『円と三角形』解答


◆宮城県 甘泉法師 さんからの解答。

【問題3】

R1からさらに次々と頂点に向けて内接円を作る操作を考えて、
頂点1の内角を2α1 R1
R
=k1とすると
cosec α 1 =1 + 2k1
1 - k1
= 1 + k1
1 - k1

これから

k1= 1-sinα1
1+sinα1
 =tan(π
4
- α1
2
)/ tan(π
4
+ α1
2
 =tan2π
4
- α1
2

公式 tan(π
4
- A) tan(π
4
+ A)=1を使った。

これから

 
 =tanπ
4
- α1
2
)tan( π
4
- α2
2
)+tan( π
4
- α2
2
)tan( π
4
- α3
2
)+tan( π
4
- α3
2
)tan( π
4
- α1
2
 =1

公式

cos(A+B+C)=cosAcosBcosC(1-tanAtanB-tanBtanC-tanCtanA)
において
A+B+C= π
とした。
(証明終)

【感想】
cosecα1 = 1 + k1
1 - k1
はすぐわかりましたが三角関数の計算に公式集が要りました。


◆宮城県 甘泉法師 さんからの解答。

【問題4】

三角形の内角をα1、α2、α3とすると内心と頂点の距離は、

L1=rcosec( α1
)
L2=rcosec( α2
)
L3=rcosec( α3
)

円弧の中心角は円周角の倍なので外心と辺の距離は、
h1=R( 1−cosα1 )= 2R sin2( α1
)
h2=R( 1−cosα2 )= 2R sin2( α2
)
h3=R( 1−cosα3 )= 2R sin2( α3
)

問題1の答えから

2R
=r+h1+h2+h3
=r+R (3−cosα1-cosα2-cosα3

よって

r=(cosα1+cosα2+cosα3−1)R

以上から

h1h2h3
L1L2L3
= [4sin(α1
2
)sin(α2
2
)sin(α3
2
)/(cosα1+cosα2+cosα3−1)]3 / 8

上式 [ ] 内は1.

【証明】

α3=π- α12 として、
分子、分母をα1/2、α2/2であらわすと

分子
=4 sin( α1
2
) sin( α2
2
) cos ( α1
2
+α2
2
)
=4 sin( α1
2
) sin( α2
2
) {cos ( α1
2
)cos(α2
2
)-sin( α1
2
)sin(α2
2
)}
=4 sin2( α1
2
) sin2( α2
2
){cot ( α1
2
)cot(α2
2
)-1}

分母
=cosα1+cosα2−cos(α1+α2)−1
=cosα1+cosα2−cosα1cosα2+sinα1sinα2-1
=1 - 2sin2( α1
2
)+ 1 - 2sin2 α2
2
)- {1- 2sin2 α1
2
)}{1 - 2sin2 α2
2
)}+ 4sin(α1
2
)sin(α2
2
)cos( α1
2
)cos( α2
2
)
=4 sin2( α1
2
) sin2( α2
2
){cot ( α1
2
)cot(α2
2
)-1}

分子と分母は一致する。(証明終)

よって L1L2L3=8h1h2h3

【感想】

問題から外接円と内接円の半径の関係がわかり

r=(cosα1+cosα2+cosα3−1)R
=4 sin( α1
2
) sin( α2
2
) sin ( α3
2
) R

【問題5】

R
R1
=r12, R
R2
=r22, R
R3
=r32とおき、
Riが接する辺の対角のおおきさをαiとする.

頂点にむけて次々に相似な内接小円をつくっていき直径をたしていくと頂点までの距離がわかるので

cosec ( αi
2
) = 1 + 2ri2
1-ri2

riについてとくと、

r12
=(1-sin( αi
2
))/(1+sin( αi
2
))
=tan( π
4
- αi
4
) / tan( π
4
+ αi
4
)

公式 tan(π
4
- A) tan(π
4
+ A)=1を使い、
ri = tan π - αi
4

証明すべき式の両辺にRをかけた右辺は

r1r2+ r2r3+ r3r1
= tan π-α1
4
tan π-α2
4
+tan π-α2
4
tan π-α3
4
+tan π-α3
4
tan π-α4
4

これが1になればよい。

三角関数の加法定理のひとつ

公式tan(A+B+C) =tanA+tanB+tanC-tanAtanBtanC
1-tanAtanB-tanBtanC-tanCtanA

を使って
A=π-α1
4
B=π-α2
4
C=π-α3
4

を代入すると

公式の左辺=tan(π
2
)=無限大なので右辺の分母が0。

これから

r1r2+ r2r3+ r3r1=1

(証明終)

【感想】

公式tan(A+B+C) =tanA+tanB+tanC-tanAtanBtanC
1-tanAtanB-tanBtanC-tanCtanA

は分子のsin(A+B+C)と分母のcos(A+B+C)を積に展開すれば得られます。

【問題6】

円R1の向かいの三角形頂点Aから、辺AB、辺ACを延長した直線と円R1の2接点までの距離を考察して、 三角形の周をsとすると
cot ( α1
2
)=
s
2

R1
=

2R1

証明すべき式の右辺にRをかけたものは
(1
R1
+1
R2
+ 1
R3
)R
=2R[cot (α1
2
) + cot (α2
2
) + cot ( α3
2
)] / s
= s / s
=1

