4/9,w7/9) (w1/6,w1/6,w2/3) (w1/6,w1/3,w2/3) (w1/6,w5/12,w2/3) 
(w1/6,w2/3,w2/3) (w1/6,w2/3,w11/12) (w2/9,w5/9,w8/9) (w1/3,w1/3,w1/3) 
(w1/3,w1/3,w2/3) (w1/3,w1/3,w5/6) (w1/3,w7/12,w5/6) (w1/3,w2/3,w2/3) 
(w1/3,w2/3,w5/6) (w1/3,w5/6,w5/6) (w2/3,w2/3,w2/3)
(5)n=
:有理数のとき αnはq個の値をもつ。

そのうちの1個がαであったとしても、
残りの内の一個:βからβnによりq個の値が発生し、
解が3個を超過し、3次方程式の解の範囲をこえる。
よって条件を満足するものはない。

【感想】

問題文の長さに比べて内容が豊かであり、一方適度な難易度で良い問題だと思いました。


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