『円と三角形』解答


◆宮城県 アンパンマン さんからの解答。

【問題2】

n=2のとき、
1- 2R
h
=(1- 2R1
h
)(1- 2R2
h
)を証明します。

AB=c,AC=b,CD=a1,DB=a2,AD=dとします。

d2+a1a2 = c2 a1+b2 a2
a1+a2

がわかり、つまり

(b+d)(c+d)+a1a2
a1(c+d)+a2(b+d)
= b+c
a1+a2
 です。

x
y
= w
z
から x-y
x+y
= w-z
w+z
が言えることより

(b+d)(c+d)+a1a2-a1(c+d)-a2(b+d)
(b+d)(c+d)+a1a2+a1(c+d)+a2(b+d)
=b+c-a1-a2
b+c+a1+a2

が成り立ちます。

(b+d)(c+d)+a1a2-a1(c+d)-a2(b+d)
=(b+d-a1)(c+d-a2)

(b+d)(c+d)+a1a2+a1(c+d)+a2(b+d)
=(b+d+a1)(c+d+a2) より

b+c-a1-a2
b+c+a1+a2
=b+d-a1
b+d+a1
c+d-a2
c+d+a2

に表わされ、また
2R
h
= 2(a1+a2)
b+c+a1+a2
,

2R1
h
= 2a1
b+d+a1
,

2R2
h
= 2a2
b+d+a2
 より

1- 2R
h
=(1- 2R1
h
)(1- 2R2
h
)が成り立ちます。

n=2が成り立つことと帰納法より任意のnにも成立します。

 

また
(1- 2R
h
)(1+ 2S
h
)
=(1-2R1
h
)(1+ 2S1
h
)
=(1-2R2
h
)(1+ 2S2
h
)
=1 から

1+ 2S
h
= (1+2S1
h
)(1+ 2S2
h
) あるいは
1+ 2S
h
= (1+2S1
h
)(1+ 2S2
h
)...(1+ 2Sn
h
)
が言えます。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【問題2】

【定理1】

三角形ABCの辺BC上に点Dをとるとき、以下の関係がある。

AD2AB2*CD+AC2*BD
CD+BD
−BD*CD
(数学の部屋のどこかにあったはず。)

【定理2】

三角形ABCの内接円の半径をrとするとき、
三角形ABCの面積=(AB+AC+BC)*r
2

【証明】

2分割の場合を証明すればよい。
n分割はその繰り返しである。

頂点をA 底辺をBC BC分割点をDとする。
定理2より

三角形ABCの面積=BC*h
2
(AB+AC+BC)*R
2

である。変形すると、

1- 2R
h
= AB+AC−BC
AB+AC+BC

同様に三角形ABD 三角形ACDを考えると

1- 2R1
h
=AB+AD−BD
AB+AD+BD
1- 2R2
h
=AC+AD−CD
AC+AD+CD

上2式の分母同士の掛け算を計算すると、BD+CD=BCなので、

(AB+AD+BD)*(AC+AD+CD)
=(AB+AC+BC)*AD+(AB+DB)*(AC+CD)+AD2

定理1によりAD2のみおきかえると、

(AB+AD+BD)*(AC+AD+CD)=(AB+AC+BC)*X

ここで X=AD+ AB*CD+AC*BD
BC

同様に分子同士は

(AB+AD−BD)*(AC+AD−CD)=(AB+AC−BC)*X

よって

(1- 2R1
h
)(1- 2R2
h
)=AB+AC−BC
AB+AC+BC
=1- 2R
h

【問題1】

弦の半長を a,b,c 、 弦と外接円中心との距離を A,B,Cとします。
また弦に対向する三角形の角をαβγとします。
α+β+γ=π

すると円周角=中心角/2の関係から

(a,b,c)=R(sin(α), sin(β), sin(γ))
(A,B,C)=R(cos(α), cos(β), cos(γ))

一方、三角形の面積をQとすると(問題2の定理2等から)

Q=Aa+Bb+Cc=r(a+b+c)

また問題定義より、

h=(R−A)+(R−B)+(R−C)=3R−(A+B+C)

以上より

F=h+r−2R
 =R−(A+B+C)+ Aa+Bb+Cc
a+b+c
 =R{1-(cos(α)+cos(β)+cos(γ))+ sin(α)cos(α)+sin(β)cos(β)+sin(γ)cos(γ)
sin(α)+sin(β)+sin(γ)
}

分母を払います。

 F*(sin(α)+ sin(β)+ sin(γ))
={sin(α)−sin(β)cos(γ)−sin(γ)cos(β)}+{初項同形式でα→β→γ循環}+{初項同形式でα←β←γ循環}

ここに α=π―β−γ ないしその循環を代入して展開計算すると、

=0+0+0=0

Rが有限なら (sin(α)+ sin(β)+ sin(γ))>0であり
F=0 が成立。

すなわち 2R=h+r

【感想】

魅力的で綺麗な定理ですね。考えてみざるを得ませんでした。
2R(udius)をD(iameter)にするともう少し綺麗かも。


◆出題者のコメント。

解答ありがとうございます。
お二人とも正解です。

Y.M.Ojisan さんの【問題1】での証明は、一貫して循環性を崩さず、私が考えていた証明に比べて実にエレガントに感じます。

【問題2】の各三角形において、内接円でなく底辺に接する傍接円とすれば、なるほど確かにアンパンマン さんが示した関係式が成立しますね。
全然、気付きませんでした。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【問題3】

iに対応して角αiを下図のように定義します。i=1,2,3

図より R=Ri+(R+Ri)cos(2αi) です。
三角関数公式を用いて変形すると、

i
1−cos(2αi
1+cos(2αi
tan2i)

従って、

F=  
 =tan (α1)tan(α2)+tan (α2)tan(α3)+tan (α3)tan(α1)

ここに
α1 = π
α2 α3

代入すれば(ほとんど公式ですが)

F= tan(α2)+tan(α3)
tan(α2+α3)
+tan (α2)tan(α3)
 ={1−tan (α2)tan(α3) }+tan (α2)tan(α3)
 =1

よって

 


◆宮城県 アンパンマン さんからの解答。

 

と同じように

 

が成り立つことが言えます。

 


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからのコメント。

【問題3アンパンマンさんへコメント】

傍接円まで拡張できるのですね。なるほど。
内接円の証明がそのまま適用できるよう、前回の解答の図を三角形の角を開放した図に修正しました。


◆出題者のコメント。

Y.M.Ojisan さん、早々に解答ありがとうございます。
実に鮮やかな証明だと思います。
それに、アンパンマン さんの洞察力には感服します。


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