よって命題は証明された。

【問題1】

△ABCの頂点Aの角度をAというふうにあらわし
内心の半径をr、外心の半径をR、△ABCの周の長さをsとする。

内心が角の2等分線の交点であることを使って
s=2r(cot( A
2
)+cot( B
2
)+cot( C
2
))

外接円上の小円弧BCの中心角は2Aであることをつかって
a = 2 R sinA 他の辺も同様にして足し合わせ
s = 2R ( sinA + sinB + sinC )

両者から内接円と外接円の半径の比は
r
R

sinA + sinB + sinC
cot( A
2
)+cot( B
2
)+cot( C
2
)

右辺分母
=
sin( A
2
)sin( B
2
)cos( C
2
)+sin( C
2
)sin( A
2
)cos( B
2
)+sin( B
2
)sin( C
2
)cos( A
2
)

sin( A
2
)sin( B
2
)sin( C
2
)
=
sin( A
2
)sin( B
2
+ C
2
)+sin( C
2
)sin( A
2
+ B
2
)+sin( B
2
)sin( C
2
+ A
2
)

2sin( A
2
)sin( B
2
)sin( C
2
)

三角形の内角の和がπであることとsinの加法定理から
= sinA + sinC + sinB
4sin( A
2
)sin( B
2
)sin( C
2
)

よって

r
R
=4sin( A
2
)sin( B
2
)sin( C
2
)= cosA+cosB+cosC−1

最右辺になることは問題4の解答で計算した。これから

2R = r + R(1-cosA+1-cosB+1-cosC) = r + h


◆出題者のコメント。

甘泉法師 さんへ

すべて正解です。
特に【問題1】【問題3】【問題6】の証明は実に鮮やかです。

【問題5】は【問題3】のような3つの円も書き加えて、2直線に接する連結する3つの円の半径は等比数列をなすことを利用すると、至って省エネの証明が可能です。


◆宮城県 甘泉法師 さんからの解答。

【問題7に関連する命題】

△ABCの内接円Rに辺BCと平行な接線を引く。
この直線により頂点A側に相似な小三角形ができる。

この三角形の外接円の半径をK、周をsとすると、問題1の解答中で導いたように
内接円の半径R1 = 4Ksin A
2
sin B
2
sin C
2

問題6の解答中で考察したように
傍接円の半径R =
2
・tan A
2
= K(sinA+sinB+sinC)tan A
2

三角形の内角の和A+B+C=πから
sinA = 2cos A
2
sin A
2
= 2 cos A
2
cos B+C
2
= 2 cos A
2
(cos B
2
cos C
2
+ sin B
2
sin C
2
)

sinB+sinC=2 sin B+C
2
cos B-C
2
= 2 cos A
2
(cos B
2
cos C
2
- sin B
2
sin C
2
)
よって

傍接円の半径R
=4K cos A
2
cos B
2
cos C
2
tan A
2
=4K sin A
2
cos B
2
cos C
2
これから R1
R
=tan B
2
tan C
2

頂点B、C側にも同様にR2、R3をつくり足し合わせると
R1
R
+ R2
R
+ R3
R
=tanA
2
tan B
2
+tanB
2
tan C
2
+tanC
2
tan A
2
=1

最右辺はtan(A+B+C)の加法定理と、三角形の内角の和A+B+C=πから導かれる。

【問題7との関連についてのコメント】

命題と問題7は同じ図形配置と予想していますが、まだ証明できていません。


◆宮城県 甘泉法師 さんからの解答。

●問題2の内接円についての解答

△ABCを題意に2分する。
頂点Aからの分割線と辺BCの交点をPと記す。

∠A=2α、∠B=2β、∠C=2γ、
∠BAP=A1=2α1、∠CAP=A2=2α2と記す。

線分AB=R1(cotα1 + cotβ)= R(cotα + cotβ)

線分AC=R2(cotα2 + cotγ)= R(cotβ + cot γ)

h = AB sin B = AC sin C

より、角を使って諸量があらわせる。
α12=α、α+β+γ=π
の関係を使い三角関数の計算をして

1- 2R1
h
=tan β
tan(α1+β)
1 - 2R2
h
=tan γ
tan(α2+γ)
=tan γ*tan(α1+β)
1 -2R
h
= tan γ
tan(α+γ)
=tanβ *tanγ

よって明らかに証明すべき式が成り立つ。
これから、任意のn分割について証明すべき式が成り立つのは明らか。

●問題2の傍接円の場合

円Siに辺BCと平行な接線を引くと三角形の相似を使って、問題7に関連する命題で調べたように

R =S tanβtanγ
R1= S1 tanβtan(α2+γ)
R2= S2 tan(α1+β)tanγ

1 + 2S1
h
=tan(α1+β)
tan β
=1
tan β*tan(α2+γ)
1 + 2S2
h
=tan(α2+γ)
tan γ
=1
tan γ*tan(α1+β)
1 + 2S
h
=1
tanβ *tanγ

それぞれ内接円の場合の逆数になっている。
明らかに証明すべき式が成り立つ。
これから任意のn分割について証明すべき式が成り立つのは明らか。


◆宮城県 甘泉法師 さんからの解答。

【問題7】

代数的に解けましたので前の予想に続けて投稿します

xy座標を導入して代数で考える。

原点に中心がある半径1の円Oを内接円とし、
辺BCが直線y=−1上にある三角形ABCがある。
内角の大きさの半分をそれぞれα= A
2
, β=B
2
, γ=C
2
とする。

点B(-cotβ,-1)、点C(cotγ,-1)
点Aは頂角Aの二等分線 y=x tan(2β+α) 上にあるので
点A (a, a tan(2β+α) ) = (a,acot(γ−β))とおく。 

点Aは
直線BA:y=(x+cotβ)*tan2β-1 と 
直線CA:y=(x-cotγ)*tan(π-2γ)-1=- (x-cotγ)* tan 2γ -1
の交点であることから点Aの座標をこれらの式に代入して解くと、点Pのx座標aがわかり
a = tanγ-tanβ
1-tanβtanγ
=t
1-s
ここでt=tanγ - tanβ s=tanγtanβ。

これから点Pのy座標は
a tan(2β+α) = a
tan(γ−β)
=1+s
1-s
すなわち 点A ( t
1-s
, 1+s
1-s
)

円周上に点B、Cがあり円Oと接する円Pがある。
中心を点P、半径をDとする

明らかに点Pは線分BCの二等分線上にあるので
x座標は 1
2
*(cotγ-cotβ)。y座標をpとおく。

P( 1
2
*(cotγ-cotβ), p)=(-(tanγ-tanβ)
2s
, p)=(- t
2s
, p)

線分PBの長さは半径Dであるから

2= { - t
2s
- (-cotβ) } 2 + ( p -(-1) )2
  = ( t
2s
- 2tanγ
2s
) 2 +( p +1)2
  = (tanγ + tanβ)2
4s2
+ (p+1)2

線分POの長さは半径Dより1だけ小さいので
(D-1)2= t2
4s2
+ p2

この2つの式からDとpがわかり、点Pの座標と円Pの半径Dは
点P( - t
2s
, -1
4s
+t2
4s
)

D= 1
4s
+t2
4s
+1
円Pと接し、辺ABとACに(内)接する円Qがある。
中心を点Q、半径をrとする。
辺AB上の接点を点Eとする。

点Qも点Aと同じく頂角Aの二等分線y=tan(2β+α)xの上にあるので
Q (q cot(2β+α) , q ) = (q tan(γ−β) , q ) =(q t
1+s
, q)
とおける。

点Fを辺ABと円Oの接点として、△AOFと△AQEは相似なので
r:1= 1+s
1-s
- q:1+s
1-s

これから q= (1−r)(1+s)
1-s
よって点Q( t(1−r)
1-s
, (1−r)(1+s)
1-s
)

円Pと円Qが接するので線分PQの長さは両円の半径の和になる。
PQ2= (D+r)2=( 1
4s
+t2
4s
+ 1+r )2
点P、Qの座標により線分PQの長さを求めると

PQ2
={ t(1−r)
1-s
- (-t
2s
)}2 +{ (1−r)(1+s)
1-s
- (- 1
4s
+ t2
4s
)}2
= t2( 1-r
1-s
+1
2s
)2 +{ (1−r)(1+s)
1-s
+ 1
4s
- t2
4s
}2

この2式が等しいとしてrの2次方程式が得られる。
方程式は、表記が簡単なように 1-r=x とおいて
t2(
1-s
+1
2s
)2 +{ x(1+s)
1-s
+1
4s
-t2
4s
}2 -(1
4s
+t2
4s
+ 2-x)2=0

xの次数について整理すると
t2 + 4s
(1-s)2
*x2+{ t2
s
+1
s (1-s)
+ 4 }*x-(t2
s
+ 1
s
+4)=0

さらに
u= (1-s)2
t2+4s
=cot2(β+γ)= tan2 α

を使い整理すると
s*x2 + (1-s)2 + u
1-s
*x-( (1-s)2 + u )=0

まとめて

( x + (1-s) (1-s+s2) + u
2s(1-s)
)( -1+s) = 0

解のひとつ x=1-s より
r=s=tanγtanβ。 これは適解。

もうひとつの解
x = - (1-s) (1-s+s2) + u
2s(1-s)
<0より r>1。
これは不適。

同様のことを△ABCの3つの頂点について行い、それぞれの半径を足すと
tanαtanβ+tanβtanγ+tanγtanα=1。
tanの加法法則を使った。

これから相似を使い、一般のサイズの内接円の半径がRである図の場合には
1+R2+R3=Rとなることは明らか。
よって命題は証明された

【コメント】

前の発言のコメントと考え合わせると 円Pと円Qの、互いが反対側にあるような共通接線は辺BCと平行であることがわかり、このことを代数でなく幾何で解く証明がある筈です。
諸兄の御教示を待ちます。


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